イギリス首相上級顧問 ドミニク・カミングスの言い分

さっき投稿したブログの続きになりますが、
ドミニク・カミングスさんが会見を開きました。

さっきのブログは、こちらです ↓


午後4時から会見をする予定が、
開始が30分も遅れて、
4時31分から始まり、5時36分まで続きました。

彼の言い分は、こうでした。

3月27日(金)の午後、
奥さんにコロナウイルスらしき症状が起きたので
急いで帰宅したところ、
2-3時間後には具合が良くなった。

もし自分と奥さんがコロナウイルスで入院したら、
4歳の子供の面倒を見る人がいなくなるから、
奥さんと話し合った末に、
ダーラムにいる両親にサポートしてもらうことにして、
その日(3月27日)の夜に家を出た。

だが、タクシーがなかったので、
250マイル(約400kkm)を運転して
ダーラムへ行った。

両親の農場の敷地には
誰も使っていない家(コテージ)があったので、
そこで自己隔離をしていた。

4月2日に具合が悪くなったが、
自己隔離を続けていたら回復してきて、
検査を受けたら陰性だった。

奥さんから「あなたはロンドンに帰るべきだ」と言われたが、
視界がボヤける症状を感じていたので、
長距離を運転して帰れるか心配だったから、
4月12日に、運転できるかどうか様子をみるために、
バーナード城へ行った。

バーナード城へは入場することなく、
15分くらい川辺に座っただけで、すぐに帰った。
そのときに、1人の老人が自分に気づいた。

帰り道で子供がトイレに行きたいと言ったので
車を停めて、Breifly(少しの間)
その周辺で時間を過ごした。

翌日の4月13日(月)に車を運転して、
家族そろってロンドンに帰ってきた。


===

ちなみに、イギリスでは
4月10日(金)と13日(月)はイースター休暇なので、
四連休でした。

正直な感想を言いますと、
具合が悪くなったのは本当かもしれませんが、
元々イースター休暇に計画予定していたホリデー、
しかもコロナウイルスの疑いありとして
2週間の自己隔離(無労働)が必要になったので、
予定を早めてホリデーに出かけて、
家族揃って『自己隔離』とう名目のもと、
のんびり過ごしていただけじゃないの?
と思いました。

しかも、自己隔離中に、
たまたま奥さんの誕生日が重なっていたそうです。

また、「breifly」の定義にもよりますが
お城が見えるところにいたら
人に見つかってしまったので
「これは、まずい」と思って場所を移動して、
家族で散策を楽しんできたように思えます。

『トイレで降りた』場所は、
ブルーベルの群生地として有名な場所だった、
という噂もあるくらいです。

そもそも試運転だったら
わざわざ観光地へ行く必要があるのでしょうか?

事情説明の後、
記者たちが質問したのですが、
私と同じ疑問を感じた記者がいました。

その女性記者は、こんな風に聞いていました。

「試運転ということだが、
ロックダウンの決まりでは、
皆が地元以外の場所へ行くことが禁じられていた。

(1日1回のエクササイズは2マイル以内、
家から10分以内くらいのところしか
行ってはいけないことになっていました)

なぜ30マイルも離れたところへ
片道30分もかけて行ったのか?

仮に試運転が必要だとしても、
とりあえずロンドンへ向けて運転して、
ダメだったら戻ってくればいいのではないか。

わざわざ遠くの景勝地へ行く必要はないのでは?」

これについては、こう答えていました。

「長距離が運転できるか分からなかったから
ある程度の距離を運転して様子を見たかった。

ロンドンへ向けて運転して戻ってくるのは
考え付かなかった。

バーナード城へ行っても入場することなく、
15分くらい川辺に座っていただけで、
すぐにバーナード城を後にした」

他の人は、こんなことを聞いていました。

「子供の世話をする人がいなかったと言いますが、
たとえばシングルマザーが
コロナウイルスに感染しても政府のルールを守って、
そのために大きな犠牲を払ったりしています。

その点については、どう思いますか?」

その答えは、こうでした。

「そのケースは自分には当てはまらないし、
私の場合は両親のところへ行くのが、
もっとも Reasonable(妥当)だと思った」

他の記者は、セカンドホームへ行くことを
ロックダウンのルールで禁じている点を持ち出して、
こう聞いていました。

「それは両親の農場にあるかもしれませんが、
『セカンドホーム』みたいなものではありませんか?
セカンドホームであれば、明確な違反です」

その質問には、こう答えています。

「コテージといっても
コンクリートの塊みたいなもので
セカンドホームではありません」

・・・・・イギリス人は本当に口がうまいです。

材質が何であろうと、
それってセカンドホームみたいなものですよね?

両親の実家だって、
セカンドホームみたいなものでしょうし、
生活できる環境の整った場所であれば、
しかも家族そろって滞在できるコテージなら
立派な「ホーム(家)」だと思います。

イギリスの会見では、
日本の記者会見みたいな『遠慮』がないので、
みんないろんな角度から質問をしていて、
咄嗟にこういうことが言えるなんて、
優秀な人たちだなぁ、
と感心しながら聞いていました。


結局、カミングス氏は辞任するつもりはなく、
それについて聞かれたときには
「それを決めるのは自分ではなく、ボリス首相だ」
と答えていました。

しかも「間違いを犯したとは思わない」と言って、
謝罪の言葉が一切ありませんでした。

「他の人と同じように
自分は沢山の間違いを犯しているが、
この2週間の出来事については
間違っていたとは思わない」のだそうです。

そしてさらに驚いたのが、記者たちが
「ロックダウンのルールに違反する行為ではないのか?」
と聞いたときに、こう答えていたのです。

私は耳を疑って、
BBCのサイトでもう一度会見を聞き直したくらいです。

「何十ページもあるロックダウンのルール(法律)は
人々のすべての行為を定義するものではない。
人は自分で考えた決断を行使するものだ。
(People excersise own judgement )」

これって、ルールに違反した人を
警察が取り締まって罰金を徴収していたくせに、
それを「守らなくていい」とは言っていないものの、
ルールよりも自分の意思を優先することが正しいと
言っているようなものですよね?

