こちらのブログにコメントを寄せて下さる、
Saraさんから「ツルバラが咲かない」とのお話がありました。
そのことについて書かせて頂こうと思いますが、
今回のブログは個人的なメッセージに近いので、
バラの育て方にご興味のない方は
飛ばして頂けると助かります。(すみません・・・)
Saraさんのブログへのリンクを
こちらにコピーしても良いのか分からないので、
とりあえずコピーせずにおきますが、
一季先のツルバラ(5-6月にだけ咲くバラ)で、
元気はあるのに蕾がつかないのだそうです。
写真を拝見したところ、
おそらく垂直方向に茎をのばすことに栄養が使われて、
花芽にまで栄養が回っていないように思われました。
実は、バラには「個性」がありまして、
バラによって、花の色や香りだけでなく、
枝の伸ばし方や葉っぱの色つやなどに特徴があるのです。
茎の特徴として、
支えがなくても直立して育つタイプと、
ツルバラのように茎が弱くて自立できないタイプ、
また、その中間と言いますか、
育て方によって、
どちらのタイプにもなるバラがあります。
そして、ツルバラでも、直立タイプのバラでも、
共通している特徴は、
「花芽は上につく」ということです。
そのため、直立タイプのバラは、
茎の成長が止まった場所(=一番高いところ)で、
上に向かってバラの花が咲きます。
たとえば、こんな感じで咲きます。
ツルバラも同様ではあるのですが、
茎が弱くてクネクネしてしまうので、
バラもどこが一番高い場所か分からず、
ひょろひょろと
上を目指して茎をのばし続けてしまう傾向があります。
大きくなろうとするバラは、
成長が頭打ちになってしまう花芽ではなく、
長く伸びる茎を優先して成長させてしまうため、
花を沢山咲かせたい場合は、
ある程度のところで茎の成長を止める必要があります。
茎の成長を止めるためには、
まず水平に誘引(這わせる)して、
「ここまで這わせたい」という長さになったら
先を切って、成長を止めます。
ツルバラの誘引をするときには、
長く伸びた茎を水平に(真横に)伸ばすのが基本です。
ウィンドウズのペイントソフトで書いたので、
下手な絵で申し訳ないのですが、
こんな感じに伸ばすのです。
「どういうふうに這わせるか?」という構図を思い描き、
その構図を作るために最適な場所で育っている、
元気そうな枝だけを選んで、
他は芽のうちに摘んでしまうか、
深く剪定して、成長を抑えます。
こうして、主となる枝で基本形を作って、
枝の成長を止めると、
バラの芽は上へ向かって育つため、
こんな風に芽が伸びてきます(黄緑色)。
新芽が沢山出ることで栄養が分散されて、
ひょろひょろと長く伸びる芽が出にくくなりますし、
こうして伸びた芽は、
全部がその枝の「最も高いところ」についているので、
ほとんどが花芽になります。
つまり、誘引のポイントは「水平にする」ことで、
できるだけ平らにしたほうが花が多く咲きます。
なぜなら、枝が波打っていると、
波の頂上部分だけから枝が伸びてしまいますし、
しかも、その伸びた枝は、
花芽ではなくなってしまう可能性があります。
もし、上の図のように横長ではなく、
できるだけ高く、大きく育てたい場合は、
赤丸を付けた芽を直立させると、
また上にグングン伸びてきます。
15cmくらい伸びたところで、
また枝を横に寝かすと、新しい芽が出てきますので、
「水平にする -> 伸ばしたい枝を直立させる」
という作業を繰り返すことで、
横幅も縦の長さもあるバラに育てることができます。
たとえば、こちらは
私が一昨年の冬に剪定したバラです。
最初はこんな風にゴチャゴチャしていた枝を・・・
情け容赦なく整理して、
こんな風に誘引しました。
こちらは「半直立タイプ」なので、
枝が固くて完全な水平にはできませんでしたが、
できるだけ水平になるよう整えました。
そして、こちらが春の写真です。
きっちり水平になっていないがために、
逆に「枝の高いところに花芽がつく」という特徴が
よくお分かりになるのではないかと思います。
このバラは、去年伸びた若い芽を育てて水平に伸ばしたので、
今年はもっと沢山の花が咲きました。
(でも、写真を撮っていないことに、今 気づきました・・・)
バラは育ったばかりの若い芽のほうが
枝がしなやかで誘引しやすいので、
冬の剪定時に完全に水平に伸ばせるよう、
去年、新芽が出てきたときに調整しておいたのです。
Saraさんのバラは一季咲きなので、
今から誘引しても、
残念ながら花芽がつかないかもしれません。
でも、今からでも枝を水平にして
整えてみたらいかがでしょうか。