イギリスでアパートを買う

今日は、昨日書いたブログの続きを書いてみたのですが、
気づいたら2時間くらい書いていました。

長いブログになってしまいましたが、
もしよかったら、お付き合いいただけると嬉しいです。

昨日のブログは、こちらです ↓

でも、続きをお話しする前に、
少しだけ別の話をさせてください。

実は、昨日のブログにコメントを寄せて下さった方が
教えてくれたのですが、
昨日の出来事のように、
最初に安い物件を広告に載せて、
それを見てやってきたお客さんに
「それはさっき売れたのですが、こちらが・・・」と
他の物件を勧めるという、
詐欺みたいなことが横行しているようです。

私のケースは違うと信じていますが、
ただ本当のところは、
「神のみぞ知る」といったところでしょうか。

ただ、コメントを読んだ後にいろいろと考えたとき、
仮に騙されていたとしても、
それが自分が欲しかったものであったなら
騙されていたとしても、まぁ、いいかな・・・
と思ってしまう自分に気づきました。

こう考える私は、
愚かなのかもしれません。

でも、「経過はどうであれ、
自分が欲しかったものが手に入れば、
結果オーライかな?」などと
能天気に考えてしまう自分がいるのです。

それに、前にも書きましたけれど ↓
すぐに人の言うことを鵜呑みにして、
丸め込まれてしまうところがあるので、
もしかしたら、
単に詐欺に遭いやすい性格なのかもしれません。

今回のケースは
詐欺にしては手が込んでいる気がしますので、
詐欺ではないとは思いますが、
その一方で、100%否定できない自分もいます。

でも、そういう詐欺的なことがまかり通っていることを知って
とても勉強になりました。

教えて下さった たまさん、匿名さん、
どうもありがとうございました。


さて、話を戻しますが、
日本で言うところの 1LDK アパートを見終えて、
外玄関のドアを閉めて、
表通りを歩き出した直後のことです。

不動産会社の J さんが、大きな声をあげました。

「あら! Sさんじゃない! ハロー!元気?」

20mくらい先に、
ショートカットの女性が歩いていたのですが、
その人に声をかけたのでした。


少し話が逸れますが、
Jさんが「ハロー、元気?」と声をかけた直後、
私も反射的に、その人に「ハロー!」と
ニッコリ笑いかけていました。

そして、「ハロー!」と言った後に、
「あれ?」と、我に返りました。

見知らぬ人に「ハロー!」などと
何の躊躇もなく、
元気に声をかけた自分に驚いたのです。

これは多分、毎週末 行っている
ボランティアのおかげだと思います。

ボランティア先では見知らぬ人と接する機会が多く、
初対面の親子と折り紙をしたり、
たわいのない会話をしたりすることがあります。

そして、たいてい1人ではないので、
隣にいるボランティアの人が
「ハロー!」と訪問者に声をかけたときには
私も釣られて(反射的に)「ハロー!」と言っていたので、
多分、そういう癖がついていたのだと思います。

癖であろうとなかろうと、
見知らぬ人に対して、何の躊躇も感じずに
ニッコリ笑って声をかけることができた自分に
とても驚いたのです。


Jさんは、そのままSさんのほうへ歩きながら、
私に向かって、こう言いました。

「ほら、さっき話したアパートに住んでいる
ギリシャ人の女性よ。とても良い人なの!」

Sさんの前に来ると、
Jさんは私を紹介してくれました。

「こんにちは、Sさん。
こちらは、イチイさんよ」

私 「こんにちは!初めまして!」

Jさん「実はね、ちょうどイチイさんに
あなたの住んでいるアパートの話をしていたの。
もし良かったら・・・」

Sさん「いいわよ!どうぞ、どうぞ!
散らかってるけど、いらっしゃい!」

Jさん「え・・・?」

Jさんとしては、
今すぐ・・・というわけではなく、
さっき話していたとおり、
今週の土曜日に見せてもらう許可を
得ようとしていたらしく、
「え・・、今?? いいの??」と戸惑っていました。

