ケンウッドハウス Kenwood House

昨日のロンドンは青空が広がっていたので
近所の公園 ハムステッドヒースにある
ケンウッドハウスに行ってきました。

ここはクリスマスの日に行ったものの、
閉まっていて入れなかったところです。
(そのときのことは、こちらに書いています ↓)
http://yewtree.seesaa.net/article/445249286.html

ここは English Heritage という
ストーンヘンジなどを管理している団体の
管理下にあるのですが、
なんと、こちらの入場料は無料でした!

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無料である理由をお話すると長くなるのですが、
詳細をはしょって簡単に書きますと・・・

1900年代の初め、
このお屋敷が集合住宅に改築されそうなったときに
近隣の住民が猛反対して、募金を募ったそうです。

しかしながら、募金で集まったお金だけでは
屋敷を買い取るまでには程遠く、
住民たちが困っていたときに、
同じく近所に住んでいた伯爵がお金を出して
屋敷と周辺の土地を買い取ってくれたのです。

この伯爵はアイルランドの有名なビール、
ギネスビール社の創業者の息子だったそうで、
ギネス社の株を売って得た莫大な富を費やして
このケンウッドハウスを買い取ったそうです。

でも、その伯爵はこの屋敷に住むことはなく
63点に及ぶ自分の絵画コレクションを屋敷に展示し、
「今後、無料でこの屋敷と絵画を一般公開する」と宣言し、
ケンウッドハウスを一般に公開したそうです。

その後、伯爵の子孫はロンドンを離れ、
この屋敷は English Heritage の管轄となりましたが、
今でも伯爵の言葉を守って、
無料で一般公開しているのだそうです。

かつてこの地に住んでいた人たち、
この地を愛していた人たちのお陰で
この美しい白亜の屋敷が昔のままの姿を残し、
そして私のような庶民にも
芸術作品に触れる機会を与えてくれているのです。

会ったこともない人たちですけれど、
この話を聞いたときに、
かつてこの地に住んでいた人たちに対する
感謝の気持ちでいっぱいになりました。

この屋敷を買い取ってくれたのが、
こちらのアイビー伯爵(Earl of Iveagh)です。

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お屋敷は決して広くはありませんが、
繊細な装飾の施された図書室があったり・・・

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家具や絵画などで飾られ、
18世紀のお屋敷が見事に再現されています。

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そして、家に帰ってきてから
ケンウッドハウスのことをネットで調べて
分かったことなのですが・・・

なんと、この小さなお屋敷には
フェルメールやレンブラントの絵画があるそうです。

確かに、こちら↓の部屋に・・・

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どこかで見たような気がする
レンブラントの自画像と
フェルメールの絵画があったのですが、
まさか、無料で入れるお屋敷に本物があるとは思わず、
「きっと模倣品だろう」と思って、
あまり注意を払わなかったのです。

最初から知っていたら、
食い入るように眺めてきたでしょうに・・・
ほんと、無知って恐ろしいですね(苦笑)

せっかくの芸術作品を、
まったく知らずに通り過ぎてしまうなんて、
なんと有り難味のない所業でしょうか・・・

「今度から、名所史跡に行くときは
しっかりと下調べしてから行こう!」
と、固く心に誓いました。

幸いなことに、このお屋敷は家の近くなので、
来週にでも、また行ってみようと思います。


そして、このお屋敷には少し気になる絵画があって、
このことも調べてみたら、
ちょっと面白かったので、お話させてください。

こちらのダイド・ベルという女性です。

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1700年代にこの屋敷に住んでいたマンスフィールド伯爵には
甥が2人いたそうです。
そのうちの1人がイギリス軍将校として海に出ていたときに
スペインから奪取した奴隷船に乗っていた女性と恋に落ち、
その奴隷だった女性は、彼との間に女の子をもうけました。

その子供は5歳のときに
父親の手により叔父のマンスフィールド伯爵に預けられ、
その後30年間、この屋敷に住んでいたそうです。

マンスフィールド伯爵は、
当時の最高裁判所で一番高い地位にあった判事で、
イギリスで奴隷解放のきっかけとなった事件について
判決を下した人物として有名なのだそうです。

その当時はダイド・ベルの存在は公にされていませんでしたが
この奴隷と伯爵家の男性との間にできた少女の存在が、
マンスフィールド伯爵に少なからぬ影響を与えていたのでは?
と、言われているそうです。

