大好きだった同僚がクビになって、
一昨日、その人と会ってきた後、
奈落の底に落ちたような、
重苦しくて暗い気持ちになってしまいました。
昨日は、ブログを書き始めたものの、
何からお話ししたら良いのか分からず、
報告が遅くなってしまい、すみませんでした。
今でも、何からお話ししたら良いのか分かりませんが、
話を聞いて頂けると嬉しいです。
一昨日の夜、会社を解雇された先輩に会ってきました。
まずは、私が聞いた解雇の状況について、
説明させてください。
先輩は夕方5時前に会議室に呼ばれ、
その場で解雇を言い渡され、
そのあと、人事のスタッフに付き添われて、
ビルの出入口まで行って、
そのまま帰らされたそうです。
つまり、いきなり会議室に呼ばれた後、
そのままデスクには戻れなかったのです。
会議室で「最低限、必要なものはありますか?」と聞かれ、
突然のことでパニックになっている頭で
「コートと携帯とカバン」と答えたら、
上司がそれを取ってきて、
ビルの出口で彼女に渡したそうです。
「会議の間も、荷物を渡すときも、
彼は一度も私と目を合わさなかったわ」
そう言った先輩は、
とても悲しそうに見えました。
気まずさは分かりますが、
せめて「Good Luck」の一言くらいは
心を込めて、目を見ながら
言って欲しかったのだと思います。
なぜデスクに戻ることが許されないのかというと、
解雇を言い渡された後で、
会社に対する腹いせとして情報持ち出しなど
何か悪いことをするのを防ぐためで、
解雇された人は皆、そのように対応されるそうです。
世間一般で行われているようではありますが、
あまりに残忍と言いますか、
人をモノのように
ポイっと捨ててしまうような対応に、
驚きを通り越して、ショックを受けました。
私たちが辞めるときは
1カ月前などの告知を要求するのに、
会社は告知なしで解雇できるのか・・・と思うと、
雇用関係は決して同等ではなく、
単なる隷属契約のような気すらしてしまいました。
先輩は、クビになるとは夢にも思っていなかったので、
茫然としたまま、会社を後にしたそうです。
そして、解雇を言い渡されたときに、
Package(パッケージ)と呼ばれる、
退職金や一時金などが書かれた書類が渡され、
その場で、了承のサインを求められたそうです。
場合によっては、
「後日、改めて・・・」などと言って
サインを先延ばしすることもできるそうですが、
先輩としては、またここに来て
パッケージにサインするのは嫌だと思って、
その場でサインをしたそうです。
先輩と会った日の夜は、
解雇を言い渡された翌日だったこともあり、
「まだ、ピンとこない」と話していました。
ただ、きっと前日の夜は眠れなかったんだろうな、
と思うような、赤い目をしていて、
目の下にもクマができていました。
無理して笑おうとする先輩が痛々しくて・・・
でも、私が泣くのはお門違いだ、
泣きたいのは先輩なんだから・・・と思い、
ただ黙って話を聞いていました。
先輩は、こんなことを言っていました。
「同時期に入った人が、
うまく上司に取り入ってどんどん出世するなか、
私はそうやって上手く自分をアピールできなかったから
ずっと平社員のままなことに、
焦りを感じてはいたの。
誠実に仕事をしてきたつもりなんだけど、
自分を殺してでも、
上司にアピールするべきだったのかもしれない」
『上司に取り入って出世する同期』が
誰のことか分かっているだけに、
切なくなりました。
お調子者で、仕事が雑なうえに、
他の人がやったことを、
さも自分がやったかのように振舞う先輩がいるのです。
査定も、結局のところ上司1人がコメントを書き、
部長がそのコメントに承認印を押すだけなので、
その上司を味方につけることができた
お調子者の先輩のほうが、
世渡り上手なのでしょう・・・
「本来であれば、クビになるのは
あのお調子者の先輩のはずなのに」
そんなふうに思いましたが、
そんなことを言っても意味がないので、
ただ黙って先輩の話を聞いていました。
これまで色々と教えてもらったことに対するお礼と、
皆が先輩の解雇にショックを受けていること、
そして、先輩自身には何の非もないと思うことを
伝えるのが精一杯でした。
そして、昨日になって、
「これは組織改編による解雇のようだ」
という噂が流れました。
噂が本当であれば、
そして、そのことを先輩に伝えることができたら、
「上司にアピールできず、
仕事ができないと判断されて解雇された」
と思っている先輩の気持ちが、
少しは楽になるんじゃないか?と思った私は、
どうにか、噂が本当であるかどうか、
確認できないか考えてみました。
そこで、トイレで部長秘書と立ち話をしたときに、
「あの解雇、とてもショックです」と話を振ってみました。
すると、こんなことを言われました。
