今日バスに乗っていたら、
杖をついた老女が乗って行きました。
私は、2階建てバスの1階席最前列に座っていたのですが、
その老女が乗ってきたときに、
バスの運転手さんが、
その女性にこう話しかけました。
「どちらで降りるのですか?」
その女性は「ハイストリートケンジントンです」と答え、
ゆっくりとした足取りでバスの中に入っていきました。
バスのドライバーさんは運転席から首を伸ばして、
その老女が座るのをじっと見届けていました。
運転手さんは、確実に座ったのを確認してから、
バスを発進させたのです。
そして、その女性が降りるバス停になると、
また首を伸ばして車内を覗き込み、
その女性が確実に降りて、
歩道を歩き出すまで見守っていました。
こちらの運転手さんで、
パッと見た印象は、ポーランド人っぽい感じでした。
些細なことかもしれませんが、
こんなに優しい気遣いのできる
バスの運転手さんを見たのが初めてだったので、
なんだか心が温かくなりました。
機嫌の悪いお客さんなどは、
バスのドライバーさんに八つ当たりする人もいるらしく、
Zero Torelance などというポリシーも
声高く叫ばれている昨今です。
Zero Torelance というのは、
サービス業の人に対して、
お客さんが酷い仕打ちをしたり、
暴言を吐いたりしたら、
すぐさまそのお客さんを排除する、ということです。
例えばバスだったら、
有無を言わさずバスを降りてもらいます、
と最初から宣言しているのです。
つまり、Torelance(我慢)が、
Zero (ゼロ=無し)というわけです。
そんなポリシーが一般的になるくらい、
嫌なお客さんも多くて、
ストレスのたまる仕事のせいか、
無愛想な運転手さんが多いような気がします。
でも、こうしてお客さんに優しさを見せてくれる
運転手さんもいることが分かって、
なんだか嬉しかったです。
そのままバスに乗っていたら、
急に天候が変わって、
土砂降りの雨が降ってきました。
ロンドンの街は下水がきちんと作られていないので、
大雨が降ると、道路が冠水してしまいます。
そんな中、バスは水を大きく跳ね上げながら
市内を走っていました。
分かりずらいかもしれませんが、
下の写真で、窓の外に白い筋が横に入っていますよね?
あれは全部、バスが跳ね飛ばした水です。
こんな風に水が跳ね上がったら、
歩道を歩いている人は
全身びしょ濡れになってしまいます。
さっきバスを降りた女性が、
無事に家に着いていると良いのですが・・・