実は、毎日着ているダウン素材のコートの、
チャックの部分が壊れかけていまして、
いつチャックが閉まらなくなるか分からない状態なのです。
本格的に寒くなる前に新しいコートを買わなくちゃ、
と思いつつも週末はガーデニングで忙しいことを言い訳にして、
街中に買い物に行く気にならず、
ずっと騙し騙しに着ていましたが、
いよいよコートを買わないとダメそうです。
今日は昼休みにランチを買いに出かけたのですが、
普段はお弁当を買いに出たりしないため、
どこに行っていいか分からず、
これといった目的もなく、
フラフラと人の流れに沿って歩いていました。
足を運んだことのない路地裏に入ったと思ったら、
小路を少し辿っただけで知っている大通りに出たりして
まるで迷路のように入り組んでいました。
そんな小路を歩いていたとき、
左に折れる、さらに細い小路が目に入りました。
その小路の突き当りに扉があったので、
何も考えずにその扉のほうへ歩いて行ったら、
「1時15分から無料コンサート」
と書かれた看板が出ていました。
携帯を見たら、ちょうど1時15分だったので、
思い切って中に入ってみたら、
そこは小さな教会でした。

回廊の中央にグランドピアノが1台、
そして真っ赤なドレスを着た女性が立っていました。
入口に立っていた牧師さんが
「どうぞ」と手招きしてくれたので、
そそくさと教会内に入り、
端っこの席に座って聞いていました。
演目も知りませんし、
聞き覚えのない曲ばかりでしたが、
歌い終わるたびに、
女性が満面の笑顔を浮かべて、
嬉しそうにお辞儀をする姿が
とてもチャーミングでした。

朗々と響くソプラノの歌声が、
教会内に響きわたり、
まるで頭上から歌声が降ってくるようでした。
「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と、
たくさんの仕事で頭がいっぱいで、
しかも職場の人間関係の煩わしさが、
頭と心にこびりついていましたが、
天から降ってくる歌声が
まるで見えないシャワーのように
すべて洗い流してくれたような、
すっきりと清々しい気分になりました。
昼休みの時間が限られているので、
失礼だとは思いましたが、
曲と曲の切れ目で席を立ちましたが、
できれば最後まで聞いてみたかったです。
無料と書いてありましたが、
お布施箱があったので少しだけ募金しました。
でも、お金を入れるときの「チャリン!」という音が
女性の歌声の邪魔になるかもしれないと心配になったので、
募金箱の上にコインを置いてきました。
ほんの20分くらいのことでしたが、
現実離れしたひと時をもつことができて、
なんという素敵な偶然だったのだろう、
と嬉しくなりました。
またコンサートがあったら行きたいと思ったのですが、
その教会では定期的にコンサートを
開催しているわけではないようで、
ネットで探したホームページに掲載されている
来年2月までのイベント一覧には
コンサートの予定は1つも載っていませんでした。
私は、とてもラッキーだったようです。