マラケシュの、もうひとつの顔

マラケシュのスークを歩いていましたが、
金曜日ということもあって
旧市街の中心にあるフナ広場を離れていくにつれて
閉まっているお店が目に付くようになりました。

DSC_0994.jpg

後で知ったのですが、
イスラム教の国は金曜日が休日なのでそうです。

でも、そんな休日でも
働いている人たちが大勢いました。


たとえば、ここの工事現場の人たち。

DSC_1001.jpg

あんな細い鉄棒で組んだ足場の上に乗って、
命綱もつけずに、壁の修理をしていました。

これって、ある意味命がけの仕事だよね?
と思いながら見ていましたが、
こうして命を張って仕事をして、
いったいいくら貰えるのでしょうか。

後で調べてみたら、
カサブランカの平均月給が
400~500ドル(約5~6万円)くらいなので
こうした地方の肉体労働ですと
それよりもずっと低い給料ではないかと思います。


この辺りまで来ると観光客向けのお店はなくて、
客引きも、しつこい自称ガイドもいなくて、
ゆっくりと周りを見回しながら歩くことができました。


こちらは、かなり年配の方なのに・・・

DSC_0993.jpg

こんなにふうに、
大きくて重そうな荷物を担いで、
工事現場に運んでいました。

DSC_0992.jpg

日本だったら定年するような年齢で
ひたすら、毎日ロバに乗せた重たい荷車を操り、
工事現場で、腰がかがむくらい重い荷物を担いで
淡々と働いて、毎日の糧となるお金を稼ぐ人たち。


ここには、前の日に見た人たち、
観光客から奪い取ろうとする姿勢しか見えない人たちとは
まったく違う生き方をしている人たちが沢山いました。

写真は撮れませんでしたが、
暗くて狭い小部屋で、
皮製品をひたすら加工している職人さんや、

冷たい床に座って、
ひたすらカゴを編んでいる職人さんや、

普通の道端にゴザを広げて、
自分の畑で取れたと思しき野菜を売る人たちや・・・

DSC_1020.jpg

おそらく、この街に生きている人々は、
人を騙すことなく、
地道に生きている人たちが大半なのだと思います。


たとえば、私が かごバックを値切らずに買ったとして、
その利益分、いわゆる「ぼった」分が
こういった真面目な職人さんに行くなら良いのですが、
その差額は、すべて観光客相手のお店の人のものになるわけで
こうした末端の職人さんたちには届きません。

そう思うと、こうして寒いなかで
コツコツと地道に働くよりも
観光客の一人や二人を騙して、
こういう職人さんが1日でようやく稼げる金額を
あっという間に稼いだほうがいい、
と思うようになったとしても、理解できます。


だから観光客を騙してもいい、とは言いません。

でも、騙すほうも騙すなりの理由というか
そこに至るまでの背景があるんだろうなぁ・・・
と思ったのです。

仮に私がこうした低賃金の過酷な労働をしていて
お隣に住んでいる人が、
観光客相手に通常の何倍もの値段でものを売って
1日で私の1週間分のお金を手にしていたとしたら
私はきっと、真面目に働くのが嫌になってしまうと思います。


こんな風に考えていたら、
何が良いのか、悪いのか、
よく分からなくなってきました。

観光客相手に高額を吹っかけるとはいえ、
それは観光客(先進国の人たち)にとっては
生活を左右するほどの大金というわけではありません。

でも、その金額を複数の人から得たとしたら
きっとこの国では生活を左右するくらいの
大きな金額になるのだと思います。

そう思うと、
その人は自分と家族の生活を良いものとするために
もっとも効率の良い方法を選んでいるだけで
しかもそれで恩恵を蒙る家族がいることを考えると、
それは、その人にとっては「良いこと」になります。


