今朝、同僚の P さんから
こんなメッセージが来ました。
「昨夜、BBCのドキュメンタリーを見たんだけど、
デュポン社が使用している化学薬品についての番組で、
とても興味深かったけれど、
既にコントロールできないほど広がっている有害物質と
それによって起こるリスクを考えると怖くなりました」
私はドキュメンタリー番組が好きなので、
早速、インターネットでこの番組を見てみました。
見ていて、私も恐怖を覚えました。
テフロン加工(フッ素樹脂加工)のフライパン、
私が子供のころに発売されて以来、
ずっと使い続けていますが、
これが恐ろしい有害物質を含んでいるのです。
少し長くなってしまいますが、
できるだけ要点をまとめて書いてみます。
デュポン社は、テフロン加工をするために、
2012年頃まで C8という化学物質を使っていました。
このC8という物質は、
野球場一杯の水に一滴垂らしただけでも、
人体に有害になると言われているくらい、
毒性の強い物質なのだそうです。
そして、C8を扱っていた工場で働く女性のうち
2名が奇形児を生んだことから始まり、
C8は人体(女性)に悪影響があるかもしれない、
と言われるようになり、
工場で働くのは男性だけになったそうです。
しかも、デュポン社幹部の質疑応答で、
こんなやりとりが放送されていました。
質問者「妊婦に影響があるのを知っていましたね?」
幹部「いいや、妊婦に影響はない」
質問者「でも、この書類にラット実験で奇形児が生まれたことが
記載されていますよ」
幹部「違う!妊婦に影響があることは知らなかった。
知っていたのは、胎児に影響があるということだ!」
これを聞いたとき、
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだわ、
と思いました。
「妊婦に影響があるから、胎児に影響が出たんでしょ?」
と突っ込みを入れたくなりましたが、
こんな屁理屈を堂々と述べる人が幹部なら、
有害物質が世界に蔓延するのも放置していたことも、
何となく納得できるような気がしました。
しかも、C8を開発した3Mという会社からの報告で
「C8は、決して水に流さないように」
と書かれていたにもかかわらず、
オハイオ川にC8を垂れ流していたのです。
すると、まず周辺で飼われていた牛たちに奇形が生まれ、
さらに300頭近くの牛が次々に倒れ、全滅したのです。
そして、デュポン社の工場で働いていた人も
30歳から50歳の人々が、
次々とガンを発症して亡くなったそうです。
さらに、オハイオ川流域に住んでいる人たちは
ガンの発生率が高いことが分かりました。
そこで調査したところ、ガンや高コレステロールなど、
C8が6つの病気の原因になることが分かったそうです。
番組には、高コレストロールが高じて、
心臓が弱って、心臓発作で倒れた人が出ていました。
このように併発する病気も考えると、
6つどころの騒ぎではないと思います。
そして、地域住民が団結してデュポン社を訴え、
長年にわたって裁判をしていたそうです。
その裁判の途中で、
本来であれば国民の味方である政府機関EPA
United States Environmental Protection Agency
(アメリカ環境保護庁)のトップが買収されて、
デュポン社に好意的な公示を出していたことが
明るみに出たそうです。
つまり、デュポン社だけでなく、
政府ぐるみで国民を騙していたことになります。
長い裁判の末に、
政府がデュポン社に課した罰金は、
160万ドルでした。
これだけ聞くと大金に聞こえますが、
デュポン社はテフロン加工製品を売って、
年間24億ドルもの収入を得ています。
つまり、160万ドルは、
売り上げのほんの一部でしかありません。
数えきれないくらいの人や動物の
命を奪ったことに対する償い、
障害やガンを抱えて生きていかなくてはいけない人たちを
生み出したことに対する償いだとしたら、
あまりに安すぎるようにも思えます。
そして、こうしてデュポン社がテフロン製品、
言い換えるならば「有害物質を使った製品」を
世界中に広めたことが分かったため、
世界各国で有志の人たちを募って血液検査をしたところ、
老若男女問わず、ほぼすべての地域の人の血液から
C8が検出されたそうです。
唯一、C8が検出されなかったのは、
ある地域で従軍していた人たちの血液で、
テフロン加工製品とは無縁の生活をしていた人たちでした。
つまり、私たちはデュポン社の製品によって
知らない間に、汚染されてしまったのです。
裁判の後、
デュポン社は段階的にC8の使用をやめましたが、
今は C8の代わりに GEN-X(ジェネックス)
という化学物質を使って
テフロン加工製品を作っています。
しかも、裁判でデュポン社の印象が悪くなったことから、
Chemouras(ケモウラス)という名前の新しい会社を作り、
そちらでテフロン製品を販売しているそうです。
さらに恐ろしいことに、
この GEN-X を使ってラット実験を行ったところ、
C8を使った時とほぼ同様の結果が出たそうです。
C8はデュポン社の件で規制されましたが、
新しい化学物質の GEN-X は規制されていないため、
問題なく使えるのだそうです。
しかも、アウトドアジャケットなどに使われている
ゴアテックスも、C8(今は GEN-X)を使って、
生産されているそうです。
こう考えると、
一体どの製品にC8や GEN-X が使われているのか?
それすらも分からないため、
気づかない間に有害化学物質に晒されているかもしれない、
という恐怖を感じました。
いずれにしても、有害化学物質には、
できるだけ接触しないように心がけたいものです。
私もテフロン加工のフライパンを使っていますが、
鉄製のものに買い替えようと思います。
ところで、こちらは同僚のPさんが送ってくれた写真です。
Pさんの友人のホームパーティーに行ったときに、
デザートとして出てきたそうです。
こんな可愛いジンジャークッキー、
もったいなくて食べられませんよね。