ボリス首相、労働党議員に肉薄される

ここ数日イギリスを騒がせている
ドミニク・カミングス氏について、
昨日の夕方、議員達がボリス首相に生放送で
肉薄していました。

カミングス氏のための質疑応答ではなく、
コロナウイルス対策全般に関するものではありましたが、
数人の議員がカミングス氏の行動と政府の対応について
鋭い質問を投げかけていました。

特に、労働党のイヴェット・クーパー議員が、
民意を伝えていたように思いました。

ただ、ボリス首相が回答した内容について
イヴェットさんが追加の質問をしようとしたら、
司会進行役の議員に「時間切れです」と遮られて、
中途半端なままで終わってしまいました。

時間切れと言っていた割には
その後1時間以上も質疑応答をしていましたし、
他の議員はイヴェットさん以上の時間をかけていたので、
私の目からは、進行役も首相の息がかかった人で、
状況が悪くなったら質問を遮るよう
事前に依頼されていたように見えました。

イヴェットさんの質問は、こういうものでした。

「カミングス氏が、自分たちが倒れたときに
子供の世話ができなくなるかもしれないと
260マイルも離れた両親の家へ行ったことが
子供の世話をするための
「Exeptional Difficulty(非常に困難な障害)」であるから
彼の行動には何の問題もない、
と政府は結論づけている。

しかし、「Mum's net」の統計によると
コロナウイルスを発症した子持ち家庭のうち
4分の1に当たる人たちがカミングス氏と同様に
地元に子供の面倒を見てくれる人がいなかった。

そして、これは「Normal difficulty(普通レベルの困難)」
であると考え、政府の言いつけを守って、
遠く離れた地にいる
子供の面倒を見てくれそうな人のところへは行かなかった。

ところが、今日の統計では、
この人たちのうち3分の1が、
「今から時を戻せるなら、遠く離れたところにいる
子供の面倒を見てくれそうな人のところへ行っただろう」
と回答している。

これについては
政府の指示がクリアではなかったことになるが、
それについてどう思うか?」

これに対してボリス首相は
話題をすり替えていました。

「私たちの指示は変わりません。
手を洗うこと、
Social Distansing(2mの距離)をとることが必要である、
ということです」

この質問に限らず、
他の問いに対しても似たような答えを繰り返し、
『もう過去のこと、終わったことなのだから、
今後のことに注視すべきだ』と訴え続けていました。

でも、これを聞いたイヴェットさんが
「それは、私の質問に対する答えにはなっていません」と答えると、
ボリス首相はその言葉を途中で遮って、声を大きく抗弁し、
イヴェットさんの言葉を遮ろうとしました。

しかしイヴェットさんは言葉を切ることなく、
「私が知りたいのは、子供を世話してくれる人を求めて
遠くの地へ行ってもいいのかどうかということです」
という彼女の質問の趣旨を繰り返しました。

すると、ボリス首相はこう答えました。

「それぞれのケースを検討しなくてはならない。
上級顧問のケースは
Exceptional difficulties だっただけのことで、
それ以上、私が言うことはない」

これを聞いたイヴェットさんは
ゆっくりとした声でこう言ったのです。


Here is the problem, Prime Minister.

The reason you are not giving people a straight answer is because you are trying to protect Dominc Cummings.

You are saying ...(略) you don't want to apologise for him.

The problem is that that means you are putting your political concerns ahead of clear public health messages to parents who have coronavirus.

And the concequence to that is you are putting your political concerns above the natinal interest.


(首相、これが問題なのです。

私の質問に対して明確な回答を提示できないのは、ドミニク・カミングスを守ろうとしているからなのです。

あなたは、彼のために謝罪したくないだけです。

私が問題視していることは、この事実が「コロナウイルスを発症している親に対する明確なメッセージを伝えることよりも、あなた自身の政治的な問題を重要視している」のだと示していることです。

つまりは、イギリス国民の健康という「国の利益」よりも、あなた個人の政治的な利害を優先しているのです)


すごいですよね。
生放送なのに、論理的に首相を追い詰めています。

これに対してボリスさんは、
こう答えていました。

「もちろん、
私は British National(イギリス国民) を優先している」

これもまた、うまい返答です。

『イギリス国民を優先する』ということは、
「国民に明確な指示を与える」ことも含まれるでしょうし、
「Brexit に必要な人材であるカミングス氏を手元に置き続ける」
ことも国民の利益となり得ますので、
カミングス氏の慰留についても
『イギリス国民を優先』していることになります。


ボリスさんは「大事なのはこれからだ」と訴え、
カミングス氏のことは「終わったこと」にしたいようです。

実際、このまま「終わったこと」になるのか分かりませんが、
オンラインではカミングス氏辞任についての請願書に
100万人近くの人が署名しています。

現在、914,135人が署名していますが、
これからも増えると思います。

ニュースは落ち着いてきましたので、
このまま消えていって
何もなかったことになりそうな気もしますが、
様子を見守りたいと思います。


こちらは、我が家で咲いている
ムンステッドウッドというバラです。

沢山咲いてくれているので、
こうして部屋に飾って楽しんでいますが、
前にも書いたとおり ↓
1-2日しか花がもたないのが残念です。

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この記事へのコメント

  • ミルモ

    イチイさん(^o^)/

    これで辞任しなかったら、他の議員たちもぐるだね。この後が楽しみですね、どんな結果になるんでしょうか?ないないで終わるんですかね?・・・
    2020年05月28日 19:35
  • イチイ

    ミルモさん、コメントをありがとうございます。
    昨日から、おかしいほどニュースで報道されなくなりました。他のニュースもなく、くだらない話題(各家庭のエクササイズ動画とか)ばかり繰り返していて、もう「終わったこと」扱いです。
    視聴者参加型の討論番組では取り上げられていましたが、テレビ局も新聞も政府の息がかかったのかもしれません。
    2020年05月30日 19:53
  • ミカ

    イチイさん、こんにちは!

    興味深いお話です。
    詳しく教えてくださって有難いです。

    こんな時代ですから、冷静な対話で賢明な帰結が欲しいですね。

    またお教えくださいませ。
    2020年05月31日 12:54
  • イチイ

    ミカさん、コメントをありがとうございます。
    ご無沙汰していますが、お元気でしたか。カミングス氏の件は、結局何も起こりませんでした。請願書も、結局のところ皆の自己満足なのかもしれません。マスクのことといい、ちょっとボリスさんのやり方に疑問を感じつつあります。。。
    2020年06月04日 19:17