フランス人だからイギリスのルールには従わない!と怒鳴るフランス人

昨日、ウォーキングから帰ってくる電車で
ちょっとした事件がありました。

事件というと大袈裟かもしれませんが、
私としては、ちょっとカルチャーショックというか
驚いた出来事でした。


私は知らなかったのですが、イギリスの国鉄電車には、
Quiet Coach(静かにしていないといけない車両)があって、
その車両では、携帯で話したり、友達と大声で話したり、
ヘッドホンをつけてシャカシャカと音楽を聴いたりしてはいけないのです。

昨日の帰り道、「ちょっと疲れてるから寝たい」というNさんの希望で
その Quiet Coach に座席をとったのです。

車内には、こんな標識が至る所にありました。

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そして、席に座ってしばらくしたら、
隣に座っていたフラン人の若い男性が、
いきなり「ハロー!ハウアーユー?」と、
電話をかけ始めたのです。

しばらくしても電話を切らないフランス人の声に
なかなか眠れないNさんが、こう言いました。

「すみません、ここは Quiet Coach です。
携帯電話は禁止です。静かにしてください」

すると、そのフランス人男性は、
最初は英語が分からないフリをして
(フリだったということは後でわかったのですが)
フランス語で何か言いながら肩をすくめて首をかしげ、
そのままNさんを無視しました。

Nさんは立ち上がって、彼のすぐ近くにある
携帯電話禁止のサインを指さして、

「You can not use your mobile here」
(ここでは携帯を使ってはいけないことになっています)

とゆっくり、一言ずつ言いました。

すると、フランス人の男性がいきなり立ち上がって
大声で、こう怒鳴りつけてきました。

「お前は失礼だ! (You are rude!!)

何かを話しかけるときは、
最初に『Excuse me』というものだろっ!!」



これを聞いて、私は目が点になったというか・・・


あまりの子供じみた反論に、驚きました。


だってそれ、まったく関係ありませんよね?


自分がしている悪いことを詫びもせず、
しかも最初は英語が分からないフリをして無視していたくせに、
いきなり関係ないことで相手を糾弾し始めたのです。

しかも、Nさんは「Excuse me」と言いました。
電話をしていた彼が、聞いていなかっただけです。


ビックリして目を丸くしている私をよそに、
それを聞いたNさんは、
かけていたサングラスを外して、
相手のことをしっかりと睨みつけながら
冷静な声で、こうい言いました。

「私は『Excuse me』と言いました。
あなたが聞いていなかっただ・・・」

Nさんの話が終わる前に、フランス人男性は怒鳴りつけてきました。

「お前はRude(無礼)だっ!!
人に何かを頼む時は『Excuse me』というべきだ!
なんて失礼なやつなんだっ!!」


Nさんは、学生の頃にイベントの司会や
エレベーターガールをしていたので
とてもよく通る声をもっています。

その、よく通る、澄んだ声ではっきりと、
大きな声でこう言いました。


「私は、Excuse me と言いました。
そんなことよりも、ここは Quiet Coach です。

こういう言い合いも人の迷惑になりますので、
私はこれ以上言い合いをするつもりはありません。
あなたも携帯を使うなら、ほかの車両に行ってください」


Nさんの言葉を聞いたフランス人は、
なんと、こう言い放ちました。


「オレはフランス人だ!

