実は、今回実家に滞在して、
分かったことがあります。
実は、9月に家を買ってから、
複数の業者から毎月、
前の住人宛に手紙が来ていたのです。
そのたびに、開封せずに
「この人はここに住んでいません。
差出人に送り返してください」
と封筒に赤字で書いて、
ポストに投函していました。
それでも、今だに手紙が届くのです。
そんな話を、何気なく同僚に伝えたら
「それ、絶対に開封してみたほうがいいよ。
借金の督促状だったら、洒落にならないから」
と言われたのです。
この国では『クレジット・レート』というものが重要で、
いくら自分が真っ当に生きていても、
ちょっとしたことでレートが下がってしまうのです。
このクレジット・レートについて簡単に説明しますと、
『個人がどの程度財政的に信用できるか?』
ということを記録している会社があって、
金融機関など各種機関はその情報を元に
個人の信用度合いを評価しているのです。
言い方を変えますと、
クレジットレートを付ける会社があって、
国民一人一人についての記録を保有し、
「携帯料金などを滞納したことがないか?」
などといった細かな記録が
過去数年分に渡って残されていて、
それに基づいて、個人の信用度合いが
ランク付けされているのです。
そして、そのランクというのは
『私』という個人のランクであるにもかかわらず、
信用度合いの判断基準は、住所なのです。
たとえば借金をしている人が引っ越して、
借金をしている会社に住所変更を申し出ていなければ、
その人の借金は元の住所に紐づいたままとなって、
その住所に引っ越してきた人の記録と
混同されてしまうのです。
もう少し具体的に説明しますと、
たとえば、Aさんが2019年9月まで
XXXという住所で借金をしていたとします。
Aさんは10月からYYYに引っ越したけれど、
住所変更を届け出なかったら、
借金の督促はXXXに行き続けるわけです。
そこ(XXXと言う住所)にBさんが引っ越して、
公共料金などの支払者をBさんに変更すると、
それを根拠としてクレジットレート会社は
XXXの住民はBさんである、と記録を変更します。
でも、借金をした住所は
XXXのままで、YYYに変更されていないため、
XXXの住所を引き継いだBさんに、
その借金の情報が紐づいてしまうのです。
Bさんがした借金ではないので返済義務はないのですが、
クレジットレート会社は、
そんな事情(実際に誰が返済しているか?ということ)
までは知りえないため、
『この借金督促はXXXに送られている。
XXXの住人はBさんだ。
Bさんが借金を返済していない』と結論付け、
Bさんのクレジットレートが下がってしまうのです。
このクレジットレートが下がると、
ローンが組めなかったり、
酷くなると携帯の契約ができなかったり、
場合によってはアパートを借りることすらできなくなるそうです。
そんな話を聞いて恐れをなした私は
人様宛の手紙ではありましたが、
とりあえず開けてみたのです。
すると、なんと ここ1カ月に届いた手紙のうち、
1通を除いて、すべて借金の督促状でした!!
もう、びっくりです!
赤の他人がした借金のために、
私のクレジットレートが下がっては大変!と思い、
すぐに差出人たち全員に電話を掛けて、
事情を説明しました。
家を買ったのが9月で、
連絡をしたのが2月だったことを
問いただしてきた会社もありましたが、
「自分は住んでおらず、知りませんでした」
と正直に答えました。
とりあえず「分かりました。これからは督促状は送りません」
と言ってもらえましたが、
この数か月の間で、私のクレジットレートが下がっていたら・・・
と思うと、気が気ではありません。
気になったので調べてみたのですが、
Pastdue という会社は、
借金を取りたてる専門機関らしく、
電気代などを滞納したお客に対して、
電力会社が何度も督促しても払ってもらえず、
お手上げ状態となった案件を引き受ける会社で、
かなり強力な督促権限を持っているようでした。
もちろん、この会社に借金の情報が渡った時点で、
その人のクレジットレートは下がります。
そして、Cabot Financial という会社は、
どうやら「おまとめサービス」的な会社のようで
複数の会社からしている借金を1つにまとめて、
その会社に対して返却するシステムの会社のようでした。
でも、上の写真を見て分かる通り、
Cabot から2通の手紙が来ていました。
前の住人の名前が Suzanne という人のようで、
Suzzannne XXX(苗字)という名前宛と、
Susy XXX(苗字)という名前宛の、
2通の督促状が来ていたのです。
どちらも金額が違っていたので、
Suzannne と Susy として、
つまり2人(別人)として
「おまとめサービス」のアカウントを2つ利用していたようです。
ここまででも「呆れて、物も言えない」
と思っていたのですが、
もう1通の手紙が、これがまた重くて・・・
その手紙は分厚くて、
差出人が書かれていませんでした。
でも、宛名が男性の名前だったので、
借金をしていた女性とは違う人宛のようです。
A4サイズ10枚以上にプリントされた手紙には、
手紙の受取人が薬物中毒のリハビリを
途中でやめたことについて書かれていたのです!
