今日も昨日の続きを書かせていただきます。
よろよろしながら駐車場の隅にいる係員のところに行ったら、
「救急はあそこだよ」と、
無人だった入口を指さしました。
「誰もいなかったんです」
「そんなはずはない。いるはずだ」
「いえ、いませんでした」
「そしたら、そこで待ってれば誰か来るから」
そう言われて、またヨロヨロと救急入口に戻りました。
待てと言われても、
椅子に座る動きでさえ激痛が走るので
体を右に傾けて壁に預けたまま
誰かが来るのを待つことにしました。
すると、やっと係の人が現れました。
症状についていくつか質問されると、
手首にバンドを巻いてくれました。
どうやら、この人が患者の緊急具合を判断して、
その緊急具合によってバンドをつけるようです。
本当に緊急じゃないと判断された場合には
きっと追い返されることもあるんだろうな・・・
そんなふうに思いながら、
指示された方向へ向かって歩いていきました。
身体が痛いのでゆっくり歩いて行きましたが、
驚いたことに、救急入口にも廊下にも、
どこにもハンドジェル(殺菌剤)がないのです。
普通のお店でさえ
入口にハンドジェルがあるのに、
医療機関でこれかぁ・・・・と驚きました。
しかもこの病院はコロナ患者の治療もしています。
コロナ患者と接した後の医者は
きちんと消毒しているのだとは思いますが、
通勤してきた病院職員が大勢行き来しているのに
殺菌剤が1つも置いていないことが
とても意外でした。
話がそれましたが、
指示されたところに行くと救急の待合室があり、
そこで名前を呼ばれるまで待ちました。
私以外に待っている人はいないのに
40分くらい待ったころに、
ようやく名前を呼ばれました。
すると看護婦さんが症状などを聞いてきました。
ここでも、緊急具合の分類と言いますか、
どの部門の医者に診せるか判断するようです。
そして、この看護婦さんが強い痛み止めをくれたので、
その場で飲みました。
私はER(Emergency Room)に行くよう言われ、
そこで若いアジア系の女医さんのお世話になったのですが、
丁寧に診断してくれて、
レントゲンを撮りにいくときも
途中までついてきてくれてドアを開けてくれたり・・・
とても親切にしてくれて、ありがたかったです。
さすがにERやレントゲン室の写真は撮れませんでしたが、
とても清潔で最新の設備が整っているように見えました。
しかも、看護婦さんにもらった薬が効いてきて
これまでは息が止まるほどの激痛だったのが、
少しだけ和らぎました。
和らいだと言っても激痛に変わりなく、
息が止まるような鋭い痛みがとれて、
全体的に激しく痛むという感じなので、
ヨロヨロとしか歩けませんでしたが・・・
結局、肋骨にひびが入っていることが分かったのですが、
安静にするよりほかないと言われました。
そして、強い痛み止めの処方箋をくれて、
コルセットみたいな体に巻くバンドを買うよう言われました。
帰りもタクシーを・・・と思ったのですが、
帰路にある薬局に立ち寄らないといけないし、
痛み止めがきいて
なんとかゆっくりなら歩けるくらいになっていたので
よぼよぼの老人のように、
途中で立ち止まって休憩しながら、
一歩ずつゆっくりと歩いて帰りました。
そして、またベッドの上で安静にして、
痛みが引くのを待つ生活をずっと続けていたのでした。
毎日寝ているだけのはずなのに、
時が経つのが早く感じました。
少し眠っては痛みで目が覚めて・・・の繰り返しで
昼夜関係なく起きたり
眠りに落ちたりしていたこともあり、
日付の感覚がなくなってきたことも
時が経つのが早いと感じた理由かもしれません。
ある意味、自堕落な生活と言えるかもしれませんが
痛み止めがきいていても痛みがなくなるわけではなく、
少し痛みが治まる程度でしたので、
ベッドから起き上がるだけでも
30分以上かかるような状態でしたし、
なによりも食料の確保が大変でした。
そのため、ある程度動けるようになるまでは
プロテインパウダーばかり飲んでいました。
そんな感じで安静にしている間に、
テラスのチューリップやクロッカスは
リスにすべて食い散らかされ、
見るも無残な有様になっていました。
そして、水やりもできなかったので、
バラの半分以上が枯れてしまいました。
バラだけでなく、
丈夫だと言われているラベンダーやゼラニウム、
カツラの木も枯れてしまいました。
可哀そうなことをしてしまったと思いますが、
動けなかったので仕方がありません・・・
痛み止めを飲まなくても大丈夫になったのが
3-4週間前くらいでしょうか。
それでも腕を伸ばすと痛みが走ったり、
5分くらい歩くと背中が痛くて
真っすぐな姿勢を保てなくなったりして、
なかなか治りません。
きっと年齢のせいなのでしょうね・・・
今も完治とはいえないのですが
少なくともこうして長時間パソコンに向かっていられるので
大分回復したと思います。
この記事へのコメント
ミルモ
コルセットだけで、何も治療はなしなの。
買い物も行けなくて、大変だったね。
少しでも痛みがやわらくと良いけど。
無理は駄目よ。・・・またね。
桜の花びら
救急車、救急外来での対応が日本とはかけはなれている気がします。
と言うか、世界的に見て日本が手厚いのか?