Sさんはギリシャ人らしい明るい口調で、
「もちろん!2分だけ待ってくれるかしら?」と言いながら、
アパートの外玄関を開けてくれました。

Jさんと外玄関の内側に入り、
「ここに電気のメーターがあって・・・」などと
Jさんから共有エリアの説明を受けているうちに、
上のほうから「どうぞ!」と
Sさんの元気な声が聞こえてきました。

日本でいうところの3階にあるアパートで、
ここも最上階(屋根の下)で
屋根が傾斜している部屋でした。

屋根の下は暑いからイヤなんだよな・・・と思って、
Sさんに「最上階だと、暑くないですか?」
と聞いてみました。

すると、Sさんが元気よく歩きながら、
「ここと・・・」とリビングの窓を指さし、
さらに奥のベッドルームまで行って
その部屋にある窓を指さしながら、
「ここの窓を開けると、
風がアパート全体に通るから、涼しいわよ!」
と教えてくれました。

暑さについては心配なさそうだと分かると、
傾いた屋根も個性があって
可愛く見えてくるので、不思議なものです。

そういえば、ハイジが寝ていた山小屋の屋根も
こんな風に傾いてて、
ヨーロッパの屋根裏部屋に
憧れていた時期もあったなぁ・・

などと子供のころを思い出したりして、
これはこれで、
良い味を出しているような気がしました。

アパートの間取りは2LDKで、
大きな冷蔵庫と食器洗浄機、
そして洗濯機が備え付けてある、
オープンプランのキッチンです。

また、少し話が逸れますが・・・

先ほどのJさんの言葉を聞いて思い出したのですが、
実は、私はもともとベッドルームが
2つある物件を探していたのです。

でも、無意識のうちに妥協を重ねていて、
ベッドルームが1つでもいいか・・・と思うようになり、
先日、目の前で他の人に買われてしまったアパートも、
昨日見に行ったアパートも、ベッドルームが1つでした。

なぜベッドルームが2つ欲しかったのかと言いますと、
イギリスではハウスシェアが一般的なので、
一部屋を誰かに貸し出せば
家賃収入が見込めるからです。

この場所の家賃相場から考えると、
おそらく毎月のローン返済額のうち
60%くらいは家賃でまかなうことができます。

そういった目論見もあり、
人がすぐに借りたくなるような便利な場所、
つまり、街の中心にある物件に絞って
探していたのでした。

しかし、この町で売りに出る2LDKの物件は
「テナント付き」でしか買えない
(つまり、自分が住めない)
という条件がついていたのです。

過去半年間で売りに出た全ての2LDK物件が
「テナント付き」が条件だったので、
なぜだろう?と思って
ある不動産屋さんに聞いてみたら、
こんなことを言われました。

ここは小さな町なので、
大家さんとテナントは「友達の友達」みたいな感じで
大抵どこかで人間関係が繋がっているそうです。

そして、2LDKはサイズ的に、
小さな子供がいる家族が住んでいることが多いため、
そういうテナントを追い出して売りに出したりしたら、
大家さんの評判が悪くなるため、
結果として「テナントがそのまま住める」
という条件付きで、
売りに出されることになるそうです。

しかし、今回の物件は
Sさん家族が新しい家に引っ越すことになったので、
大家さんの評判が悪くなる心配はありません。


実は、Sさんのアパートがあるブロックには、
過去半年の間に「テナント付き」で
売っていた2LDKが2軒ほどありました。

そのどちらも既に売れてしまっていますが、
それらの物件について問い合わせをしたときに、
そのアパートのことをリサーチしていたので、
過去の売値や、現在の相場などは、
既に頭に入っていました。

そして、そのブロックは13年くらい前に新築で建てられ、
その後、売買の記録が殆ど残っていないことも知っていました。

今、改めて調べてみたら、
2011年以降に売買された件数は
25軒あるブロックのうち、
上記の2軒を含めて、9軒だけでした。

つまり、オーナーがなかなか手放さない物件、
ということです。

イギリスには
「プロパティラダー(不動産の梯子)」という言葉があって、
まずは安い物件を買って、
それが値上がりしたら、それを売って、
そのお金で、もう少し高い物件を買って・・・
と一段ずつ梯子を上るように
家をグレードアップしていくのが一般的なのです。

