落ち込んでいたもう一つの理由、
書くのに少し時間がかかってしまいました。
すみません。
実は先日、突然日本大使館からメールが届いたのです。
細かいことは省いて、
結果だけを説明しますと・・・
どうやら日本にいる兄が、
どこからか私がイギリスにいるらしいということを知って
イギリスの日本大使館に「こういう人物がイギリスにいないか?」と
私のことを問い合わせたらしいのです。
私に限らず、イギリスにいる日本人は
基本的に大使館に登録(届け出)をしています。
義務ではないのだと思いますが、
登録するよう推奨されていることもあり、
私は登録していました。
大使館からのメッセージには
「ご家族に連絡をとってください」という内容と
連絡先が書かれていました。
スパムかもしれないと思いましたが、
送信元なども外務省に間違いないようだったので
まず、連絡をとるかどうか数日悩みました。
こちらのブログを長く読んでくださっている方は
ご存じだと思いますが、
私は家族とは断絶していて30年近く連絡を取っていません。
連絡先も知りませんし、
生きているか、死んでいるかすら知らず、
まったく興味もありませんでした。
そのため、この期に及んでなんだろう?と思うと同時に、
もう何十年もそうだったのだから、
このまま放っておいてほしいという気持ちの
両方がせめぎあっていました。
結局、両親には虐待されたものの
子供の頃に庇ってくれていた兄には感謝していることもあり、
兄に連絡を取ってみたのです。
そこで分かったことなのですが、
母が数年前に卒中を起こして、
認知症を患っていたそうです。
そして、その後ガンが見つかり、
切除するための手術をうけたそうです。
私に連絡を取ろうとしたのは
手術をする少し前のことだったそうで、
大使館がアクションを起こすまでに時間がかかったのか
もう手術は終わっていて、
とりあえず経過は順調だそうです。
そして、兄からのメールを読んだ瞬間、
心によぎったのが「あの人、まだ生きてたんだ・・・」
という怒りにも似た感情でした。
そして、そう思ってしまった自分に
ショックを覚えたといいますか、
「なんて酷い人間なんだろう」と思ったのです。
何十年もたって恨みは消えたと思っていましたが、
憎々し気に「まだ生きていたんだ」と思い、
認知症を患っていたとは、
普段から性格が破綻していた人だったので、
さぞかし周りに迷惑をかけていたことだろう、と思い、
その迷惑をこうむっていた兄夫婦が気の毒になったのです。
母の身の心配よりも、
迷惑をかけられている兄夫婦に対して
申し訳ないと思う気持ちが先に立ったのです。
正直なところ、今になっても
母を心配する気にはなれません。
自分でも酷い話だとは思いますが、
周りに迷惑をかけ続け、
私が順調な人生を歩めなかった大きな原因となった
あの性格の捻じ曲がった人が認知症になり、
さらに周りに迷惑をかけているのか・・・と思うと
その渦中に晒されていなくて良かった、
と本気で思いました。
それに、もし私が介護する羽目になっていたら
積年の恨みと怒りのあまり、虐待し返したりしそうです。
実際、子供の頃は毎日殴られて惨めな生活を送っていて
「いつか大人になったら殺してやる」
とずっと思っていましたから、
おそらく高い確率で新聞沙汰になっていたかもしれません。
「このまま毎日殴られていたらいつか殺されるから、
力が強くなったら、いつか殺さないといけない」
物心ついたときから虐待されれていたので、
幼稚園に入るころには、
すでにそう思っていたのです。
そう考えると、本当に根深い感情なのも
当然なのかもしれません。
とりあえず入院費などについて
必要であれば少額なら送りますとだけ返信しましたが、
兄からの返信は「大丈夫です」とのことでした。
兄も私が虐待されていたことを知っているため、
親から遠く離れた地で放っておいてほしい、
と思う気持ちを理解してくれていたように感じました。
ただ、ガンの手術は命にかかわるものだったため、
迷った末に、一応知らせておいたほうがいい
と思ってくれたようです。
その後、兄からの連絡はありませんし、
私からも連絡をしていません。
このまま何もないと良いのですが、
何かあったとしても
母に対しては何の感情も起きないと思います。
最初のうちは、そう思ってしまう、
冷え切った自分の気持ちに恐怖すら感じましたが、
いろいろと考えたり、落ち込んだりした末に、
「この状態であるからこそ、母殺しにならずに済んでいるんだ」
と妙な理屈で自分を納得させています。
おそらく、普通の家庭で育った方には
理解しずらい感情なのだと思いますし、
自分は悪い家庭環境だったという自覚があった自分自身ですら、
自分のどす黒い感情に恐怖を覚えたくらいなので、
みなさんに分かっていただきたいとは思いません。
ただ、多くの方が心配してくださっていたようなので
ずっと更新していなかった理由を
きちんと書いておくべきだと思ったのです。