ボランティアである以上、文句は言えません

今日は、先日少し書いた、

「ボランティアをしていて悲しかったこと」について

お話しさせてください。


私が毎週末手伝いに行っているガーデンは、

実は、私以外には1人しか定期的に面倒を見ている人がいません。


そのため、良く言えば「ワイルド」で「自然な風情」の公園で、

悪く言うと「伸び放題の枝ばかり」の公園なのです。


つまり、人手不足で、

どんなにがんばっても手入れが行き届かないのです。


でも、それはそれで味のある公園になっていますし、

逆にそのワイルドなところが魅力でもあると思っているので、

私もあまり人工的にしないように気を付けているのですが、

そんな公園に、今年の9月末くらいから

新たにボランティアしてくれる人が来たのです。


なんと、その人は本職がガーデナー(庭師)なので、

「良い人に手伝ってもらえるようになって良かったね」

などと話していました。


彼女は平日にしか手伝いに来れないので、

週末しか手伝えない私は 彼女に会ったことがありません。


でも、1カ月もたたないうちに、

「割と視野が狭くて、思い込みが激しく、

1つのことを思い込んだらそこしか見えないタイプみたい」

とボランティアのリーダーがこぼすようになりました。


どういうことなんだろう?と思って聞いてみると、

なんでも自分の好き勝手に手入れしてしまうのだそうです。


しかし、それを聞いても、

ボランティアとはいっても組織立っているわけでもなく

時間があるときに好きなように手伝えばいいのだから、

と思って、あまり気にしていませんでした。


すると、10月初めの平日のお昼頃、

そのリーダーから携帯にメッセージが入ったのです。


「イチイ、バラの手入れは君に任せてもいいかい?

もしそれでいいなら、

他の人にバラの手入れだけはしないように伝えるから」


突然なんだろう?と思ったものの、

バラのお世話はきっちりやるつもりだったので

「はい、もちろん。きちんとやろうと思っています」

と返信をしたのです。


でも、その数日後の土曜日に、

なぜ彼が私にメッセージを送ったか、

その理由が分かりました。


ちょっと分かりずらいのですが、

こちらの写真を見ていただけますか?


IMG_2764_800x600.jpg


じつはこの場所、

溢れるようにバラが咲いていたのです。


写真の手前に木のベンチが置いてあって、

ベンチの背もたれに流れかかるように

何本もの大きな枝を伸ばして、

バラがたくさん咲いていたのですが、

「ざんばら頭」という表現がぴったりなくらい、

無造作にザクザクと切られていたのです。


しかも、剪定の鉄則「外芽の少し上で・・・」などという

セオリーを完全に無視した切り方をされていて

あまりの痛々しい切り口を目にして、

「ああ、可哀想そうに・・・」と何度も呟きながら、

いくつもの生々しい断面を、茫然と見つめていました。


同じように、大きくなり過ぎていたツルバラも、

ボリュームが半分くらいになっているんじゃないか?