「少し前に、プロジェクトXXXっていう、
経費削減のための解雇プロジェクトがあって、
でも、それはとっくに終わってるはずなのよねぇ」
そこで、こんな風に聞いてみました。
「では、組織改組とかなのでしょうかね?」
「そうかもしれないわね。
少なくとも、彼女はそのプロジェクトでの
解雇者リストにはなかったのだから、
彼女のパフォーマンスが理由で、
解雇になったわけではないはずよ」
確証がとれたわけではないのですが、
こう思ってしまいました。
もしかしたら、嘘でもいいから、
「組織改組が理由で、パフォーマンスが理由ではない」
と先輩に伝えたら、
先輩の気持ちが楽になるかもしれない・・・
でも、いくら先輩の気持ちを楽にするためとはいえ、
嘘を言ってはいけない!と思い直し、
組織改組の有無を知っていそうな人はいないか、
知恵を絞って考えてみました。
そこで思いついたのが、
ファシリティスタッフです。
組織改組があるなら、
デスクの移動などがあるはずなので、
すでにそういう依頼が入っている可能性があります。
そこで、よく立ち話をする間柄のファシリティスタッフに、
「組織改組があるらしいと聞いたのですが、
これから色々と大変ですね」と声を掛けてみました。
すると、やはり組織改組があることが分かりました。
私の力では、これ以上探ることができませんでしたが、
先輩の携帯に、こんなメッセージを送ってみました。
『近いうちに組織改組が予定されているので、
もしかしたら、組織改組によって
先輩のポジション自体がなくなった、
つまり、解雇されたのは「先輩」ではなく、
「先輩のポジション」なのかもしれません』
先輩からは、「ありがとう」という返事がきました。
もしかすると、先輩は「単なる慰めのために書いた」
と思ったかもしれませんし、
今の私には、これが精いっぱいですが、
組織改組が行われて、
先輩のポジションがなくなっていたら、
また先輩に連絡を入れてみようと思います。
そして「先輩のために何かできないかな?」と考えた末に、
Nさん経由で知り合った、
同業他社の人に Internal Vacancy がないか、
メッセージを送って、聞いてみました。
Internal Vacancy というのは、
社内で欠員が出た場合、
まず社内で募集をかけるシステムのことです。
社員のキャリアアップなどを目的としているようですが、
たとえば、ある社員が今の仕事に不満を持っていた場合、
他社へ転職されるよりは、
すでに蓄えた知識をもったまま
違う部署に異動してもらったほうが、
会社としてもメリットがあるため、
イギリスでは一般的な求人形態となっています。
Internal Vacancy なので、
まず社内の人が優先ではありますが、
社内で適切な人がいなかった場合、
派遣会社などを通して人材を募集することになります。
しかし、たとえば私が Internal Vacancy を見て、
「あ、この仕事、友達のAさんにピッタリ」
と思ったとします。
すると、私がAさんを人事に紹介して、
Aさんが採用されることになったら、
私にインセンティブ(現金)が入るのです。
派遣会社を通すと、
場合によっては何百万円もの手数料を払うことになるため、
それよりもずっと安い金額を社員に払うだけで済むので、
会社にとっても、紹介する人(社員)にも、
そして採用された人にもメリットがあります。
私は、もともと知り合いが少ないので、
メッセージを送れたのは2人だけですが、
2人とも、先輩のキャリアに合いそうな仕事がある、
という返事をくれました。
先輩が転職先を探しているのかは分かりませんが、
これまで、1日の大半を会社で過ごしていたのが、
急に何もやることがなくなってしまったら、
暗く考えこんで、内に籠ってしまうかもしれません。
そうやって内に籠ってしまったら、
今度は、外の世界に出ていく一歩が重くなってしまい、
どんどん気持ちが落ち込んでいくかもしれません。
私が、そういうふうに籠ってしまうタイプだから
そう思うだけで、先輩は大丈夫かもしれませんが・・・
でも、もしかしたら先輩も
似たような気持になるかもしれないし、
そうであったならば、そうなる前に、
まだ動ける元気が残っているうちに、
「この会社以外にも、選択肢はたくさんあります」
ということだけでも伝えたいと思ったのです。
解雇というのは経験したことがないので、
あくまで想像することしかできませんが、
私だったら、
自分の会社人生を否定されたような気持になって、
自信を無くしたり、
前へ進む勇気が出ずらくなるような気がします。
だから、そうなってしまう前に、
目を前に向けてもらえたら・・・と思ったのです。
知り合いの人たちは、
先輩のキャリアに合いそうな仕事の詳細を、
私の会社のメールアドレスに送ってくれたそうなので、