そのため、不動産の売買が盛んで、
値上がり率も高くなるのですが、
小さな町とはいえ、
売買の激しいイギリスにおいて
あまり売りに出ない物件であるということは
それだけ良い物件なのだと思います。

しかも、このアパートには、
駐車場がついているのです。

アパート1軒につき、
駐車場1台分が、割り当てられています。

アパートは街の中心にあるので、
路上駐車禁止のエリアです。

近くには市営の有料駐車場がありますが、
それよりも安い料金を設定すれば、
駐車場だけを月極で貸し出すこともできるはずです。

さらに言えば、ここ半年間で市場に出た
この町の物件の広告全てに目を通していますが、
街の中心にある物件のうち、
駐車場付きで売りにでていた物件は、
このブロック内の「テナント付き」の2軒以外は、
1軒もありませんでした。

半年間、毎日物件をサーチしていたので、
この町でベッドルームが2部屋ある物件を
買えるチャンスが滅多にないことは
誰よりもよく分かっています。

しかも、駐車場付きとなると、
さらに、珍しいのです。

公共交通機関が通っているとはいえ、
やはり田舎なので、
車の所有率はかなり高く、
市営駐車場も、いつも満車になっています。

しかも、このアパートは、まだ売りに出ていません。
(と言いますか、オーナーに売る気があるのかすら
分からない状態ですが・・・)

これは・・・・

もしや、一世一代のチャンス!?

そう思った私は、Jさんに尋ねました。

「もしオーナーが売ることにしたら、
XXXポンドくらい(前述の2LDKについていた値段)
で売りに出るのでしょうか?」

Jさんは、私が値段を提示したことに対して
少し驚いた様子を見せながら、こう答えました。

「そうね、そのくらいの値段になるわね。

でも、実はここのオーナーも10年くらい前に、
そのくらいの値段で買ったはずなの。

今は Brexit もあって、
不動産価格が下がってきているから仕方ないとはいえ、
オーナーは、それ以下の金額だったら売らないと思うわ。

それに、もしあなたが買うと決めたとしても、
そんな事情だから、ロンドンみたいな勢いで、
不動産価格が上がることも見込めないと思ったほうが良いわ。

この町を気に入って、
ここに長く住むつもりで購入するなら、
ほんの少しずつくらいは値上がりするとは思うけれど、
プロパティラダーとして購入を検討しているなら、
そこまでの値上がりは期待できないわよ」


もとよりリタイア後に住む家を探していたので、
すぐに売るつもりはありません。

とはいえ、イギリスで不動産を買うときは、
値段交渉をするのが当たり前です。

交渉せずに買うのは、バカかもしれません。

でも、値引き交渉はできなかったとしても、
バスルームのパネルとフローリングが痛んでいたので、
「ここを修繕した後なら買う」ということに同意してもらえたら、
その修理代分を割り引いてもらった、
と考えることができるかもしれません。

しかも、もともと希望していた
2LDKが買えるチャンスなんて、
次は、いつ来るのか分かりません。

これは不動産屋さんに言われたわけではなく、
実際に半年間、
毎日欠かさず物件をチェックしていた経験から、
身をもって知ったことです。

ここはひとつ、勝負に出るしかない!!

そう思った私は、こう言っていました。


「分かりました。
オーナーがその値段で売ることに同意したら、
私が、このアパートを買います」


その後、Sさんのアパートを出たのが、
午後1時くらいだったと思います。

そのまま、ボーっとした頭でロンドンへ帰るバスを待ち、
バスの中でも、自分のとった大それた行動について
頭の整理がつかず、ボーっとしていました。

そして、バスの中でメールをチェックしたら、
14:48 くらいに Jさんからメールが届いていました。

「おめでとうございます!
オーナーは、アパートを売ることに同意しましたよ」

・・・・・!!!!!

このとき、バスの中だというのに、
涙が出てきました。

私は子供の頃に虐待を受けていて、
家に自分の居場所がありませんでした。

その後も、学校や会社などといった組織に属しても、
自分がここにいてもいいのか?と、
いつも思っていました。

長い間ずっと、「自分の居場所」、
「自分がいてもいい場所」が欲しかったのです。

ようやく、
念願の「自分の、自分だけの居場所」が手に入るんだ!