と思うくらい、無造作に切り取られていました。


これは全部、そのガーデナーをしている、

ボランティアの人がやったのです。


実は、ときどきバラが大雑把な切り方をされているなぁ・・・

と思うことがありました。


それも彼女がやったことだったようですが、

それでも、ここまでザックリと

大量に切り取られたことはありませんでした。


バラのことをあまり知らないリーダーですら、

この変わり果てた姿に驚いて、

これ以上、バッサバッサと切られるのを食い止めるために、

急遽、私を「バラ担当」に指名したのだそうです。


「バラを勝手にいじるとバラ担当のイチイが怒るから、

バラには手を出さないでください」


そんな風に言って、

その女性を説得したのだそうです。


怒ったりはしませんけど・・・


でも、悲しくて泣きそうにはなりました。


あまりに酷い切られ方だったので、

痛々しくて見ていられませんでした。


バラは血を流しませんが、

目に見えない血を流しながら

痛みに耐えているように感じられて、

心が痛くなりました。



でも、彼女も

彼女なりの理由があったのだと思います。


例えば、ベンチにしなだれかかるように育ったバラ、

子供がベンチに座っているときに

トゲでも刺さったら大変!と思ったのかもしれません。


つるバラも、「最終的にはこういう風に誘引したいな」

と思った方向の枝だけを残していたので、

その辺はさすがガーデナーだと思いました。


でも、切る時期と切り方が滅茶苦茶なのです。


たとえば、10月という

これから寒くなる時期にバラを剪定すると、

まだ冬眠していないバラには

芽を出そうとする力が残っているので、

バラは新しい芽を出そうとします。


でも、この時期に芽を出しても

寒さでダメになってしまうのは目に見えています。


そんな無駄死にするような芽を出させるよりは、

そのパワーを根っこに回してもらって

寒い冬に耐えうる立派な根を張ってもらいたいのです。


そのため、秋は枯れた花首を切るだけにしておけば、

バラも新しい芽を出そうとしないので、

そのほうがバラのためになるのです。


案の定、バッサリ切られた翌週には

新しい芽がたくさん出初めていました。


こんなに頑張って芽を出しても、

きっと大きく育つことはないだろうに・・・


そう思うと、

バラの生命力を健気だと思うと同時に、

無理やり生命力を使わせることになって、

気の毒にすらなりました。



剪定の時期もさることながら、

剪定の仕方も酷いのです。


英語で Format Pruning(形づくる剪定)

という言葉があります。


「将来、こっちのほうに芽が伸びるだろうから、

そしたらこんな形の樹形にすることができるはず。

だから、こっちの枝は残して、こちらの枝を切ろう」


みたいな感じで、

将来的に枝の伸びる方向を予測して、

将来の樹形を頭に描きながら剪定するのです。


今はみすぼらしくても、

枝が伸びた時に立派になるように、

大きくなった時に葉っぱが混み合って蒸れないように、

そんなことを考えながら剪定することを

Format Pruning と呼んでいます。


それが鉄則・・・のはずなのに。


切っている箇所が滅茶苦茶で、

将来的な樹形などはおかまいなしに、

「今、この時点で邪魔な枝を切った」ことが

ありありと分かる状態になっていました。


たぶん、普通の樹木ならそれで良いのだと思います。


人が座るベンチの邪魔にならないように。


人が歩く歩道に枝が伸びないように。


庭師さんということもあり、

そんなことを考えてキレイに整えたのでしょう。


でも、バラは無造作に切ると

無造作に伸びてしまうのです。


バラは生命力が旺盛なくせに病気に弱いので、

無造作に伸びていくと、

枝と枝が混み合ってしまい、

その部分が蒸れて、

あっという間に葉っぱが病気にかかってしまうのです。



彼女がどうしてこうしたか?

ということは理解できますし、

庭師さんの観点から見た剪定なのも分かります。


でも、こんな切り方をしたら、バラが可哀想です。



すみません、

ついつい力がこもってしてしまいました。

バラに興味のない方には、

つまらない話だったと思います。すみませんでした。



でも、そんなこともあって、

ボランティアは誰でも自由に手伝えるだけに、

なかなか難しいんだな、と実感しました。


リーダーも、しばらくはバラの剪定を

大目に見ていたと言いますか、

好意でしてくれていることだから、

と遠慮して何も言わなかったそうです。


でも、あまりにバッサリと切られたので

「このまま他のバラも同じようにされたら困る」と思い、

仕方なく「イチイが怒るから」と言って

バラを切るのをやめてもらったそうです。


バラは生命力が旺盛なので、

枯れることはないと思います。


でも、せっかく来年たくさん花を咲かせようと

将来的な計画を立てながら

毎週きちんと手入れをしていたのに、

たったの1日で無駄にされてしまったわけです。


やはり自分の庭ではないので、

そんなこともあるんだなぁ・・・

とガックリしてしまいました。


バラのお世話をやめる気はありませんし、

バッサリ切られてしまったバラも

来年にはまた枝を伸ばして

キレイに咲いてくれるといいな・・と思いつつ

毎週末バラの手入れをしていますが、

やっぱり自分のバラ園があったらいいなぁ、

などと思ってしまいました。


この記事へのコメント

  • アラフォーの派遣

    確かにボランティアは誰でも出来て、かつ上司にダメ出しをされるものでもありませんから、リーダーとしては「担当が怒るから…」と言っておくのが最善の方法だと判断したのでしょうね。
    イチイさんもぜひリーダーと口裏合わせて「そう。バラは私の担当だから任せてね。(……触ったら怒るわよっ。)」ということにしておいてください。さすがにその写真のバラたちにはびっくりです。詳しくない私でも。
    2017年12月17日 11:07
  • イチイ

    アラフォーの派遣さん、ありがとうございます。
    あのバラ、私も最初に見た時は、誰か心無い人がイタズラしたのかと思ったくらいです。今はもう勝手に伐採されることはなくなりましたが、せっかくの善意を摘むようで申し訳ない気持ちになります。ボランティアって、なかなか難しいですね。
    2017年12月23日 02:29