ウェルズの街には、カテドラルがあります。
入場は無料となっているものの、
寄付として6ポンドを求められます。
でも、とても立派な教会なので、
一見の価値はあると思います。
ゴシック様式のアーチが美しく、
中央の聖歌隊席付近で交差しているアーチも独創的で、
見ていて飽きません。
交差しているアーチの向こうは聖歌隊席で、
聖書や歌の本が、整然と並んでいました。
こういうふうに、きっちりと揃って置かれているのを見ると
なんとなく気持ちが落ち着きます。
1ポンドの寄付をしてロウソクを買って、
火をつけてきました。
別に願い事があったわけではないのですが、
薄暗い教会の片隅で、
ゆらゆらと揺れる小さな炎が幻想的で、
まるで、ひとつの芸術作品のような気がしたのです。
そして、その作品に、
私も手を加えてみたくなったのです。
不信心な動機ではありましたが、
火をともして、ボーっと見ていたら、
じわっと、小さな満足感が湧いてきました。
教会の本堂から側廊に出ようと歩いていたら、
側廊へ出る途中にあった石のベンチに、
こんなクッションが置いてありました。
手刺繍のクッションのようですが、
凝ったデザインで、とても上手に作られていました。
手前に「1973」という数字が見えるので、
もしかすると1973年に作られたものなのかもしれません。
側廊に出てみたら、
とても素敵なゴシック様式のアーチが続いていました。
こういった側廊のことを「クロイスター」と呼ぶのですが、
ハリーポッターの映画にでも出てきそうな雰囲気でした。
雨音を聞きながらクロイスターを歩いていたら、
なんだか不思議な気分になりました。
目にするものがすべて中世のものなので、
現実離れした感覚と言いますか、
自分がこういう場所にいること自体が、
現実ではないような、不思議な感覚にとらわれたのです。
建物の雰囲気に圧倒されて、
現実のことなど気持ちの片隅に追いやられてしまったような、
そんな気分になりました。
こういった建物を作った昔の人たちって、
どんな人たちだったのでしょうね。
何百年も経て、生まれた国も人種も違う、
私のような人間にすら感動を与えることができるなんて、
素晴らしい偉業だと思います。
建物を作った人たちがどんな人生を送ったかは知りませんが、
その人たちは死んでから何百年経っても、
訪れた人たちが、彼らの仕事に対して
感謝の気持ちを捧げ続けるのですから、
壮大なスケールの偉業だと思います。
芸術家や建築家のように、
後世に残るものを手掛けることができる人を、
ちょっと羨ましく思いました。