もう随分前のことなのですが、
ロイヤルオペラハウスの
プリンシパルダンサーであるマリアネラさんの
トークショーに行ってきました。
南アメリカ出身の方なのですが、
とにかく仕草が可愛らしくて、
茶目っ気のある笑い方、
相手の話を聞く時の仕草など、
大人の女性としての色気もあるのに、
可愛らしさのある女性でした。
アルゼンチン出身のラテン系なので、
フレンドリーな国民性なのかもしれませんが、
彼女の可愛らしさは、
育ちの良さにも起因しているのではないか、
と思える節がありました。
マリアネラさんの話を聞いていると、
6歳の頃から親が車で片道3時間もかけて、
大きな街の有名なバレエ学校へ
毎日送り迎えしてもらっていたとか、
普通の家庭だと到底無理なことを
難なく成し遂げてしまえるだけの
経済力のある家のようでした。
私の勝手な思い込みかもしれませんが、
幼い頃から親兄弟に可愛がられ、
才能があるために周りからも賞賛されてきた女性、
そんなイメージを持ちました。
かといって高飛車なわけではなく、
純粋に、周りの人たちは良い人たちで、
自分に対して優しくしてくれたり、
賞賛しててくれるものだと
捉えているように思えました。
そのため、人に対して警戒することもなく、
必要以上に謙遜することもなく、
笑顔でありのままを受け入れ、
そして、彼女の素直な反応に、
周りの人たちの心も溶かされて、
とても良い人間関係が築けているように思えました。
才能があったとしても、
この地位に昇りつめるまでに
並大抵ではない苦労と努力を払ったはずですが、
そういったことを苦にすることなく
笑顔で話せてしまう強さと嫌味のなさ、
人としての温かみと優しさを感じ、
とても魅力的な女性だと思いました。
物心ついた頃には、
両親を含め、周りは自分を痛めつける人、
害を与える人しかいないと思い、
恐怖を抱きながら育った私としては、
そういう環境で育つことができるのは
このうえない幸運だと思います。
幼い頃の数年間の幸せが、
後の何十年と続く人生を形作る基盤になる、
と言っても、言い過ぎではないように思います。
人の行為をポジティブに捉えて、
相手にもポジティブな影響を与えられるようになるか、
それとも、恨めしい気持ちで人生を受け止め、
かつての私のように、人と心を通わせることなく、
僻みと孤独に囚われた人生を送るようになるか・・・
今さら過去を変えることはできませんし、
何十年もかけて培った性格を変えることは
容易ではないと思いますが、
彼女のようにポジティブに物事を捉え
苦労したことも笑顔でさらっと話せてしまうような、
そんな女性になりたいものです。
良い環境で育つことができた人を羨ましく思う反面、
羨ましく思うだけでは何も変わらず、
逆に僻んでしまったりして、
悪い結果になりそうな気がします。
過去のことは変えられないので、
まずは、ありのままを受け止めて、
今さら僻んだり、卑屈になったりしないこと。
そして、今から変えられる可能性がある、
これからの人生をポジティブなものにできるよう
少しずつ努力していきたいと思いました。