来週になったら、先輩に伝えようと思います。
そして、最後になりましたが、
「会ったほうがいい」とアドバイスをしてくださった皆さん、
心から感謝しています。ありがとうございます。
自分だけだったら、
「連絡されても迷惑かもしれない」と思って、
きっと先輩に連絡しなかったと思います。
会社に対する失望と、
先輩の傷心の深さを思うと悲しくなりますが、
それでも、先輩に会えて良かったです。
突然ですが、
実は今日からクロアチアのドブロブニクに来ています。
ジム友のこととか、先輩のこととか、
色んな事が次々と起きていたので、
旅行に行きます!というブログが書けていませんでした。
2泊3日の旅行ですが、
夜中の2時に家を出て、バスに乗って空港に行きました。
ドブロブニクは、箱庭のように美しいです。
でも、昨夜一睡もしていなかったせいで、
ちょっと街を歩いただけで疲れてしまい、
宿に戻って昼寝をしていたら、
夜になってしまいました・・・
明日、ちゃんと街の写真を撮ってきますね。
この記事へのコメント
なおみ
イギリスの福祉は手厚い(生活保護者とか)というけれど、企業はそんなにも厳しいのですね。驚きました。
彼女はどんなにか哀しく、苦しいでしょうね。
怒りはエネルギーに変えられるけど、喪失感を埋めるのは容易ではない。
自分を否定される気持ちを、イチイさんは強く共感できます。
イチイさんも今、とても哀しいですね。
でも、今までのイチイさんとは違う。
大切な誰かのために嘆くだけではなく、力になろうとしている。
その応援する気持ちと行動、ぜひ、彼女に伝えて欲しいです。
これから踏み出す彼女の一歩の、大きな励みになるはずです。
かけがえのない友人を大切にするって、こういうことなんですね。
こゆきん
影ながら、イチイさん、応援しています!
的確にコメントしている方々も素晴らしいです。
アラフィフの派遣
たしかイチイさんの隣に、性格がやっかいで、大して仕事もしない。この人のせいで何人も辞めていった。身から出た錆で今は休職ですか。
仕事ができないしやろうともしないような人だけど、会社がクビにしないのは「イギリスは労働者が強い社会だから。訴訟おこされたら会社が負けるから」と言ってませんでしたか?
訴訟おこせば会社が負けるのなら、この先輩こそ訴訟おこせばいいのに。
そして本当に労働者が強い社会なら、こんなクビのされかた有り得ないと思うんです。
ミルモ
残念だったけど仕方ないね、回りでどうにか出来る事でもないしね。組合とかはあるよねイギリスも?日本とは違うだろうけど。きっとその方はまた自分の力を出せる職場が見つかりますよ(*^-^*)私はイチイさんもいきなり、クビとかにならないか心配で仕方ないです。・・・旅行に行ってるのね、楽しい旅行になりますように。行ってらっしゃい(^◇^)・・・またね。
たま
一方的に通告してゲートに入れないようにすべて消去します、二度とゲートくぐれないよううに解雇通告して追い出す方法です、裁判になっていましたが解決していません。欧米の冷酷な解雇方法ですね。
困ったことですね、だから信用していないのでしょうか?会社だけの人間関係だけでなく会社以外の人間関係築いたほうがいいのでしょうね。大変ですがご検討を祈ります。
Sara
削除して下さい~。
先輩の解雇は正にリストラでしたか。
でも、そんなに地味にしっかり働かれる方をリストラするなんて、
見る目がないなー、ぼーっと生きてんじゃねえよと顔を真っ赤にして怒りたくなりますね。
そんなだと、まじめに働く気が失せます。
うちでも同じようなことが優秀な技術者の多くに起きて、
おべんちゃらばかり上手な、能無し野郎が競合他社に転職したにも関わらず、数年後に昇格させて再雇用されたりして、空いた口が塞がりません。本当にロクデモナイ会社です。
私の場合はあと2年で60歳になりますから、もう転職するのは厳しいのと、何故か私の能力以上の給与が出ているので、私はドイツの定年である67歳までこの会社に居るしかないのですが、収入の為以外の何ものでもない仕事と会社に、ウンザリしている毎日です。
厳しいことで有名な大手コピー機メーカー上場企業の営業部長を定年まで勤めた知人が、
「給与は労働に対してでなく、忍耐に対して支払われているんだよ。」
と言って諌めてくれたことがあり、嫌なことがある度にこの言葉を思い出して、辞表を叩きつけずに居ます。
そういいながら、同じ会社に21年近くも働いているのですけど。。。。
クロアチアは行ったことがないのですが、
素敵なところと聞いています。
ブログでの旅行記を楽しみにしていますね。
良いご旅行になりますように。
イチイ