フランス人なんだから、
イギリスのルールに従う必要はないんだよっ!」


それを聞いた私は、一瞬、自分の耳を疑いました。

「え?この人、何言ってるの?」と思って
最初は聞き間違いかと思いましたが・・・


「開いた口が塞がらない」というのは、まさにこのことです。

そして、私たちの周りに座っていた人たちも
その言い分に呆れたのか、目を丸くしながら
私たちのほうを注目し始めました。



ビックリしている私をよそに、Nさんは続けました。

「は? あなたが何人だろうと、
ここはイギリスなのだからイギリスのルールに従うべきです。

『郷に入れば郷に従え』という言葉通り
私もイギリス人ではありませんが、
イギリスのルールを尊重して、守っています」


それを聞いたフランス人男性は怒りをあらわに
上からNさんに怒鳴りつけています。


「お前は Rude だ!!
『Excuse me』と言うべきだ!」


それでも平然と、彼を見上げるNさん。


Nさんが動じないと分かったフランス人男性は
なにやら大声で捨て台詞を言いながら、
ほかの車両に行きました。

よく聞き取れませんでしたが、
かなり失礼なことを言っていたようです。


彼が立ち去った後、
前の席に座っていたパキスタン系の男性が
Nさんに向かって、こう言いました。

「なに?あれ?すごく失礼だね」

そしてNさんは、肩をすくめながらこう言いました。

「最近、ああいう人って多いわよね」




私は、普段はニコニコしているNさんの
毅然とした態度に驚いていました。

昨日は「Nさんは20年前と変わらない」と書きましたが
こういうところは、以前とはすごく違うから・・・


それに、フランス人が「Excuse meと言うべきだ」と言った時に
「彼女は、確かに言っていました」と
加勢できなかった自分が恥ずかしくて
ちょっと自分に対して腹立たしく感じてもいました。



電車の中ではお話ができないので
駅に着いた後でお茶をしたときに聞いた話なのですが、
Nさんは小柄で若く見えて、
いつもニコニコしているうえにアジア人だから、
頻繁に、いわれのない攻撃を受けていたそうです。

機嫌の悪い店員さんとか、
(このフランス人のような)性格の悪い人がムシャクシャしたときとか
人種差別主義の白人とか、そういう人たちに

「この子なら大声で怒鳴れば萎縮するだろう」とか

「こいつなら、言っても大丈夫。反撃しないだろう」とか

そんなふうに思われやすいらしく、
よく身に覚えのないことで暴言を吐かれたり
あからさまな嫌がらせをされたそうなのです。

同じことをしてる他の白人には言わないようなこと、
やらないようなことを、
平気でNさんにはしてくるのだそうです。


Nさん本人が言っていたのですが、
彼女は小柄で童顔なこともあって
いわゆる「いじめられっ子体質」っぽく見えるらしく
黙っていると、そういうターゲットになりやすいようで
こういう修羅場(?)を何百回と繰り返してきたそうです。


「私がゴリラみたいなゴツい女だったり
目つきが『極妻』みたいに鋭かったりしたら
ぜったいに、こんな目に遭わないのになぁ~、
って、何百回も思ったよ。はははー」

・・・と元気に笑いながら、Nさんはこう続けました。


「だから、ターゲットにならないように気を付けているし
そうなったときにも毅然と対応できるようになったけど、
その分、気の強い女になっちゃったよ」


私がビックリしておどおどしているのをよそに
驚くほど冷静に、ゆるぎない態度で毅然と対抗していた姿は
Nさんの言葉を裏付けるかの如く、かなり堂に入ったものでした。


こういう人たちは、Nさんのような弱そうな女性が
反撃してくるとは思っていないから
今回みたいに捨て台詞を吐きながらどこかへ行くか、
逆切れして、もっと怒るかのどちらかなのだそうです。


「どっちにしても嫌な思いをするけれど、
仮に自分がここで泣いたり、引き下がったりしたら、
こういう頭の悪い人たちは、
また同じようなアジア人を見つけたらバカにして見下すだろうし、
場合によっては、その人をターゲットにして、
自分たちの『うさ晴らし』をするだろうからね。

小さくて弱そうなアジア人女性だって
ちゃんと対抗してくるんだって分からせておかないと、
被害者が増えるばかりだもの。

それに、ああいうバカな移民がのさばるから
Brexit のときに『移民反対!』とか言われちゃうんだよ。

私も移民だけどさ、ちゃんとルールに従うし
税金も払うし、イギリス人の文化や風習を理解して
立派なイギリス人になろうと努力してるもん。

ああやって、イギリスに来て
自分の国よりも高い給料をもらって良い思いをするだけして、
イギリスのルールとか守らずに好き勝手やっている人が多いから
イギリスの治安が悪くなるし、
イギリスらしさがなくなってしまうのよ。

ああいう輩には、私も出て行って欲しいと思う。
私たちの美しい国を蹂躙しないで欲しいわ」


Nさんの言葉を聞きながら
先日行った、チェルトナムやグラストンベリーのような
美しい田園風景や田舎の古い街並みを思い出しました。

泊まった宿のオーナーさんや、
Nさんのお友達のCさんは、
本当に人が良くて、優しくて、素敵な人たちでした。

ああいう平和で優しい人たちの生活に、
このフランス人のような横暴な人たちが大勢やってきて
好き勝手をやっていたら・・・

そう思うと、なんとなくNさんの言葉、
「この美しい国を蹂躙しないでほしい」
という言葉の意味が分かったような気がしました。

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