イギリスのスーパーでは、
必ずと言っていいほど、
レジ近くに小さな寄付金ボックスが置いてあります。
寄付金ボックスには、野良犬保護団体とか、
ユニセフとか、ガン患者支援団体とか、
ボックスごとに色々なステッカーが貼ってあります。
私の所得は、イギリス平均よりもずっと低いのですが、
とりあえず生活できる程度のお給料をもらっているので、
お財布に小銭があるときは、
できるだけ寄付金箱にコインを入れるようにしています。
1回につき2-3円程度のものなので、
金額は大したことはありませんが、
Better than nothing (何もしないよりもマシ)だと思うので、
とりあえず、募金箱を見かけると小銭を入れています。
随分前のことですが、
同僚のAさんにそういう話をしたとき、
こんなことを言われました。
「そんなこと、するだけムダだよ。
お店の人がお金を使っているかもしれないし、
寄付を受け付けている団体だって、
ちゃんとした用途に使っているか分からないでしょ。
だから、私は寄付なんて絶対にしない!」
寄付をしないという彼女の判断について、
とやかく言うつもりはありません。
とやかく言うどころか、もしかすると、
彼女の言うことが事実なのかもしれません。
お金を寄付したあと、
そのお金がどのように使われるのか?
ということまで確認できないので、
「良いことに使われているはず」と
信じるしかありません。
そう信じて、
小銭をちまちまと寄付していたものの、
それでも、ときどきAさんの言葉が胸をよぎり、
「このお金、ちゃんと使われるのかな?」と、
なんとなく寄付をする気持ちに翳りのようなもの、
取るに足らないくらい小さなものではありますが、
心の中に疑いが生まれていました。
でも、昨日 地下鉄に乗った時に、
こんな広告を見つけたのです。
Lendwithcare という団体で、
発展途上国で起業しようとしている人や、
現在の事業を拡大しようとしている人に対して、
お金を出資するプログラムです。
しかも、15ポンド(約2千円)から出資できるようです。
こちらのサイトなのですが → Lendwithcare
出資を募っている人たちのことが
詳しく書かれています。
エクアドルに住む20歳の青年が、
革製品のお店をもつための資金とか、
フィリピンでヘアサロンを経営している女性が
新しいドライヤーを買うための費用とか、
ベトナムで農場を持つ人が
豚を買い入れる費用とか・・・
出資を依頼する人たちの名前や
その理由などが詳しく書かれており、
出資する相手を、選ぶことができるのです。
つまり、自分のお金を誰か使うのか?
どのような用途に使われるのか?
ということを知ったうえで、
お金を出すことができるのです。
しかも、「出資」なので、
出資した人の事業がうまくいって、
利益が出た場合には、
出資した分が返金されるそうです。
あくまで「事業がうまくいったら」のことですが、
サイトの紹介ページには、
出資金の返済プランも載っています。
私にとって15ポンドは安くはありませんが、
寄付として払えない金額ではありません。
「このお金、ちゃんと使われるのかな?」
と思いながら小銭を寄付をするよりは、
その小銭を空き缶にでも入れて貯めておいて、
15ポンドになったときに、
発展途上国の人に出資したほうが、
明るい気持ちでお金を出せるような気がしました。
もちろん、小銭が貯まるのを待つまでもなく、
懐具合が温かいときには、
15ポンドを出資してみようと思います。
実は、常々思っていたのです。
政府やチャリティ団体が、
発展途上国にお金を渡したり、
インフラを整えてあげたりしても、
対処療法的と言いますか、
彼ら自身にお金を稼ぐ意識と能力がない限りは、
結局は貧乏なままで、
大きな生活改善は望めないのではないかと・・・
それは、この国に来てから、
より強く思うようになりました。
私は、日本にいるときはとても貧乏でした。
自分にできることはない。
お金を稼ぐ能力はない。
そう思っていたので、
給料の良いところへ転職しようとか、
どうにか貧乏生活を脱却しようとか、
そんなことは、考えたこともありませんでした。
毎日、受け身的に生きていて、
「お金がないなぁ」とボヤくばかりで、
自分で行動を起こすことが、なかったのです。
でも、この国に来て、
良く言えば「精力的に」、
悪く言えば「ガツガツと」、
お金を稼いでいる人たちを見ていたら、
私にも何かできるのではないか?