自分が日本からイギリスに来て、
生活の仕方や考え方が変わった と思うだけに、
人は環境によって変わるのだと実感しています。

それと同じように、人だけでなく、
価値観と言いますか、
何が良くて、何が悪いかということも
環境によって違うのかな?と思いました。

その環境で生きてきた人なりの「正義」と言うか、
「良いこと」というものがあって、
それはきっと、私みたいな第三者には
理解し尽せないのかもしれません。

そう考えてみると、
自分が嫌な経験をしたのは事実ですが
彼らにしてみれば「悪いことをした」とは思っていないし、
彼らの環境における判断では
「それが悪いこと」という発想すらなく、

楽に、大金を稼げる、賢い人。

そんな評価となっているのかもしれません。


自分の知らない価値観や基準で生きているので
理解するのは難しいですが、
今回の経験は、よい勉強になりました。

この記事へのコメント

  • kyouko

    こんばんは
    確かに。楽に大金を稼げて賢い人なのだと思います。
    お腹の調子はどうですか、気分はどうでうか。体には気をつけてくださいね。
    2017年01月31日 22:46
  • あいこ

    マラケシュの旅、色々大変だったようですが、最後はイチイさんらしい考察を拝見できて、さすがだなぁ、と思いました。
    2017年02月01日 22:26
  • ミルモ

    こんばんは。
    国が違うと仕事も色々ですね、皆一生懸命に働いてますね。ピンはねとかもあるんでしょうね?今回の旅行はあ色々考えさせられましたね。皆働き者ですねまじめだし。色々な経験が出来た旅行でしたね?
    気持ちを入れ換えてお仕事頑張ってね。
    おやすみなさい(о´∀`о)ノまたね。       
    2017年02月01日 22:44
  • 未来

    この度の旅行、災難もあったけれど、まさに世界が広がった旅だったのかな。自分の物差しでは測れない場所や人の暮らしが世の中にまだまだあるということ、私も疑似体験させて貰えました。
    今は元気にロンドンでお仕事頑張っておられるのでしょうね。大都会も大変だと思いますが、値札通りに物が買えるだけでも精神的に安心ですよね。
    2017年02月02日 00:59
  • イチイ

    kyoukoさん、ありがとうございます。
    体調はもう大丈夫です。なんか切なくなりました。お金を儲けるのはよいことなのでしょうが、その陰で不愉快な思いをする人もいるわけで・・・ 難しい問題だなって思いました。
    2017年02月02日 06:46
  • イチイ

    あいこさん、コメントをありがとうございます。
    考察と言うか、考えていたら何が良いのか、悪いのか、分からなくなってきてしまいました。ただ、彼らの環境を思いやると、騙された!と頭から怒りをぶつけることもできなくて・・・ 難しい問題だなって思いました。
    2017年02月02日 06:48
  • イチイ

    ミルモさん、ありがとうございます。
    本当に、こんな環境で生活して、働けるだけで文句を言っちゃいけないなぁと思いました。生まれる環境は選べません。彼らに比べたら私にはアドバンテージがあるわけだから、それを有難いと思って、腐らずに頑張っていこうと思いました。
    2017年02月02日 06:49
  • イチイ

    未来さん、ありがとうございます。
    本当に、ロンドンに帰ってきたときは、街が清潔だし、モノの値段が決まっているので、すごく安心しました。マラケシュ、もう少し書きたいことがあるので、もう少しお付き合い頂けると嬉しいです。
    2017年02月02日 06:54
  • BlueDal

    なるほどなぁと思いました。
    悪い!と非難するだけではなく、その背景を知ったり想像したりして、自分とは全く違う生活や価値観の人たちが大勢いると理解する・・・自分は経験値が低く、視野が狭いので、こういう体験で学ぶイチイさんに逞しさや思考の広さを感じます。
    2017年02月02日 12:41
  • イチイ

    BlueDalさん、コメントをありがとうございます。
    もしかしたら私の勘違いもあるかもしれませんが、シンプルに「悪い人たちだ!」と割り切れなかったのです。だから騙されたりするのかもしれませんが、でも、たぶん人それぞれに事情があるのだと思いますし・・・ 自分のなかで結論は出ていなくて、良い、悪いだけじゃ割り切れないことが沢山あるんだなって思いました。ほんと、世の中って広いなぁって思いました。
    2017年02月04日 08:22