友人なのか、それとも私が一方的に好意を寄せているだけなのか分かりませんが、正直に頑張って生きてきた人には、努力が100%報われずとも、努力にふさわしいことがもたらされて欲しいと願っています。おせっかいかもしれない・・・という気持ちが心のどこかにあるのですが、励みになるとおっしゃっていただけて、少し迷いが晴れました。ありがとうございます。
イチイ
応援してくださっていると思うだけで、そして何かに迷ったときにアドバイスをしてくださる皆さんがいると思うだけで、そのアドバイスや応援に応えるようにしなくちゃ、という気持ちが湧いてきます。いつもブログを読んで、応援してくださってありがとうございます。それだけで、私の原動力になります。
イチイ
真っ白な大理石で囲まれていて、目が眩しいです。でも、箱庭のようなちょっとよそよそしい感じの町だなって思ってしまいました。後で写真をお店しますね。
私も、いきなりクビにならないよう気をつけないと・・・と思う反面、私は会社で一番低い給料の部類に入るので、コストカットが目的であれば私の上司とか、同じ平社員でも8年くらい働いている人のクビを切った方が費用対効果があると判断されて、おそらくよほどのトラブルを起こさない限りはクビにならないような気がします。他の先輩も、そんなことを言っていました。かといって安心はできないのですが・・気を引き締めて、がんばります。
イチイ
休職していた人は、いわゆる「面倒な人」で、1を言ったら20を返してくるようなドラマクイーンなのです。会社としても、そういう人を解雇したら、あらぬことで訴えられる可能性もあると思っていると思います。その一方で、今回リストラの対象となった人は大人しくて、黙って引き下がりそうなタイプなのです。仕事ができなくても、後々面倒な事になりそうな人は、リストラの候補にはなっても対象にはならないのかもしれません。
会社から見ると、そういった訴訟を起こされないためにパッケージを提示して、それにサインさせるのです。サインせずにゴネて、一時金を増額してもらったり、それでも納得できなかったら Tribuneral という組織に申し出てアドバイスを受けた上で、訴えを起こす事になるようです。
休職していた同僚については、今リストラしたら「会社のせいで高血圧になったのに、解雇された」という理由から不当解雇に該当する可能性があり、彼雇用側が勝訴する可能性が高いのです。そ
の一方で、先輩は「組織改編だから」という正当な理由があるため、仮に訴えたとしても勝てる見込みは少ないはずです。とはいえ、後から「パワハラを受けていた」とかなんとか、ありもしない事実をひねり出してお金を搾り取ろうとする人もいるようですが・・・ ただ、先輩はそんなことをするような人ではないので、きっと訴えたりはしないと思います。
イチイ
日本でも、そんなことがあったのですね。さくらさんのコメントから、アメリカでも似たような事情のようなので、きっとアメリカ方式で解雇したのでしょうね。こんなにリストラされる人が多いと、皆の心が会社から離れるし、同僚がライバル(自分が切られるか、隣に座っている同僚が切られるか)みたいになって、雰囲気がギスギスしてしまいます。「次は誰なんだろう?」という疑心暗鬼もありますし、本当に会社のためになっているのかしら?と思います。
イチイ
旅行は、一人で少し寂しい気がしました。明るく楽しそうな観光客の間を縫うように歩きながらも、先輩の事が気になっているからかもしれません。
明日の午前中には帰るので、とても短い旅行でしたが、私も少しだけ気分転換できました。
再雇用をするだなんて、よほど優秀な人か、優秀に見える人なのでしょうね。結局、世の中ってそういう人が得をするのでしょうか。そうだとしたら、悲しいです。きっとみんな、最初は頑張ろうと思っていても、そういう先達たちを見て「自分も要領よくやろう」と考えるようになってしまって、総意人ばかりが出世している会社になってしまうのかもしれませんね。
「給料が忍耐に対して支払われている」、なんだか胸にずんと来ます。確かに、そう思うとなんとかやっていけそうではありますが、それって会社にとってもデメリットのような気がします。モチベーションとかイノベーションとか、会社を活性化させるための力が生まれてこないような・・・でも、こういうのは単なる「きれいごと」なのかもしれません。
にっこり!(^^)!
ドブロブニクに今、いらっしゃるんですよね。
城壁めぐりがお薦めですが、城壁めぐりをされないなら、
是非スルジ山に登ってみてくださいね。
実は、コメントのか書き方がわからず、ここにしか
書き込めませんでした。ごめんなさい。
イチイ
スルジ山へ行くケーブルカーが、動いていなかったのです。宿の人の話では、1ヶ月くらい動いていないらしいです。もう一度行くための言い訳ができたと思い、次回の楽しみにしておきます。
コメントの書き方が分かりずらくて、すみません。承認制にしているので、書いていただいた直後には表示がされないのです。