ダイド・ベルのことは、映画にもなっていました。
こちらです → ベル


こんな小さなお屋敷にも色んなエピソードがあって、
イギリスって、やっぱり歴史のある国なんだなぁ、
と改めて思いました。

このお屋敷には部屋ごとに係員の人がいて
質問をすると丁寧に答えてくれます。

当時の習慣など 色んなお話を聞いたので、
そういうお話もおいおい紹介させてください。

とりあえず、来週またケンウッドハウスに行って、
フェルメールの絵画を見てくるつもりです。

この記事へのコメント

  • たま

    良いね~~、近所に観光地があるのは。これで無料なんて素敵だね。
    しかも有名な画家の絵があるなんて、写真見るだけでも観光地行っている気分になりますよ。
    いいな~~、行ってみたいよ~~~
    2017年01月04日 08:31
  • ミルモ

    イチイさん(^o^)/
    お城みたいな部屋ですね、絵も立派だしすごいね。近くにこんなところがあったら、飽きないですね。行ってみたい(*^_^*)
    オバケ出そうね(。-∀-)お仕事頑張ってね。・・・またね(*^▽^)/★*☆♪
    2017年01月04日 19:11
  • 吉祥寺

    明けましておめでとうございます!
    バカンス中の記事も、楽しく読ませていただきました。
    今回の記事で改めて思ったのですが、イチイさんて、本当に文章書くの上手ですね。歴史のこととか端的にまとめられてて、読みやすい。。。
    写真は、パステルカラーの図書室がとっても可愛らしくて素敵でした。お住まいの近くにこんな場所があって羨ましいです。
    風邪、お大事になさって下さいね(´-`)
    2017年01月04日 22:43
  • 優くんママ

    Kenwood houseにそんな大層な絵があることも、映画にもなるような素敵な話がある事も、全く知りませんでした。

    私も近所に住んでいたはずなのに、一回しか足を運んでませんし(^^;;お恥ずかしい限りです。

    またレポート楽しみにしていますね!

    ネット検索できる事羨ましいです。
    ますます、興味の範囲が広がりますね。
    (私は、日本に一時帰国したとき、皆が小さい携帯で写メしてることすら、ビックリしてた時代です)
    2017年01月05日 13:48
  • イチイ

    たまさん、ありがとうございます。
    はい、これで無料だなんて驚きました。イギリスって物価が高いのに、こういうところが無料なのが不思議です。でも、おかげでお金をかけずに楽しむことができるので、とてもありがたいです。
    2017年01月06日 05:34
  • イチイ

    ミルモさん、コメントをありがとうございます。
    はい、貴族の邸宅ってこういうものなんだ・・・とキョロキョロしながら見ていました。どこもかしこも素敵でした。こういうお屋敷がたくさんあるみたいなので、いろいろと見てみたいと思いました。お化け、出るかもしれませんね(苦笑)
    2017年01月06日 05:35
  • イチイ

    吉祥寺さん、あけましておめでとうございます。
    そうおっしゃって頂けると嬉しいのですが、自分の言いたいことが上手くまとめられないことも多くて・・・ でも、こうして自分の思っていることなどを表現していけるようになったのは、実生活でも役立っているような気がします。
    パステルカラーの図書室は、ロバート・アダムという人が設計したそうで、これは新古典様式という建築なのだそうです。色合いが上品で、とても素敵なお部屋でした。
    風邪、大分良くなりました。ご心配くださって、ありがとうございます ^^
    2017年01月06日 05:48
  • イチイ

    優くんママさん、ありがとうございます。
    そうでしたね、このあたりに住んでらしたのですよね。私も、クリスマスの日にちらっと見かけて、それで興味をもって行ってみたら、実は有名な絵画などもある立派なところだったので驚きました。レポートというほど大層なものではありませんが、私の目線で見て、面白いなと思ったことがあったら、また紹介させてもらいますね。
    2017年01月06日 06:03
  • 未来

    ハムステッドヒース、友達に連れてってもらったことがあったけれど、この建物、入ったのかどうかも記憶にありません。素敵ですね。しかも無料とは。ナショナルギャラリーとかも無料だったような。大英博物館、今は有料?イギリスは色んな所が無料で、何度も通えて良いなあと思います。たくさんの本物に触れられて。環境って大事ですよね。
    イチイさんも滞在中に是非満喫して下さいね。
    2017年01月06日 20:51
  • イチイ

    未来さん、コメントをありがとうございます。
    ハムステッドヒースにいらしたことがあるのですね。とても広い公園で、ケンウッドハウスから一番遠い出口までは歩いて30分ちょっとかかりますので、もしかするといらしてないかもしれませんね。国立の美術館、博物館は今も無料です。寄付を募る箱が置いてありますけど、寄付する人は少ないようです。本物に気軽に触れることができる環境って素晴らしいですよね。お金をかけずに楽しめるのが、とても有難いです。
    2017年01月08日 03:51