ナショナルギャラリー

昨日は、ナショナルギャラリーに行ってきました。

好きな絵が沢山あるので
時々行っているのですが、
昨日は好きな絵があるエリアが改装中で
お目当ての絵の幾つかが
展示されていませんでした。

残念でしたが、
9月の後半に工事が終わるそうなので、
そのときまで我慢するしかありません。

昨日見ることのできなかった絵のひとつが、
こちらです。

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イタリアのルネッサンス期の画家で、
フィリッポ・リッピという人が描いた受胎告知です。

フィリッポ・リッピは、
あの「ヴィーナスの誕生」で有名なボッティチェリの師匠でしたが、
いわゆる「なまぐさ坊主」として名高い僧侶でした。

しかし、時の権力者である法王に気に入られていたため、
特別待遇を受けて、
僧侶であったにもかかわらず、結婚しました。

しかも、彼の結婚相手も、
ルクレツィアという名前の修道女だったのです。

この辺のエピソードには面白いものがあるのですが、
それはまた何か機会があったら
お話させていただくかもしれません。

ただ、ひとつだけ言わせていただくなら、
当時の修道院は孤児院を兼ねていることが多かったため、
僧侶になりたい人だけが修道院に入るわけではなく、
孤児が、やむを得ず僧侶になることも多かったそうです。

そんなふうに、人生に流されて僧侶になった人たちは、
きっと煩悩を断ち切ることが、
出来なかったのでしょうね。

ちなみに、フィリッポ・リッピの息子は、
ボッティチェリの弟子で、
名を遺す画家となりましたので、
個人的には、フィリッポ・リッピが「なまぐさ坊主」で
良かったと思っています。

そうでなければ、
現在残っている素晴らしい絵画の幾つかが
この世に生まれ出なかったかもしれませんから・・・


私は、この絵を見ているだけで、
周りの音が聞こえなくなるような錯覚を覚えます。

静謐という言葉がぴったりな荘厳さのなかに、
ふんわりと優しい、
春風のような柔らかい雰囲気を感じるのです。

特に、少しだけ上目遣いで
マリアを見るガブリエルの姿が大好きです。

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有難いことに、ナショナルギャラリーは入場無料なので、
行くたびに2-3枚の絵だけを見て、
好きな絵の前で、好きなだけ時間を過ごしています。

早く、またこの絵を見たいです。


私は、どうやらストレスが溜まってくると
無性に好きな絵画を見たくなるようです。

じーっと見ていると、
その絵に気持ちが取り込まれると言いますか、
現実を忘れることができるのです。

週末のナショナルギャラリーは混んでいるので、
金曜の夜に行くことが多いのですが、
とても人の多い日曜日に行きたくなるほど、
ストレスを感じてるんだなぁ・・・などと思いつつ、
大好きな絵が見れなくて、心残りな日曜日でした。

そして、そんな欲求不満が高じて、
来月、イタリアに行くことに決めました。

私の一番好きな画家である、
ジオットが描いた壁画を見に行くのです。

会社を2日ほど休むことになりますが、
2泊3日なので、1日中ずっと、
大好きな絵を眺めていることがきるはずです。