そう思ったら、涙が出てきたのです。


とはいえ、喜びに浸っている暇はありません。
不動産購入にあたっては、
いろいろな手続きをしなくてはならず、
弁護士探しを含め、やることは沢山あります。

既に色々と動いていますが、
その話はまた別に機会にさせてください。


そして、最初に書いた、
「これは詐欺なのか?」という点ですが・・・

100%の確信はもてませんが、
多分、詐欺ではないのだと思います。

その理由は、いくつかあります。

まず、伺ったSさんのお宅が、
異常に散らかっていたことです。

子供の下着や着替えが床に落ちてたりして、
まさに日常の一コマでした。

そんなところへ急にお邪魔して、
申し訳ないと思ったくらいです。

もし、JさんとSさんがグルになって、
このアパートを売りたいと思っていたなら、
もうすこしキレイな状態で見せたはずです。


そして、たまさんたちのコメントを読んで、
「まさか、詐欺?」と気になった私は、
不動産屋さんのことを調べてみたのです。

そしたら、こんな記事を発見しました ↓

ザ・テレグラフという大手新聞社のネット記事で、
ちょうど1週間くらい前に掲載されたものです。

この記事のタイトルは、
「イギリスで最も良い個人経営の不動産屋 トップ20」です。

なんと、その20軒のうちの1軒に、
この不動産屋さんがリストアップされていました。

確かにJさんのところは小さな不動産屋さんで、
Jさんと旦那さんの2人で経営している様子でした。

この記事のサブタイトルには、
こう書かれています。

「The top 20 small estate agents in Britain who go above and beyond to help their customers.」

顧客の期待を凌駕し、顧客が思いもよらないようなサポートをしてくれる、イギリスの個人経営不動産屋 トップ20

これを読んで、
「ああ、まさにそんな感じだった!」
と思わず呟いてしまいました。


そして、私が購入を決めたアパートの
過去の販売記録も見つけました。

Jさんが言っていたとおり、
2007年に 私が買うことになった金額と
同じ値段で購入されていました。

さすがにSさんの家は写真を撮れませんでしたが、
2007年に売りに出た時の写真を見つけました。

こちらは、LDKのキッチン部分です。
一番左側の棚の上半分が冷蔵庫、
下半分が冷凍庫です。

kitchen.jpg

こちらはベッドルームの1つです。
奥の壁が赤く塗られていますが、
私が見た時は白かったので、
きっと誰かが塗り替えたのだと思います。

bed1.jpg

手続きに時間がかかるので、
いつ自分のものになるか見当もつきませんが、
自分のものになった暁には、
真っ先に写真を撮って、
皆さんにお見せしますね!

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posted by イチイ at 23:18Comment(18)貸別荘購入と運営

イギリスでアパートを買うための試練

今は夜中の12時を過ぎています。

明日は、今日休んだ分を取り返すため、
早めに出勤しないといけないのですが、
気持ちが高ぶって、眠くなりません。

なんといいますか・・・ 

今日は私の人生の中で、
いちばん大きな波乱が起きた日のような気がします。

いえ、もしかすると一番の波乱は、
イギリスに来るきっかけになった、
Nさんとの再会の日かもしれませんが、
それに匹敵するくらいの日でした。

順を追って、お話しさせてください。


今朝、バスの中から投稿したとおり ↓
前日の午後3時くらいに、
突然、上司に「明日休んでもいいですか?」と聞き、
幸いなことに許可をもらえたので、
すぐにチケットを手配して、
翌朝(今日)6時に家を出ました。

「我ながら、馬鹿なことしてるなぁ・・・」
という大きな後悔と、
「いや、これでいいんだ!」と
自分を奮い立たせる気持ちとの間を行ったり来たりしつつ、
そわそわと落ち着かないまま、
バスは順調に目的地に到着しました。

バスを降りるともう12時を過ぎていて、
お腹が減っていましたが、
「早い者勝ちだから!」と気持ちが焦っていた私は
「悠長にランチを食べている間に
誰かにとられたら、どうしよう・・・」
などと思い詰めていたので、
そのまま不動産屋さんへ向かいました。

そして、不動産屋さんに到着し、
担当者の女性に挨拶をしたら、
なんと開口一番、
残念そうな顔でこう言われました。

「実は、昨日あなたの電話の後に男性が来て
そのまますぐに、あのアパートの内覧をしたんだけど、
今朝、そのアパートを買うと連絡が入ってしまったの」


そ、そんな…

また!!??

