先週、ロイヤルオペラハウスでの
少し特別なイベントに行ってきました。
普通にチケットが買える演目ではありますが、
クロエスタジオというスタジオでの
リハーサルを見学できるイベントです。
こんな感じの大きなスタジオで、
壁の一面に簡易座席が設置されていました。
スタジオ内の座席が限られているため、
チケットを取るのが難しいイベントなのですが、
運よく、チケットを3枚手に入れることができたのです。
バレエ好きの同僚 I さんを誘ったのですが、
あと1人、誰を誘おうか迷っていたときに、
Aさんがダンス好きだったことを思い出し、
Aさんに声を掛けてみたら、
2つ返事で「行く」とのことでした。
ここ何カ月も避けていた、同僚のAさんです ↓
誘った後、実は後悔しました。
というのも、後から I さんに聞いた話ですと、
使わなくなったチケットをロイヤルオペラハウスに持っていくと、
1ポンドの手数料で再販してくれることが分かったのです。
最初からそうと知っていれば、
Aさんは誘わなかったのにな・・・と思いました。
そして、案の定、Aさんはイベントの後で
文句ばかり言っていました。
「ラ・バヤデール」というインドが舞台の
バレエのリハーサルだったのですが、
Aさんは「バヤデールは、XXXのシーンのダンスが
ダンサー泣かせで有名よね」などと話していて、
バレエにも造詣が深いような感じでした。
でも、リハーサルの後、
プリンシパルダンサーのことを悪し様に言うのです。
Iさんは「私の好きなタイプの踊りではないけれど、
でも、リハーサルが見れて嬉しい!」と喜んでいました。
Aさんは、せっかくの貴重なチケットだったのに、
チケットを入手できてラッキーだった などといった
感謝の気持ちすらもなく、
ダンサーの悪口ばかり言っていて、
正直、うんざりしてしまいました。
しかも、その悪口の内容が
「何もかもが優秀で、つまらない」
というものなのです。
「何もかもが優秀なら、
素晴らしいということじゃないんですか?」
私がそう聞くと、Aさんはこう言いました。
「うーん。
なんか優等生過ぎて、面白くないのよ。
『なに、あれ?』って感じ」
これを聞いて、
ダンス自体は文句のつけようがないほど上手なのに、
こんな根拠のないことで文句を言われるなんて、
ダンサーが気の毒になりました。
確かに、一般的には「優等生タイプ」は
面白味がないのかもしれませんが、
それでも世界的に有名なバレエ団で
プリンシパルになるくらいですから、
無個性であるわけはなく、
それなりの実力と魅力が備わっているはずです。
Aさんの話を聞いていて、
文句をつけるところがないけれど、
なんとなく褒めるのは面白くないから、
とりあえずケチをつけているだけのように
感じてしまいました。
彼女の性格を知っていたのに、
なんで誘ってしまったんだろう・・・と、
せっかくの良い気分が台無しになり、
後悔でいっぱいになりました。
そして、もう二度とAさんを誘うのはやめよう、
と思いました。
私はバレエのことは分かりませんが、
まるで妖精のように軽やかに舞う姿は、
うっとり見とれてしまうほど美しかったです。
バレエを専門的に知っている人だったら、
もしかすると、
何か気になるところがあったのかもしれません。
でも、振付家のアドバイスを聞いた直後に
そのアドバイス通りに踊る様子を見て、
真摯にリハーサルに取り組んでいることも分かりましたし、
振付家の意図するところを的確に理解する
カンの良さもあるように思えました。
単に、Aさんの好みではなかっただけで、
プリンシパルのヤスミンさんは、
とても素晴らしいダンサーだったと思います。
私たちが見に行ったリハーサルは、
ROH公式 You Tube で動画になっています ↓
動画の前半部分でヤスミンさん(青いドレスの人です)と
絡んで踊っている人は、日本人の高田茜さんです。
顔が小さくて、首が長くて、手足が長くて、
8頭身くらいありそうな姿は、日本人離れしています。
さすが、世界で活躍するだけのことは ありますね。
少し話は逸れますが、
最近は楽しいことが増えてきたせいか
今回のAさんの言動に、強い違和感を覚えました。
失礼な言い方かもしれませんが、
口を「へ」の字に曲げて、
目に入るものすべてに文句を言っている様子は、
まるで毒を吐き散らしているかのようでした。
変なことを言うようですが、
なぜ、かつての私はAさんとの夕食に付き合って、
この毒々しい愚痴に何時間も我慢できたのか、
不思議でなりません。
そして、以前は「嫌だな」と思いつつも
我慢して付き合っていたことだったのに、
「もうそんなことを我慢するのは、ゴメンだわ」と、
強く(冷たく?)思えてしまう自分に気づき、
なんだか複雑な気持ちになりました。
もしかすると、
自分の回りが楽しい環境になると、
そうでない環境(愚痴や意地悪ばかりの環境)には
馴染めなくなるのかもしれませんね。
たまさんが「環境を変えると性格が変わる」と
何度もコメントでおっしゃっていたのは、
このことなのかもしれません。
身の回りが楽しいものばかりになると、
そうでないものに対して敏感になって、
「ああ、これは私の欲しいものじゃない」とか
「これは、私の日常とは違うものだわ」などと思い、
以前は問題なく接することができたことだったのに、
気持ち的に、そういった事柄を受け付けることが
出来なくなっているような気がしました。
なんとなく・・・ですが、
常に、明るいものや楽しいことを身近にもっていれば、
自然と暗いものや嫌なものを
避けるようになるのかもしれません。
世の中は楽しいことばかりではありませんが、
できるだけ楽しいことを
身にまとっていたいものだと思いました。