『コッペリア』(Coppélia)は、人形を題材としたバレエ作品で、タイトルは『コッペリア』ですが、主人公はコッペリアではなく、フランツとスワルニダの若いカップルです。
音楽はレオ・ドリーブ、初演がパリのオペラ座ということもあり、振付はアルテュール・サン・レオン(Arthur Saint-Léon)です。
ドイツの小説家であるE.T.A.ホフマンの『砂男』を題材とした物語ですが、人形に恋をした男性の狂気を描いた『砂男』とは異なり、陽気で明るい喜劇仕立てになっています。
悲劇が多いバレエ作品のなかで、喜劇である『コッペリア』は後味が良くて、見ていて楽しくなる作品でした!
『コッペリア』あらすじ
舞台は、ポーランドの農村です。
からくり人形を作るコッペリウス博士は、村の変わり者として有名でしたが、彼の家の2階にあるベランダでは いつも美しい少女が座って本を読んでいます。
コッペリウス博士の向かいに住むスワルニダは、いつも人々の中心にいるような明るい性格の人気者。
しかし、スワルニダは婚約者のフランツがコッペリウス博士の家のベランダに座っている少女・コッペリアに心惹かれていることに嫉妬し、フランツと仲違いしてしまいます。
ある日、スワルニダは家の前で鍵を見つけます。どうやら、街へ出かけたコッペリウス博士が落としたもののようです。
好奇心旺盛なスワルニダは、フランツの思い人であるコッペリアに会いに行こうと考え、友人たちとともに鍵を開けてコッペリウス博士の家に忍び込みました。
コッペリウス博士の家には、沢山の からくり人形が並んでいました。
踊るスペイン人形と戯れたり、音楽を奏でる人形の曲に合わせて踊ったり、少女たちは楽しい時間を過ごしていましたが、家に帰ってきたコッペリウス博士に見つかってしまいます。そして、少女たちは三々五々 外へ飛び出しました。
しかし、運悪く逃げ損ねたスワルニダは、大きなクローゼットの中に隠れました。そして驚くことに、そのクローゼットの中にはフランツが恋心を抱いていた少女・コッペリアの人形が置いてあったのです。
そんなとき、コッペリア博士は留守だと思っていたフランツが、梯子をかけて2階の窓から忍び込んできました。すでに家に戻っていたコッペリア博士はフランツを見つけて、怒鳴り散らしますが、何を思ったのか博士は急に大人しくなり、フランツにワインを振るまいはじめました。
なんと、コッペリア博士は かねてから人の命を人形に吹き込む研究をしており、酔いつぶれて意識を失ったフランツの命を、人形であるコッペリアに吹き込もうとたくらんだのです。
その一部始終を見ていたスワルニダは、コッペリアになりすまし、コッペリア博士の前であたかも命を得たかのように振舞いはじめました。
最初は実験が成功したことに大喜びしていたコッペリウス博士ですが、コッペリアのイタズラがひどすぎて、しまいには困り果ててしまいます。
そんなところへフランツが目を覚ましたため、コッペリウス博士は命を吹き込む実験が失敗であったことを知り、そして実はスワルニダがコッペリアのふりをしていたことに気が付きました。
目を覚ましたフランツは、コッペリアが人形であったことを知り、めでたくスワルニダと仲直りします。
仲直りしたフランツとスワルニダは、結婚を執り行いますが、そこへ人形を壊されて怒りに満ちたコッペリウス博士が割り込んできます。
村長がフランツとスワルニダ、そしてコッペリウス博士の仲を取り持とうとしますが、博士は頑として聞き入れません。そこで、村長はご祝儀として持ってきた金貨の入った袋をコッペリウス博士に渡すと、博士はとたんに機嫌を直し、二人の結婚を祝福したのでした。