しかも、自分が作ったルールのくせに・・・

いや、それとも自分が携わって
『国民のために』作ったルールだから
神様的な目線で認識していて、
自分は例外だと思っていたのでしょうか。

「自分の決断を行う」ことが正しいのであれば、
「自分が安全だと思ったから遊びに出かけた」とか
「安全なところへ行くために遠くの観光地へ行った」とか、
そういうことが許されることになります。

これを聞いて、罰金を取られた1万人近くの人たちが
「罰金を返せ!」と言いたくなるんじゃないかしら?
と思いました。

このニュースが最初に報道されたのが金曜日のことで、
3日間じっくり対策を考える余裕があったわけですから
それなりに納得のできる辻褄合わせができています。

さすが首相の戦略顧問というところでしょうが、
それでもニュースのコメンテーターたちは
こんなことを言っていました。

「試運転で景勝地へ行く理由が説明されていない」

「時系列を緻密に説明していて、
そのこと自体が、あらかじめ戦略を練って
準備したシナリオであることを証明している」

「我々が2カ月間も犠牲を払いつつ
耐えてきたことを無にするような行為だ」

「本人の視力に問題があるなら、
試運転などせずに、
奥さんが運転して帰ってくればいいじゃないか」

「視力がぼやけているくせに、
4歳の愛息子を車に乗せて運転するのか?」

「奥さんや子供を持ち出して
同情を買おうとしているだけだ」

どれもこれも、納得できる言い分でした。

いずれにせよ、昨日のボリス首相の発言に対して
(カミングス氏を擁護し、解雇しないこと)
国民の大半がガッカリしたことは確かで、
人心の吸引力を喪ったことは明らかです。

今日のボリスさんの定例生放送会見では、
記者たちからカミングス氏の言い分についての質問があり、
さすがに言いよどんだりはしていませんでしたが、
上手く話題をすり換えて、
「いずれにせよ、2mの距離を保って
感染しないようにしましょう」などと纏めていました。


それにカミングス氏が変な言い訳をしたせいで、
今後、外を出歩く人(ルールを守らない人)が
増えそうな気がします。

警察に捕まっても
「People have the right to excersise own judgment」
(人は自分の決断を行使する権利があるはずだ)と言って、
それでも罰金を科せられたのであれば、
カミングス氏も同罪ということになりますから・・・

ボリスさん、実は国民の一部の人たちからは
かなり嫌われているので、
この先、コロナウイルス対策やBrexit対策で
かなり苦労しそうな気がします。

兎にも角にも、昨日の会見が致命的でした。
テレビのコメンテーターも、
昨日の会見こそ、国民に指導力を測られる
「Real test」だった(真に試される機会だった)
と言っていました。

いずれにせよ、国民の期待と努力を
裏切るような行為であったことは事実なので、
今後ボリスさんが苦労したとしても、
自業自得なのかもしれません。

考えすぎかも知れませんが、
カミングス氏は頭の良い人なので
「まさか自分をクビにはできないだろう」
「自分なら、バレないようにうまくやれる」
などとタカを括っていたのかもしれません。

実際、ボリスさんには
カミングス氏が必要なわけですし、
頭の良い人ならその状況は分かっていたでしょう。

それを知ったうえでの行為だとしたら、
選民意識を持っていて、
国民のことを見下していたことになります。

そんな態度をとられたら、
当然、イギリス人も怒りますよね。

素直に非を認めて謝罪し、
必要であれば罰金も払って、
「政府にはどうしても必要な人材だから
上級顧問職を辞することはありません」
と正直に言ったほうが
みんな納得できたと思うのですが、
「オトナの世界」では
そうもいかないのかもしれませんね。

主張の激しいイギリス国民が、
これにどう反応していくのか、
興味が尽きません。

与党の保守党議員でさえ呆れたようで、
会見が終わって1時間足らずの間に
20人の保守党議員がカミングス氏の辞任を支持する、
と表明していました。

日本だったら「なぁなぁ」で、
いつの間にか他のニュースにとって代わられそうですが、
この国は特権階級(貴族)が存在するだけに
ダブルスタンダード、
特に裕福なものが優先されることに
かなり拒否反応を示す傾向があるので、
このままでは済まないと思います。


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この記事へのコメント

  • ミルモ

    イチイさん(^o^)/

    一般の国民と上級国民の違いだね。こんな事は何処の国も、同じようなもんです。後で問題になるのも分かってて、こんな行動をしてるんでしょうね。自分から辞任とかは無いだろうね。今の時代に貴族とか、必要なんですかね?・・・またね。
    2020年05月26日 17:51
  • イチイ

    ミルモさん、コメントをありがとうございます。
    イギリスの貴族制は根が深いのでなくなることはないと思います。結局、カミングス氏は Brexit に必要なので首にならないような気がします。実際に彼がいないとたいへんなことになるので、クビにしなくていいので、ちゃんと謝罪して罰金を払って欲しいと思います。
    2020年05月27日 22:16