結果的に肋骨の骨折であったものの、内臓にダメージがあるのか、スマホも手にする事ができず食事どころか水を飲む事もままならずその時はあらゆる不安に怯えていたことでしょう。
それにしてもよく1人で乗り越えてこられたと思います。
どうか、まだまだお大事にして下さい。
モグラ
わびすけ
随分、間が開いていたので
心配していました、
異国で怪我にせよ、病気にせよ、
心細くなるのにあなたは強いです。お大事に
イチイ
肋骨の場合はギプスとかできないみたいで、できるだけ動かさないようにして骨がくっつくのを待つしかないらしいです。買い物に行けないのは、最初は大変でしたけれど、最近は歩けるようになっても通販に頼り切りです。荷物を持つと痛いので・・・という言い訳をしていますが、通販の楽さを覚えて頼り切っています。自分を甘やかしすぎかもしれません・・・
なおみ
ブログを読んで「近くに住んでいたら微力でも力になれたかもしれないのに」と歯がゆい思いでしたが、はたと気づきました。
そばにいても、果たしてイチイさんは、私にSOSを出しただろうか?
コロナ禍とはいえ、イギリスにはお友達も出来たはずなのに、助けてと言えなかった。
食事をドアノブに掛けてもらうこともできる。
取りに行くのが大変なら、大家さんに電話して、ドアを開けてもらえばいい。会社の上司に窮状を話して、対処してもらうのもいい。
どうか、信頼できる方に(切羽詰まっている時は誰にでも)「助けて」と、声を出して下さい。イチイさんが藪の中で震えている傷ついた小動物のようで、胸が痛みます。
みんな、他人に迷惑を掛けながら生きているので、頼っても大丈夫なんです。イチイさんは、もっともっと自分を優先させてくださいね。
イチイさんが健康を取り戻して、再び、ちょっと楽しいかもと思える日が訪れますように。
イチイ
日本の緊急医療は素晴らしいと思います。こちらでも私を診察してくれた女医さんみたいに誇りをもって頑張っている人も多いのかもしれませんが、制度的に根本的な問題があるように思います。動けるようになったものの、久しぶりに鑑に写った自分を見て愕然としました。体重が減ったので顔の皮膚がたるみ、お肌はカサカサ、ずっと痛みに耐えていたせいか眉間には深いしわが刻まれていて・・・美容うんうんという年齢ではありませんが、余計に自信を無くしてしまいました。気持ち的にまだ落ち込むことが多いので、少しずつ以前ようになれるようがんばりますね。
イチイ
骨は多分もう大丈夫なのですが、ガチガチに固まった体のせいか、少し大きく動かすと突っ張ったような痛みがあります。少しずつストレッチして伸ばしたりしていますが、年のせいかなかなか治りません。ただ、あまり動かないでいるのも良くないと思うので、少しずつがんばりますね。
イチイ
コメントをありがとうございます。本当に、心細かったです。イギリスで自分なりに楽しく生きているつもりでしたけれど、こういうときに頼る人が誰もいない状況というのが・・・ 自分の性格に問題があって上手に人間関係が築けないのかも、このまま年を取って余計に怪我とかしやすくなったりしたら本当に孤独死するかも、とか色々と考えてしまいました。なので、ぜんぜん強くないです。何とか石にしがみつくような気持ちで耐えたと言う感じです・・・
イチイ
誰かに助けてほしいとは思いましたが、それほど親しくしてないし、迷惑だろうし・・・と思って、助けを求めることができませんでした。そんななか、これが日本だったらもっと助けを求めやすかったのに・・・などと根拠もなく考えていたりして、日本に帰国することも考えたりしていたのですが、言われてみれば日本にいたとしても「助けて」と言えなかったかもしれません。これって、やっぱり性格的なものなのかもしれません。「親にさえ助けてもらえなかったのだから、赤の他人が助けてくれるはずがない」という考えがしみ込んでいて・・・
実際、心配してメッセージをくれた友達もいたのですが、なんと返事をしたら良いのか分からずに放置してしまいました。放置したら余計に心配かけると思ったのですが、助けて!って言ったら何をおいても来てくれそうで、それがまた申し訳なくて・・・そして、どう返信しようかと考えている間に、月日がたってしまいました。ダメですね、こんなだから私は上手く人間関係を続けていけないのかもしれません。今からでも、連絡をくれた友人にコンタクトをとって謝ろうと思いつつ、「今更・・・」とか思われたら怖いという思いもあって、何もできずにいます。こんなのはいけないと分かっているのですが、動き出すことができません。
なおみ
心配してくれた人には、メールをして下さい。
そして、正直な気持ちを伝えて下さい。
手を差し伸べてくれた人は、大事にしましょう。
もし可能なら、今度お買物をお願いしてもいい?
または、今度病院に連れて行ってもらってもいい?
と聞いてみて下さい。
メールをしてくれた方は、イチイさんのために、何かしたいのです。
何か、させてあげてくださいね。
それが多分、1番嬉しいこと。
もし「出来ない」と言われたら、「わかったわ、気にしないで」と応えればよし。
イチイさんも、気にしない。
イギリスでは、ものすごくシンプルに考えた方が良さそうですね。
まずは、メールをしてみて。
イチイ
コメントを読んでから何度かメールを書こうと思ったのですが、途中で止まってしまうのです。そして、その理由を考えてみたのですが、たぶん「薄情な人」と思われて嫌われるのが怖いから、このままだったらそう言う酷い言葉を聞くことだけはないからだ、と思いました。でも、彼女はそんなことを言う人だろうか?と思った時、即座に「そんなことはない!」と確信できました。何と言いますか、面倒なことや怖いことから目を逸らしていただけだということに気付いたのです。やらなくちゃ・・と思いつつ、やらない言い訳をみつくろっていたことに気付きました。がんばりますね。