言いずらいことをはっきり言う勇気

前の職場の同僚に濡れ衣を着せられそうになり、
その後も、彼女は嘘を繰り返していて、
そちらでもストレスを感じているのですが・・・

今日は今日で、違う人のことで
またストレスを感じてしまいました。

実は今日、Nさんともう一人の女性と一緒に
バレエのトークショーに行ってきたのです。

バレエのトークショーはとても興味深くて
本当に清々しい気持ちになれたのですが、
その後、3人でご飯を食べに行ったら、
これは修羅場か・・・と思うような事態になりました。

「もう一人の女性」とは、こちらの女性です ↓
http://yewtree.seesaa.net/article/450019727.html

何といいますか・・・・

この時に自分が書いたことを読み返すと、
この人と一緒に出掛けたら、
こうなるのは目に見えていたじゃないの!
と、自分に対して愚痴りたくなりました。

こういう人だと分かっていても、
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉の通り、
うっかり忘れてしまって、
また痛い目を見るという、
まったく学ばない自分が悲しいです。


話は戻りますが、
トークショーの後で3人で晩御飯を食べていたとき、
「クリスマスにどうするか?」という話題になったのです。

Nさんは、またニースに行くと言っていました。

もう一人の女性は、日本に帰るそうです。

私は特に予定を決めていません。
でも、12月の第1週目の週末に
パリに行く予定だと話しました。

すると、もう一人の女性(仮に、Bさんとしておきます)が、
こう言いました。

「いいなぁ、パリ! 私、パリが大好きなんだよね。
クリスマス前のパリって素敵だよね。
私、クリスマス前のイギリスって大っ嫌い!」

私が「なんで?」と聞くと、
眉間にシワを寄せて、
本当に嫌そうな顔をしながら、

「だって、みんな忙しくて、キリキリしてて、
もう、本当にイヤっ!!

だって、そうじゃん!?

絶対に、みんな嫌がってるもん!!
本当にイヤ!!
大っ嫌い!!!!」

ものすごい形相をしながら、力説するのです。

私は、去年のクリスマス前にお邪魔した
Cさんの家を思い出しながら、こう言いました。

Cさんの家に行ったときのことは、
こちらに書いています ↓
http://yewtree.seesaa.net/article/445226076.html

私「絶対というのは大袈裟なんじゃない?

私は忙しいと言いつつも、
100個以上のプレゼントを用意している
幸せそうなイギリス人を知ってるよ」

「そんなことない!!
絶対に!!! ぜーったいに、そんなことない!!
もう、皆して忙しそうにしながら嫌がってるよ!
だいたい100個のプレゼントなんて、あり得ないし!
そんなの嫌に決まってるよ!」

私「うーん、確かに数えたわけではないけど、
そのくらいあった気がするけどな。

それに、忙しそうにはしてたけど、
それはそれで楽しんでいるように見えたよ?」

「そんなことないよ!
絶対に、皆イヤがってるよっ!!
私、そういう雰囲気って大っ嫌いっ!!」

私「それは、たまたまBさんが幸せそうに
クリスマスを楽しみにしている人と
会ったことがないだけなんじゃない?」

「そんなことない!
あなたはイギリスが短いから知らないだろうけど、
私は20年近くいるんだから!

何も知らないくせに、何言ってるのよ?
絶対に、皆嫌がってるよ!!」

Bさんにここまで言われると、
私も何と答えて良いのか分からなくなりました。

しばらく黙っている私を気の毒に思ったのか、
それまで黙っていたNさんが、こう言いました。

「これに限らず、
何事にも『絶対』ってことはないんじゃない?」

すると、Bさんが少しうろたえたような様子で
Nさんのほうに顔を向けました。

Nさんは、構わずに話をつづけました。

「もしかすると、ロンドンではみんなキリキリして、
クリスマスを嫌がっているように見えるのかもしれないけど、
他の街に住んでいる人は、
そんなことないかもしれないよ?

実際、私がブリストルに住んでいたときは
大家さん家族も楽しそうに準備してたよ」

すると、Bさんもさすがに
「ロンドン以外ではそうかもしれないけど・・・」
と少し妥協したように思えました。

でも、そこからの反論(?)が酷かったのです。

「私、とにかくカトリックのクリスマスって
ゴテゴテしてて嫌いなのよ!