しかも、今回は有給までとって、
片道5時間近くかけてやってきたのに…

ああ、やっぱり馬鹿なことするんじゃなかった…

いや、そんなことはない。
またこの経験から何か学べばいいんだ…!

いやいや、でも、これは本当に痛手だわ…


そんなことばかりが頭の中をぐるぐる回っていて、
しばらく言葉を失って、
その場に立ち尽くしていました。

そんな私をよそに、
その女性は さらに続けました。

「もう1軒、売りに出ているアパートがあるんだけれど、
こちらには興味あるかしら?
共有ガーデンもあるし、似た感じの物件なのよ」

不動産屋さんのサイトに載っている
その、もう一つのアパートを
コンピューターの画面で見せてくれながら、
色々と説明してくれましたが、
正直なところ、あまり頭に入りませんでした。

今日見て、気に入ったら、
即決で「買います」と言うくらいの気持ちでいたので、
「肩透かし」などという簡単な言葉では表しきれないくらい、
がっくりと落胆していたのです。

私があまりに気落ちしているせいか、
その女性はこう言ってくれました。

「今朝、連絡のあったその人は
『これからローンの申請をする』と言っていたわ。
もし彼のローン申請がうまくいかなかったら、
2番目の候補として、
あなたに連絡しましょうか?

そうなったときのために、もしよかったら、
そのアパートを見ておきますか?」

私のほうは、
すでに銀行からローンの証明をもらっているので、
私なら確実に購入できます。

なんで確実に買えることが分かっている私ではなく、
買えるかどうかも分からない人を
たったの2-3時間程度早くに「買う」と言っただけで
なぜ、優先するの!!??

・・・と、自己中心的な文句を口にしそうになりましたが、
さすがに、ぐっと堪えました。

そして、その人がローンの審査に
落ちる可能性は低いだろうとは思ったのですが、
ローン申請が却下された時のために
そのアパートを見せてもらうことにしました。

不動産屋さんから歩いて3分位の所にあるアパートは、
思っていたよりも広々としていて、
地上階ではあるものの、
人通りが少ない通りに建っており、
その通りに面しているのはキッチンの窓だけなので、
人から覗かれることは、
それほど気にならないような気がしました。

そして、ベッドルームは
手入れの行き届いた共有の庭に面しており、
お庭が部屋よりも1.5mくらい低いところにあるので
誰からも覗かれる心配はなさそうです。

毎月の管理費も35ポンドと、
一般的なアパートの半額なのに、
共有エリアや共有ガーデンの手入れが行き届いていて、
住人たちが大切に住んでいるんだろうな、
と思わせてくれるような場所でした。

お値段も安かったし、
このアパートをかなり気に入ったので、
本当に残念でした。

私が、わざわざ内覧の日を変えて、
さらに会社を休んで、
ロンドンからはるばる来たのを知っている
不動産屋さんの女性(Jさん)は、
「きれいな庭ですね」と目を輝かせながら、
ベッドルームから見える庭を眺めている私を、
気の毒そうに見ていました。

