戦争がテーマのバレエ Last We Forget

昨日、サドラーズ・ウェルズという劇場に
バレエを観に行ってきました。

小品3つで構成されている
「Last We Forget」というタイトルのバレエで、
最初の作品はクラシックバレエ色の濃い演目でした。

次の作品は15分くらいの短いバレエで
クラシック色が残るものの、モダンなバレエでした。

最後の作品は、コンテンポラリーダンスのような、
現代的な作品だったので、
それぞれの違いが際立つ構成になっていました。

しかも、すべての作品のテーマが、
第一次世界大戦なのです。

最初の作品は、出征する恋人との別離が
テーマになっているようでした。

別離という悲しいテーマなのに、
流れるような優雅な動きを見ているうちに、
夢見心地にすらなってしまうような、
少し大人の雰囲気のある、
しっとりした美しい踊りでした。

次の作品も、別離がテーマのようでしたが、
最初の作品よりも素朴な感じで、
ジーンズのような衣装を着ていたこともあり、
若いカップルが、必死に悲しさを堪えているような、
そんな印象を受けました。

そして、私の中で一番印象に残ったのが、
最後の作品です。

こちらも戦争がテーマになっているのですが、
先の2作品とは少し違っていて、
女性の強さを訴えかけるような作品だったのです。

戦争の主役は兵士(男性)というイメージがありましたが、
戦地に赴かずとも、工場で兵器を作ったり、
留守を守ったりしている、
強い女性に焦点が当てられているのです。

キビキビとして、機敏な動きの群舞などは、
女性どうしで協力しているようにも見えますし、
力強く、しなやかな鞭のようにしなる動きは、
夫や恋人がいない寂しさに負けないよう
気丈にふるまっているようにも見えました。

3つの作品それぞれが
振付家の個性が際立つ舞台だったので、
とても楽しめました。

ダンスのことは素人なので、
私の感じたことは、
もしかすると演出家や振付家の意図するものとは
違っているかもしれません。

それでも、見た時に大きく心を揺さぶられて、
頭の中で色々な想像が駆け巡って、
感情が大きく掻き立てられて、
はっと目が覚めたような感覚を覚えました。

しかし、その一方で、
美しい動きに見入っているうちに、
目は冴えているのに夢見心地になるような、
とても心地よい気分になりました。


実は、このバレエを勧めてくれたのは、
他の課で働いている同僚の R さんでした。

前に、誰もやりたがらない仕事を
押し付けられことについて書いたことを
覚えてらっしゃるでしょうか? ↓

その後、トイレに行く時間も惜しいくらい、
とにかく働き詰めで、苦労していました。

しかも、私は入社して1年も経っていないため、
事情が分からないことが沢山ありました。

そのため、他課に説明を聞きに行ったり、
逆に、当課の見解を説明しに行ったりと、
最近は、Rさんの所属している課に
足繁く通っていたのです。

Rさんと私の仕事とは直接関係はありませんが、
オフィスで通りすがったり、
なんとなく顔を合わせる機会が多くなって、
最初は簡単な挨拶から始まり、
世間話をするようになりました。

そして、数日前にこのバレエのことを
教えてもらったのです。

English National Ballet の演目でしたが、
上演期間が10日くらいしかなかったので、
Rさんに話を聞いて、
すぐにチケットを取ったのです。


こうして考えてみると、
嫌々ながら引き受けた仕事から
交友関係(というほど親しくもありませんが・・・)が
少しずつ広がってきているような気がします。

しかも、そのおかげで、
こんなに素晴らしい舞台を見ることができました。

仕事の苦労や、いろんなストレスを忘れて、
動きの美しさに没頭しているうちに、
自分の中のもやもやした気持ちが、
大きな感動の波に洗い流されたような気がしました。

あのときに引き受けた仕事のせいで
大変な苦労を強いられてはいますが、
あのときに強引に仕事を断っていたなら、
Rさんたちと知り合うこともなかったし、
こんな素敵なステージを見ることなかったことでしょう。

仕事は大変ですし、
いつ終わるのか、皆目見当もつかない状態です。

でも、それを引き受けたからこそ、
得たものもあるんだ・・・

そんな風に思うと、
あのとき引き受けたことにも、
何かしらの意味があったのかもしれない、
という気すらしてきます。


こちらは、劇場のサイトで紹介されている、
「Last We Forgot」のスクリーンショットです。

last we forget.JPG

3つ目の作品の1シーンで、
中央に座っている男性の背中に、
まるで天使の羽が生えたかのような動きを、
群舞の人たちが表現していました。

こういう発想が出てくるなんて・・・と思うと、
振付家のことを尊敬してしまいます。

Akram Khan(アクラム・カーン)という振付家のようですが、
この人の生み出した、
力強いダンスがとても印象的だったので、
もしチャンスがあったら、
他にも、この人のステージを見てみたいと思いました。

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posted by イチイ at 22:30Comment(2)イギリスのシアター