ボリショイのバレエ

実はもう3週間くらい前のことなのですが、
ロイヤルオペラハウスで、
ボリショイのバレエを見てきました。

イギリスのロイヤルオペラ団は、
夏の間はお休みなのですが、
その間、毎年 ロシアからボリショイバレエ団が来て、
数種類の演目をロンドンの人たちに見せてくれるのです。

全ての演目を見たかったのですが、
普段のバレエチケットよりも
お値段の設定が高めなので、
1つだけ、ロイヤルオペラで見慣れている
「ドン・キホーテ」を見に行くことにしました。

ロイヤルオペラのドン・キホーテは、
初の黒人プリンシパルとなった
カルロス・アコスタが振り付けたもので、
数多くのジャンプやターンが盛り込まれているので、
ダンサーの力量が試されますし、
見るほうも、勢いのある舞台に
ワクワクしてしまう演目なのです。

そして、ボリショイを見る前に、
バレエ好きの同僚から、こう言われました。

「ボリショイを見たら、
ロイヤルオペラが下手に見えると思う。
そのくらい、レベルが違うから」

それを聞いた私は、こう思いました。

「ロイヤルオペラ団も世界最高峰のバレエ団だから、
そんなはずないよね?
きっと大袈裟に言ってるだけなんだろうな」

でも、実際に舞台を見たら、
彼女の言っていた意味が分かりました。

まず、ダンサーからして、
お人形のようなのです。

ロイヤルオペラは小柄な人、大柄な人、
手足の長い人、首の長い人など、
総じて美男美女であるけれども、
体格に差があるのです。

でも、ボリショイのダンサーは
背の高さや顔の大きさ、
手足の長さなどが同じ人たちばかりで、
まるでお人形が並んでいるようでした。

子供のころに見た、
オルゴールの上でクルクル踊るバレリーナが、
実物大で舞台に出てきたような、
そんな気がしたくらいです。

一糸乱れぬ動きをする群舞、
舞台の端で、長時間制止している人たちは
結構つらそうな体勢に見えるのに、
微動だにしません。

ターンも早いし、
回るときの軸も全くブレません。

ロイヤルオペラの場合は、
難しい連続ターンなどでは、
プリンシパルダンサーですら、
ブレないダンサーのほうが少ないくらいなのです。

でも、ボリショイの場合は
脇役の人たちでも軸がブレずに
連続ターンができているのです。

きっちりとお手本通りに踊るさまは
見ていて清々しいくらいです。

ロイヤルオペラの場合は、
ダンサーの個性を大事にして
たとえば「ロミオとジュリエット」などは
ジュリエット役のダンサーによっては
ただただ愛らしく、可愛らしく見えて、
その健気さに感動したり、
少し大人っぽく演じる人のときは
少女から大人になる過程に心が動かされたり・・・
舞台によって、受ける印象が違うのです。

ボリショイを一度しか見ていないので
ダンサーによって変わるのかは分かりませんが、
ここまで完璧に踊る、その完成美をみると、
個性を表現する隙が少ないような気がしました。

「レベルが違う」というよりも
次元が違うと言いますか、
おそらく目指すものが違うのかもしれません。

それぞれの次元で高度な技術を備えているので、
どちらのレベルが高いとか、
そういう括りではまとめられない気がしました。

私は何事につけてもキッチリしたものが好きなので、
完璧な様式美を備えたボリショイのほうが
ロイヤルオペラよりも見ていて楽しいように思いました。

また来年まで見ることができませんが、
来年はもっと多くの演目を見てみたいです。

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