なんとなく「私も往生際が悪いなぁ…」と思いつつ
Jさんに、こんなことを聞いてみました。

「このアパートを買うことにした人は、
このアパートの内覧を最初にした人なんですか?」

すると、思っていた通り、
Jさんは「そうなのよ」と答えました。

やはり先手必勝が良い物件を手に入れる鉄則で、
良い物件は少しでも早く動かないといけないのだ、
と改めて実感しました。

でも、そうなると、遠く離れていて、
会社帰りに内覧に行けない私は、
とても不利です。

会社を休んでまで
最短の時間で内覧に来たつもりですが、
やはり地元に住んでる人には勝てません。

Jさんが、とても親切そうな、
話しやすい人だったこともあり、
私は続けてこんな話をしました。

「実は、もう一軒、
1カ月くらい前に内覧した物件があって、
そちらの方がここよりも値段が高くて
しかも最上階(屋根裏)なのです。

夏は暑そうだから、
あまり気乗りがしないのですが、
そちらの方が私がオファーを出したら
受けてくれそうなので、
やっぱりそちらを買うことにします」

すると、Jさんはこう聞いてきました。

「あなたは、その物件を本当に気にいっているの?」

聞かれた直後、一瞬戸惑いましたが、
正直にこう答えました。

「このアパートのほうがずっとお値段が安いし、
毎月の管理費も、あちらの方が2倍以上します。
しかも屋根裏にある部屋なので
屋根からの熱を受けて気温が高くなりそうで、
少し心配です」

すると、彼女は言葉を選ぶようにしながら、
こんなことを言いました。

「もしかしたら・・・
今は見合わせたほうがいいんじゃないかしら?

だって、あなたが買う不動産は
あなたが本当に好きにならないと、
買う意味がないでしょう? 」

この言葉を聞いたとき、はっとしました。

ここ数カ月の間、
いろいろなところへ内覧に行き、
これだ!と思った物件は他の人に先を越されてしまい、
毎日不動産サイトをチェックするのにも
少し嫌気がさしていました。

そんな状態だったので、
「もう、ここでいいや…」という、
諦めにも似た、
妥協の気持ちが心を占めていたことに
気づいたのです。

彼女の言葉をかみしめるように、
自分の中で反芻しながら、こう思いました。

やっぱり、私の予算では
『100%理想の家』は無理だとしても
『ここに住みたい』、『ここが好きだ』
と思えるような家を買わないダメだ!

だって、そうしないと、
それこそ本末転倒じゃない??

私は、何のために家を買うことにしたのか?
ということを、すっかり忘れていたのです。

自分がゆっくり寛げる場所が欲しい、
老後に住める場所が欲しいと思っていたのに、
妥協で買った家に住んだら、
きっと居心地も良くないに違いありません。

ただでさえ予算が低いので、
私が買える値段で気に入った家なんて滅多にないのに、
ようやくそんな家を見つけて、
時間とお金をかけて内覧に行っても無駄足を踏んだり、
欲しいと思った家を、
目の前で他の人にもっていかれたり・・・

そんな経験をしているうちに
だんだんと疲れてきてしまって、
「もう何でもいいから家を買いたい」ということに
目的がすり替わっていたのです。

たくさんの内覧と無駄足を経験したことで、
いつの間にか元々の目的や希望が揺らいで、
「もう、どうせダメなんだろう」と諦めてしまい、
「この、先の見えないアパート探しを早く終わらせたい」
という気持ちが心の中を占めて、
「とりあえず、これでもいいか・・・」という
妥協に陥っていたことに気づいたのです。

自分の疲れや、
自分が費やした努力にばかり目がいって、
肝心なことを見る目が曇っていたようです。

考えてみれば、
ノッティングヒルで借りていた部屋も、
場所は良かったけれど
屋根のすぐ下の部屋で、
夏は息苦しいほど暑いし、
なんとなく落ち着けない部屋だったので、
気疲ればかりしていました。

その時に、住むところはとても大切だということを
身に染みて感じたはずなのに
すっかり頭から抜け落ちていました。

彼女の言葉を聞いて、
何かが吹っ切れたような気がした私は、
こう言いました。

「もし最初にオファーを出した方がダメだったら
是非連絡をください」

さらに、ダメ元で…と言う気持ちで、
こう続けました。

「こんなことをお願いできるか分かりませんが、
私の予算は、× × ×ポンドで、
街の中心から歩いて3分位以内のところで、
ベッドルームが最低1つ、
できれば2つあるアパートを探しています。

何か物件が出てきたら、
声をかけていただくことは出来ませんか?」

すると、Jさんが驚いたようにこう言いました。

「あなた、そんなに予算があるんだったら、
ここよりも、もっといいところが見つかるんじゃない?」

実は、今日内覧をしたアパートは、
私の最大予算の半額だったのです。

この数字の違いだけを見ても、
「もう、これでいいや」と思った私の
投げやりさ加減が見て取れるかと思います。

私は、Jさんにこう返しました。

「でも、私はここ半年ぐらい
このエリアで探していますが
良さそうな物件を見つけてコンタクトをとって
物件を見に行っても、
タッチの差で他の人が購入してしまったり、
遠くに住んでいるせいで、
すぐに動くことができなくて
なかなか物件を見つけられないのです。