その点、ほら、何だっけ?
カトリックの反対の・・・・あれよ、何だっけ?

まぁ、そんなだから、
フランスとか大陸は落ち着いてていいよね」


正直なところ、
単に絡んでるだけのように思えたので
まともに返事をしたくなかったのですが、
あまりに耐えかねて、私が口をはさみました。

「カトリックの反対っていうものは、
基本的に存在しないと思うけど、
もしかしてプロテスタントのことを言いたいの?」

「そうそう!!プロテスタント!!
プロテスタントの国は落ち着いてて、いいよね」


そこで、Nさんが無表情のまま、こう言いました。


「フランスは、基本的にカトリックの国だけど?」


すると、慌てたBさんは、こう取り繕いました。


「そんなの、知ってるよ!
だけど、大陸のほうが落ち着いている気がしない?

その点、イギリスはセコセコしててイヤだよね!
やっぱり、プロテスタントの国は・・・」


Bさんがそこまで言ったところで、
Nさんがピシャリとこう言いました。


Nさん 「イギリスは、プロテスタントじゃないよ?」

Bさん 「え、じゃ、なに? カトリックじゃないんでしょ?」

Nさん 「イギリス国教会」

Bさん 「でも、ほら、カトリックに反対して、
イギリス国教会になったんでしょ?

だから、落ち着いているカトリックのフランスと比べて
イギリスはダメだよ!」


・・・ここまで聞いたとき、
正直なところ、
Bさんは頭がおかしいのかと思いました。


というのも、最初は「イギリスのクリスマスは嫌い」
という言葉から始まって、
「カトリックの国はゴテゴテしているから、
(カトリックの国であるイギリスは)嫌い」
と言っていました。

つまり、この時点ではイギリスはカトリックの国、
フランスがプロテスタントの国だと思っていたことになります。

でも、Bさんはフランスがカトリックの国だと知って
「カトリックの国のクリスマスは落ち着いているから好き」
と、自分が言っていた言葉を翻しました。

そして、(彼女のなかで)最初はカトリックの国だったはずのイギリスが
いつの間にかプロテスタントの国だという認識に変わっていて
「イギリスはプロテスタントだから、嫌い」と言いかけました。

でも、Nさんに「プロテスタントじゃない」と言われて、
今度は「カトリック反対派なら一緒だろう」と言わんばかりの態度で
Nさんに食ってかかったのです。

この時点で、私はBさんに呆れ果てて、
この人と会話をするのが苦痛にすら思えてきました。

なぜなら、話していることに一貫性がありませんし、
プロテスタントという言葉が出てこないところや、
プロテスタントのことを「カトリックの反対」という
短絡的な表現をすることから、
あまりに知識がなさすぎる・・・と呆れてしまったのです。


そして、Nさんが少し厳しい口調でBさんに聞きました。

「そもそも、Bさんは
なんでイギリスがイギリス国教会になったのか、
その理由を知ってるの?

そして、イギリス国教会になる前には
どんな宗教だったか、知ってる?」

Bさんは、Nさんの強い語調に少し動揺しながら、
こう答えました。

「それは、カトリックの派手なやり方が嫌いで・・・」

ここまで聞いたとき、私はさらに驚きました。

詳しい歴史的背景は知らずとも、
ヘンリー8世が離婚をしたくて、
(カトリックでは離婚ができないから)
カトリックから袂を分かつことになったことくらいは、
イギリスに住んでいる人にとっては
常識的な知識だからです。


そこで、Nさんは大きなため息をついてから
冷静にこう答えました。


「それは違います。

一般的には、ヘンリー8世が奥さんの
キャサリン・オブ・アラゴンと離縁して、
愛人のアン・ブーリンと結婚するためだと言われています。

でも、実際のところは、
その時代のイギリスは領土の3分の1がカトリック教徒の地域で、
その地域で獲れる作物の年貢は、
すべてローマ法王庁に届けられていたのです。

ヘンリー8世にしてみれば、
自分の国で獲れたものなのに、
自分の頭を通り越して、
よその国に行ってしまうのが面白くなったのです。

だから、これを機にカトリック教でなくなれば
愛人と結婚もできるし、
これまで懐に入ってこなかった
莫大な年貢も入ることになるから
一石二鳥ということで、イギリス国教を打ち立てたのです」


