イギリスのコロナウイルス Track and Trace System の不出来さ加減に呆れました

日本でも同じことをしているか分かりませんが、
数か月前に政府が多額の資金をつぎ込んで、
Track and Trace System というものを作りました。

携帯にアプリをダウンロードして、
それを起動させていると、
自分がコロナウイルスに感染した人に
近づいたかどうか(感染した可能性があるか)が分かり、
自分が感染した可能性があった場合には
「あとX日 自己隔離しなさい」というメッセージが
表示されるアプリだそうです。

実は、これが開発されるまでにも
一悶着ありました。

まず、ボリス首相が公言していた
期日までに開発できなかったのです。

開発が終わったら終わったで、
大々的に宣伝していましたが、
それも1週間くらいで収まりました。

というのも、そのシステムのお粗末ぶりに
人々がガッカリしてしまい、
評価よりも批判のほうが多かったためです。

でも、私はほとんど外出しないので、
自分は関係ないと思って、
政府から言われたとおり
Track and Trace Systemのアプリはダウンロードしたものの、
実際に起動したことはありませんでした。

でも、先日インフルエンザの予防注射を受けたとき、
看護婦さんにこういわれたのです。

「そこにあるQRコードをスキャンして」

「なんですか、それは?」

「Track and Trace System のQRコードよ」

そう言われて、
よく分からないままアプリを起動して、
QRコードをスキャンしようと思ったのですが、
店内が圏外でスキャンできませんでした。

それを伝えると、看護婦さんはこう言いました。

「それは仕方ないわね。
私は義務として伝えるけれど、
スキャンする、しないは本人の判断だから」

注射からの帰り道、
よく見てみると営業しているお店のドアには
必ずと言っていいほど
同じようなQRコードがありました。

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私は Track and Trace System は
携帯付属のGPSで感染者の居場所を特定して、
それをもとに感染者と接触した人たちに
警告してくれるのだと思っていました。

しかし、どうやらこのQRコードをスキャンして
「自分は何月何日何時にここに来ました」ということを
アプリに「申告」しないと、
誰がどこにいるか特定できないようです。

つまり・・・

まず、アプリを起動しておかないといけない。

しかも、行った場所のQRコードを
自分でスキャンしないといけない。

スキャンしなかったら、
その人はそこに行ったことが記録されず、
仮に自分が感染していても
そこに行っていないことになるため、
他の人に警告が送られない。

スキャンしようと思っても、
電波が悪かったらスキャンできない。

スキャンし忘れたら、どうしようもない。

プリペイド携帯などで、
データ使用料をケチりたい場合は、
スキャンできたとしても
スキャンしない人もいると思われる。

・・・というわけで、
穴だらけのシステムで驚きました。

まるで子供のゲームアプリと言いますか、
素人が開発したシステムなの?
と突っ込みたくなりました。

こんなアプリだったら、
私が前に働いていた会社の同僚だったら
2-3日で開発してしまいそうです。

この Track and Trace Systemの予算を調べてみたら、
3,500万ポンド(約48億円)もかけているようです。

この金額は開発費用だけでなく、
専門のコンサルタントに払っている費用も含まれ、
ある記事によるとコンサルタントによっては
日給7000ポンド(約100万円)も受け取っているらしいです。

イギリス政府の対応には焦れていましたが、
彼らも頑張ってくれているのだから・・・
と思っていました。

でも、この子供のゲームみたいなアプリ開発に
貴重な税金を無駄遣いしている実情を目の当たりにし、
世の中の人々が政府を批判している気持ちが
少しだけ理解できてしまいました。

今は Brexit という大事な問題もあるので
コロナウイルスは二の次なのかもしれませんが、
ちょっとどうにかして欲しいものです。

そして、なぜ急に
こんなことをブログに書いたのかというと
今朝のニュースでロンドンのIT企業の人たちが、
「政府が作った Track and Trace System は役に立たないから、
ロンドンで独自のシステムを作るべきだ」
と言っていたのです。

政府主導でやるよりも、
自分たちが主導して作成したほうが
より良いシステムができるから予算を回してくれ、
といった趣旨のインタビューでした。

政府は頑張ってくれていますが、
手一杯なのは火を見るよりも明らかですから、
税金を無駄に使わないためにも、
ここはプライドを捨てて
専門家たちに委託してほしいところです。