この間も、この近くの物件にオファーを出そうとしたら、
『ちょうど昨日、売れてしまった』と言われて、
今回と全く同じことを経験しました。

だから、さっきのあなたの言葉を聞いて、
自分がかなり妥協して、
『どこでもいいから、早く決めたい』と思って、
アパートを探していることに気づきました。

私の希望と予算ははっきりしているので、
今度はちゃんと自分が気に入る物件を見つけたいと思います。

アドバイスいただいて、とても助かりました。
ありがとうございます。」

すると、彼女はこんなことを言いました。

「そうね、きっとこのアパートも、
その買おうと思っているアパートも、
あなたには合わない(It might not for you)のかもしれないわね。

あなたにはきっと、
もっと違うアパートが合うはずよ。

ところで、あなたが買おうと思っていると言っていた、
そのアパートだけど、
もしかして XXX にあるところ?

そうだとしたら、
うちがマネージメントしているアパートがあるけれど、
あそこの管理費は相場よりも高めで、
保険代がさらに上乗せされるから、
もし買ったとしても、
費用がかさんでいたと思うわ」

この言葉を聞いたとき、
Jさんに対する信頼のようなものが生まれました。

というのも、私がそのアパートを買うつもりだ、
と言った時には何も言わず、
最終的に私が「やめます」と言った後に、
ようやくあのアパートのネガティブな点を教えてくれたのです。

良くも悪くも中立でいてくれる人なんだ・・・
そう思ったのです。


そして、彼女は少し考え込んでから、
ゆっくりと、記憶の端から
言葉を一つ一つ手繰り寄せてでもいるかのようにしながら、
こう言いました。

「もしかしたら・・・
ベッドルームが2つあるアパートを
売りたいかもしれないオーナーがいるわ。

私たちがマネジメントしているアパートで、
オーナーは はっきりと『売る』とは言っていないけれど、
ちょうど入居者が出て行くことになったときに、
確か『この機にアパートを手放そうかどうか迷っている』
という話を聞いたような覚えがあるから。

すぐそこの物件なんだけど、
もしよかったらオーナーに売る気があるかどうか、
聞いてみましょうか?」

この言葉を聞いたとき、
思わず Jさんのことを凝視してしまいました。

ご存知の通り、前に不動産屋さんにひどい目に遭っているので ↓
イギリスの不動産屋なんて、
いい加減で、自分の利益しか考えない、
酷い人ばかりなのかと思っていたので、
Jさんが親身になって考えてくれていることに
驚いてしまったのです。

「えっと・・・
もし、そうして下さるなら、とても助かります。
お願いしても良いですか?」

「ええ、もちろん!
すぐそこのアパートでね、
今はギリシャ人のご夫婦が住んでるの。

もしオーナーが『売る』と言ったなら、
また内覧に来れるかしら?」

「はい、週末であればいつでも来れます」

「分かったわ。
もしかしたら、今すぐ連絡を取れば
明日にでも大丈夫かもしれないけど、
でも、今日のうちにロンドンに帰るのよね?」

「はい。
すみませんが、土曜日に内覧できると助かります」

「分かったわ。
オフィスに帰ったら、連絡をとってみるわね」

そう言って、Jさんはにっこり笑いました。

そして、私はそのアパートを名残惜しく思いながら、
外玄関を閉めて、外に出ました。

すると、そこで思わぬ展開が待っていたのです。


すみません、あまり引きずるつもりはないのですが、
細かく書いていたら、長くなってしまいました。

そろそろ1時になるので、
今日は休ませてもらいます。

続きは、また明日書かせてください。


とりあえず写真がないので、
(あまりに気落ちしていて、写真を撮り損ねました・・・)
家に飾ってあるトラディスカンチアの写真を貼っておきます。

IMG_6859 (56).JPG

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posted by イチイ at 00:58Comment(12)貸別荘購入と運営