よどみなく説明するNさんを前に、
さすがのBさんも黙って聞いていました。

そして、Nさんはハッキリとこう言ったのです。

「イギリスのことを大して知りもしないくせに、
断定した物言いをしないでください。

しかも、ロンドン以外に住んだことがないくせに
イギリス全土がロンドンと同じだと思うのは
大きな間違いです」


Nさん、カッコいい・・・と心の中で思いつつ、
苦虫を嚙み潰したようなBさんが気の毒でもあり、
どうしたら良いものか、困ってしまいました。


でも、そこでBさんが脱力したように、
こう漏らしたのです。

「私、頭が固いかな?」

すると、Nさんはこう答えました。

「頭が固いというよりも、
自分が常に正しいと思っているような口調に聞こえます。
そんなんだと、人から敬遠されますよ」

うわ~、容赦ない・・・と思いつつ、
様子を見守っていたら、
Bさんがポツリとこう言いました。

「そうだよね、
だから私はいつまでたっても一人なんだよね、きっと」

「まぁ、確かに、そこまで他人の意見に耳を貸さないと、
話すほうも面倒になって
『もう関わるのはやめよう』と思っても
おかしくはないと思います」

あ、それって私だわ・・・と
少し恥ずかしくなりながら、
二人の会話を聞いていました。

「そっか・・・・ありがとう。
言いにくいことを言ってくれて。
そんなこと言ってくれる人、滅多にいないもんね・・・」


横でハラハラしながら見ていた私でしたが、
最後にはBさんも分かってくれたみたいで
ほっとしました。


これでBさんが変わるかどうかは別として、
はっきりと言うべきことを言ったNさん、
自分の耳に痛い言葉でも受け入れたBさん、
どちらも大人だなぁ・・・と思いました。

もし、この場がBさんと私だけだったら、
「これは何を言ってもムダだ」と思って、
きっと「はい、そうですね」と適当に合わせたか、
他の話題を振って、話をごまかしたと思います。


帰り道、Nさんと2人で歩いていたときに、
こう言われました。

「彼女、根は悪い人ではないんだけど、
割と視野が狭いというか、
自分が一番だと思っているところがあるから、
イチイさんに対して『長く住んでないくせに!』とか
酷いことを言っちゃうんだよね。

でも、あのままだと彼女は絶対に折れないし、
一方的にイチイさんをねじ伏せるだろうと思ったから、
つい年甲斐もなく、
彼女がイチイさんに言ったことと同じことを
言い返してやろう!と思ってしまったよ。

だから『イギリスのことを知りもしないくせに!』って、
言ってやったのよ。

そんなことを一方的に言われたら、
言われたほうがどんな気持ちになるか、
ちょっと考えて欲しかったんだよね。

まぁ、彼女なら誠意をもって言えば
きっと分かってくれるだろうと思ってたけどさ、
心配させて、ごめんね」


結局、私の返答がうまくできなかったことが原因で
Bさんを怒らせて(?)しまい、
さらにはNさんにも、
別に言わなくてもいいことを言わせてしまったわけです。

良くも悪くも本音を相手に言えるのは、
とても勇気がある行為だと思います。

でも、そもそもの問題として、
私が上手に会話を受け答えしていたら
こんなことにはならなかったわけで・・・

会話術も学ばないと、
被害が自分以外にも及ぶのだなぁ、
と反省しきりの夜でした。


今日はカレー屋さんに行ったのですが、
カレーが届く前に議論(?)が始まったので、
最初に持ってきてくれたナンの写真しか撮っていません。

IMG_2590_800x600.jpg

カレーは美味しかったような気がしますが、
ハラハラしながら様子をうかがっていたので
あまり食べた気持ちにはなりませんでした。

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posted by イチイ at 23:27Comment(8)日記