励ましの言葉が連なっていましたが、
一言でまとめると、こんな内容でした。
「あなたがリハビリをやめてしまったのは残念だ。
また周囲の人を心配させているみたいだから、
もう一度リハビリをやってみませんか?」
これはぜひ受取人に届けたいとは思いましたが、
前の住人の名前も引っ越し先も聞いていないので、
どうしようもありません。
差出人も書かれていないので、
返送することすらできません。
せっかく心を込めて書いた手紙なのに、
届けることができないのは残念ですが、
でも、正直なところ、
あまりこういうことには関わりたくない、
と思ってしまう自分がいます。
と言いますのも、
薬物中毒なんてドラマでしか知らず、
あまりに荒唐無稽と言いますか、
別世界の話のようで、ピンとこないのです。
人それぞれ色んな事情があるんだなぁ、
とは思いましたが、
私は自分の食費を切り詰めてでも
家賃や光熱費を先に払うようにしているので、
借金をするという感覚が良く分かりません。
しかも、内覧のときに会った前の住人
(たぶん、Suzanneさん)は、
IKEAみたいな安物じゃないソファに、
大型フラットスクリーンのテレビ、
美しい装飾の入った鉄製のガーデンセットなど、
私よりもずっと良いものを持っていました。
私なんて、テレビを買うお金と視聴料が勿体ないから
テレビは持っていませんし、
買った家に置いたソファだって
オークションサイトで買った安物です。
もとから貧乏生活をしていて、
贅沢に慣れてないせいかもしれませんが、
「借金をしてでも贅沢品を買う」という感覚が
よく分かりません。
かつて、「毎日、身近で触れるものは良いものをもちたい」
と言っていた人がいました。
その人は、同居人が買ったトイレットペーパーの質が悪い
という話から、そんなことを言っていました。
「貧乏だけど、直接肌に触れる
トイレットペーパーくらいは高級品を使いたい。
高級品と言っても、たかが知れている値段だしね」
そう言っていた彼女の気持ちは分かりますが、
自分がそうするか?と聞かれたならば、
その答えは NO です。
だって、一瞬で使い捨てるのだから、
文字通り「お金を捨てる」ようなものだと思ってしまうのです。
捨ててもいいくらいお金をもっていたなら話は別ですが、
私のような安月給の事務員には、無理な話です。
でも、もしかしたら前の住人も、
毎日 目や手に触れるものは良いものをもちたい、
と考えていたのかもしれません。
それは素敵な考えだと思いますし、
そう考える感性は理解できるのですが、
でも、そういう贅沢なことをできるのは、
先立つものがあってこそと言いますか、
お金を持っている人にのみ許されるものだと思っていました。
お金がなくても贅沢をする、
という発想があることに、とても驚いたのです。
それにしても、この家は築10年弱ではありますが、
きっと色んな人間ドラマを見守ってきたのでしょうね。
この記事へのコメント
アラフィフの派遣
きた手紙全て関わりたくないですね。
それにしても、世間話を出来る同僚がいて良かったですね。そして世間話って生活していくのに重要なんですね…
ミルモ
他人の事で自分の信用や評価が、悪くなるのは困ったもんですね。前の人の郵便物は目を通しておいた方がいいですね。お金の使い方は価値観の問題でしょうね。お金がなくても贅沢するのは、ただの見栄でしょうかね?クレジットカードで買い物すると、借金してるって感覚が薄れてしまいますね。イチイさんに害が及ばないように、郵便もその他の事も気を付けとかないとね。・・・体調はどうですか、蕁麻疹は楽になりましたか?ご飯はちゃんと食べてね。ジャンクは駄目よ(*^-^*)・・・またね。
イチイ
そんなこと、考えもしませんでした! でも、言われてみれば悪質な詐欺の可能性もありますよね。確かに差出人が書いていないのも、おかしいと思います。本当に、今日のコートのことといい、世間話って必要なんだなぁと思いました。
イチイ
蕁麻疹はおさまりました。ご心配をおかけして、すみませんでした。治ったあとがカサカサしていますが、あとは保湿していれば元に戻ると思います。
お金はあるにこしたことがありませんが、使い方、価値観などは人それぞれなんだなぁ、と思いました。私はイギリスに来てからようやく貯金できるようになりましたが、それまでは貯金したくてもできないくらい貧乏だったので、もともと自分の分を超えてお金を使う習慣がなく、本当に驚きました。