アッシジで泊まった宿の最上階には、
小さな見晴らし室がありました。
ソファとお酒やお茶が置いてある
バーカウンターがあるのですが、
なんと、部屋を囲んでいる4つの壁すべてに
大きな窓があるのです!
私は夕日が沈んでいくさまを眺めるのが好きで、
旅に出ると見晴らしの良いところへ行くのですが、
こういう冬の日は、小一時間も外にいると
石畳から足先に寒さが伝わってきて、
夕日を心ゆくまで堪能することができません。
でも、ここなら、ぬくぬくとしながら
淹れたての紅茶を飲みながら、
沈みゆく夕日をゆっくり眺めることができます。
夕日の美しさは、
地平線に沈む太陽の残光もさることながら、
オレンジ色の優しい光が、
建物や丘の木々に反射して、
目の前の風景が、陰影の濃い、
柔らかなサーモンピンクに染まる瞬間が息を飲むほど美しく、
なんとも幻想的で心奪われます。
携帯で撮っているので精度は良くありませんが、
こんなふうに色づいた瞬間です。
1枚目の写真と同じ窓から撮ったものなので、
その色の違いがお分かりになると思います。
4つある窓の前を行ったりきたりしながら、
だんだんと色を変えていく大きな空を眺めていました。
ウンブリア平原に沈む夕日は、
見ていて飽きません。
きっと前の日だったら、
雪のため、こんなに鮮やかな空を
見ることはできなかったと思うので、
とてもラッキーでした。
太陽が地平に隠れた後も、
地平線に残光が残っています。
少しずつ町の灯りがともり、
ローマ帝国時代からある町に
長い夜が訪れました。
「ここが私の家だったら、どんなにいいだろう」
と思いつつ、くらい空に沈んでいく、
町並みを眺めていました。
最近は仕事が大変で、
自分でもイライラしているのが分かるくらいでした。
こちらでは書いていませんでしたが、
実は、少し前に上司が代わりました。
新しい上司の常識が、
私や他の同僚の「常識」と違っていて、
「いったい何を考えているのだろう?」
と思うような指示が多く、
息苦しい日々が続いていました。
上司のいうことだから、
と素直に指示に従っていますが、
たとえば、こんなことを指示されています。
どんな業務をしたか、
1時間ごとに箇条書きで日報を書くようにとか、
タスクシート(仕事一覧)を作って、
毎日、そこに進捗を書くようにとか、
そういったことです。
日報については、
スタッフの業務を把握するためなのかと思っていましたが、
どうやら、きちんと働いているか
チェックするためのようでした。
そういうことをされてしまうと、
なんだか信用されていないような気がして、
仕事への意欲が削がれます。
タスクシートについても、
たとえばプロジェクトなどで働いている場合には
有効な手段かもしれませんが、
私のようなアシスタント業務は、
予定外の仕事ばかりなので、
タスクシートに記入できることがありません。
突然、出張の手配を頼まれたり、
急にミーティングをアレンジすることになったり、
いわゆる On Demand と言いますか、
仕事は予定されておらず、
急に降ってくるものなのです。
上司にはそのことを伝えたのですが、
「皆も書いているのだから、書くように」とのことでした。
杓子定規と言いますか、
臨機応変ということばとは無縁の上司なのです。
同僚に言わせると、
彼の常識とルールに沿って動いていれば、
実際には仕事を怠けていても評価が良い、
とのことではありましたが、
私のように、タスクシートが空欄だと、
あたかも仕事をしていないように見られてしまいます。
そんな窮屈な日常から離れて、
窓を開けて、大きく深呼吸していると、
「リラックス」という言葉は、
こういう気持ちのことを言うんだな、
と改めて実感します。
アッシジ自体は小さな町なので、
そうそう何度も訪れるような場所ではないかもしれませんが、
この居心地の良い見晴らし室でブログを書いたり、
お茶を飲みながら本を読んだりするためだけでも、
またアッシジに来たいと思いました。