と思うようになったのです。
人目を気にせず、お金に執着する人や、
30歳を過ぎてから会計士の勉強を始める人や、
より良い待遇を求めて転職していく事務員や・・・
「今の生活を変えよう!」という意識の高い、
少数の人たちを見ていて、
私も同じように頑張ってみようかな、
という気持ちになれたのです。
私は、今も昔も能力は変わっていません。
何の資格ももっていない、ただの事務員です。
そんな私でも、辛い職場から転職して、
少額とはいえ 人様に寄付できるくらいの、
ほんの少しの金銭的余裕ができました。
自分の性能は変わっていないのに、
意識を変えて、頑張ってみたら、
少しだけではありますが、
生活を改善することができたのです。
貧乏な生活しか知らず、
周りも似たような環境に甘んじている人のなかにいたら、
日本にいたときの私のように、
「世の中、こんなものよね」と思って、
何かを改善しようという気持ちにはなれないと思います。
ましてや、寄付などで誰かが与えてくれたものなら、
余計に「どうにかしよう」という気持ちが薄れて、
「また、誰かがなんとかしてくれるだろう」
などと思ってしまいそうです。
結局のところ、自分の意識を変えないと、
何かを与えてもらったとしても、
それを元にして生活をより良く改善しよう!と思うことができず、
与えてもらったものを無為にしてしまったり、
人が与えてもらったもの(お金)がなくなったら、
またもとに戻ってしまうような気がします。
でも、こういう出資システムで成功した人が現れたら、
その様子を見ていた他の人たちも
「私もやってみよう」と思ってくれるかもしれません。
地道ではありますし、
必ずしもうまくいくかどうかは分かりません。
それでも、発展途上国で貧しい暮らしをしている人に、
少しでも改善できる可能性があることを知ってほしいし、
すでに「改善しよう!」と思っている人には、
頑張って欲しいと思います。
なんだかまとまりのない話になってしまいましたが・・・
とりあえず、エクアドルでニワトリを育てている女性に、
15ポンド出資してみました。
マーケットで卵や鶏肉を売って、
生計を立てている女性です。
この方に出資しようと決めた理由は、
彼女が必要としている金額のうち、
まだ3%しか出資金が集まっていなかったからです。
私がお金持ちだったら、
全員に少しずつ出資してあげるのですが、
私も決して豊かな生活をしているわけではないので、
15ポンド(1人分)が限度です。
正直なところ、
お金が返ってくることは期待していません。
頑張っている人がそこにいて、
私にできることがあって、
少しでもその人の力になれたら嬉しいと思ったから、
という自己満足の寄付です。
あとは、小銭をちまちまと貯めて、
15ポンドになったら、
出資先(寄付先)を増やしていきたいと思います。
この記事へのコメント
ミルモ
募金とかも色んなのが有りますね、中には怪しい募金とかも日本とかにもあるしね。コンビニのおつりとかしか出来ないけど、たまに入れてます。ちゃんと使って貰えたらいいね。毎日猛暑でだるいです、早く涼しくなってほしいね。体調壊さないようにね。・・・(o・・o)/~またね。
たま
イチイ
私も、いつもコンビニのお釣り程度の金額です。でも、自分がしたことに対して、何らかの形が見えたら嬉しいと思ったのです。無駄遣いせず、役立ててもらえたら、きっともっと嬉しいと思います。
こちらも何十年ぶりの猛暑で水不足になっていますが、日本の暑さに比べたら、大したことないのだと思います。外が暑いと、室内との気温差もありますし、体調には気を付けてくださいね。
イチイ
イギリスにも赤十字があります。けど、都心に大きなビルを構えていて・・・ 日本でいう大手町の一等地に大きなオフィスがあるのです。なんとなく、募金の使い道がそういうこと(わざわざ家賃の高いエリアでオフィスを構えていること)に使われるのかな・・・と、他人のお金で、高級なところで立派なオフィスを構えているのを見て、なんとなく不信感をもってしまったのです。しっかりしている団体だと思いますが、私が募金したお金がオフィス家賃に消えてしまうのはイヤだな・・・と思ってしまったのです。
リラ
女優の岸恵子さんが徹子の部屋で、募金も自分の手で届けると、じゃないとどこに行くかわからない、団体の幹部がねこばばするからと、黒柳徹子さん自身も現地に行き、届けるといってました。町内会費で赤十字の寄付年に一回500円分入っているけど、以前、もう少し出してもらえないだろうかといってきて、町内会長さんが怒って、善意なのにあつかましいと、それ以来、赤十字にたいして不信感もっているけど、 あと、年末になるといろんな団体が募金活動して、スーパーの入り口にいたり、そのまま、素通りしてしまうけど、なんだか罪悪感におちいるけど、私はちゃんと寄付してますからって言いたいです。
イチイ
日本は40度とか・・・こちらの比じゃないくらい暑いようですね。体調には気を付けてください。
黒柳徹子さんのような慈善活動で有名な人がおっしゃっているなら、きっと事実なのでしょうね。私も、イギリス赤十字が都心の一等地にオフィスを構えているのを見て、疑問を感じました。募金を自分の手で届けられるだけの財力があれば良いのですが、なかなか難しいですね。結局は自己満足なのかもしれませんが、でも少しでいいから世の中が良くなるといいな、と思いつつ募金をしています。何事も、諦めたら終わりだと思うので・・・