私は子供が嫌いです

先日から近所にある小さな公園で
ボランティアで庭仕事をしていますが、
最初にお手伝いをしたときのことを書かせてください。
お話としては、こちらの続きになります ↓
http://yewtree.seesaa.net/article/451206837.html


実は私、子供が嫌いなのです。
その理由は、どう接していいのか分からないからです。

私のほうをじっと見ている子供を見かけると
何をして欲しいのか分からず、
つい目を逸らして、見なかったことにしてしまいます。

そんな私なので、
子供のほうから近づいてくることもありません。

というわけで、お庭のお手伝い初日に25人の少女たちが
キャーキャー言いながら走り回っている様子を見て、
「ああ、やっぱり子供はよく分からないわ・・・」
と、ため息交じりに呟きながら、
彼女たちを見て見ぬ振りをしつつ、
庭仕事をしていました。

すると、何組かの女の子たちが
ちらちらと私のほうを見ているのに気づきました。

「もしかしたら、アジア人が珍しいのかな?」と思って、
軽く会釈しながらニッコリ笑いかけましたが、
その後は、また黙々と作業を続けていました。

でも、しばらくすると3人組の女の子たちが
先生の影に隠れるようにしながら、
私に近づいてきたのです。

優しそうな女性の先生が、
私にこう声をかけてきました。

「あのね、この子達がお手伝いしたいらしいの。
何かできることはないかしら?」

「えーっと・・・ Tさんがリーダーなので、
Tさんに聞いてみてもらえますか?

Tさーん! この子達が手伝いたいんだそうです!」

少し離れたところで枝を切っていたTさんに声をかけると、
Tさんは、のそのそと気だるそうに歩きながら近づいてきました。

Tさんは少し困ったような顔をしながら
「うーん・・・」と考え込んでいました。

それはそうですよね。

だって、子供相手にハサミを使わせるわけにもいかないし、
下手に労働をさせると、
親から文句がくるかもしれませんし・・・

かといって、
せっかくの気持ちを踏みにじるわけにもいかず、
どうしたものかと考えあぐねている様子でした。

そして、ようやく出た結論が「種まき」でした。

「どこでもいいから、空いている場所に種を撒いて」

と、かなり大雑把な指示を女の子たちに伝え、
そのままTさんは自分の仕事に戻りました。

話は少し飛びますが、
その後、子供たちが帰った後で
Tさんは彼女たちが種を撒いたところの土を掘り返して
ラベンダーの苗を植えていました。

子供たちが種をまいたことなんて、
すっかり忘れているようです・・・

きっと、Tさんは彼女たちのために
苦肉の策を搾り出したといいますか、
やらなくてもいい仕事を無理やり作り出したのでしょう。

だから、どこに種をまいたのか?
なんていうことに興味はないのだと思いました。

なんだか、物事をはっきり言うTさんらしいというか、
子供たちの行為などお構いなしの姿に、
思わず笑ってしまいました。


さて、話は戻りますが、
女の子たちは、Tさんに言われたとおり
黒い土の上に、パラパラと種を撒いていました。

私が「ちょっとだけ土を被せてあげたら?」と言うと、
ドサッと大量の土をかけて、
まるで砂場で山を作るときのように、
パタパタと手で押さえ始めました。

「それはちょっと土が多いかなぁ。
あと、そうやって上からパンパン叩いてしまうと
力のない植物は芽が出ないかもしれないから
土を優しくパラパラ振り掛ける感じでいいと思うよ」

すると、少女たちは「これでいい?」と確認するかのように
私の顔色を窺いながら、土をパラパラかけました。

「よくできたね。それで完璧だと思うよ」

私がそう言うと、彼女たちはニッコリ笑って、
その直後に恥ずかしそうにしながら
何も言わずに、どこかへ駆け出して行きました。

黙って逃げて行ったくせに、
ちらちらと後ろを振り返っている彼女たちを見ながら
「やっぱり子供は、よく分からないわ」と思わず呟いていました。

でも、そのときに こう思ったのです。

子供がギャーギャー騒いだり、
私のことをチラチラ見ているのは、
もしかしたら大人の興味を引きたいだけなのかな?

もしそうだとしたら、
彼女たちが「私の気をひくことに成功した」
と思わせてあげれば良い、ということになります。

ということは、子供相手だからといって、
何も特別なことをする必要はなく、
「こんにちは」「よくできたね」「楽しんでる?」などと言って、
『私はあなたに気がついて、意識を向けていますよ』
ということを態度で示してあげれば良いわけです。

そのことに気づいてからは、
チラチラ見ている子達に「楽しんでる?」
「あなたはどんな花が好き?」
「どこに種を植えたの?」
などと、適当に話しかけてみました。

すると、恥ずかしそうにモジモジしながら答える子もいれば、
答えずに恥ずかしがって逃げてしまう子がいたり・・・

子供によって反応が違っていて、
それはそれで面白いな、と思いました。


もともと枯れたバラが可哀想で
お庭の手伝いを始めましたが、
こうして、自分の日常生活や
家と会社の往復だけでは知りえないことを
学ぶことができたような気がします。


ところで、この女の子たちは
お庭に何をしにきたのかと言いますと、
Self-Awareness(気づき)のためらしいです。

女の子たちが(もしくは先生が)計画したのか、
お庭の管理人Jさんが持ち掛けたのかは知りませんが、
課外活動みたいなものとして公園に来たようです。

というのも、Jさんがお庭のことを話した後、
壁に吊るされている短冊を指差して
こんなことを言ったのです。

「君たちが毎日の生活で感じたこと、
優しい気持ちになったこと、
してもらって嬉しかったこと、
この世界が少しでも良くなるためには
そういう気持ちを常に持っていることが、
とても大切なんだよ。

別に大きなことをしなくても、
世界は少しずつ良くしていけるんだ。

だから、その気持ちを忘れないために
君たちが実際にした経験や思いをこの紙に書いて、
みんなの前で読み上げてから、
一緒に壁に吊るそう」

そして、女の子たちが自分の書いた内容を
みんなの前で順番に発表しました。

一人が発表するたびに、皆が拍手をしていました。
そして、Jさんはにっこりと笑いながら、
「それは素晴らしいね」などとコメントしていました。

私も、庭仕事の手を休めて、
離れたところに座って、
ぼんやりとその様子を眺めていました。

正直なところ、「え、それを言うの?」みたいな
見当違いなことを発表していた子もいましたが、
そんな子達にも、Jさんはニッコリ笑いながら
肯定的で温かい言葉を掛けていました。

そして、そういう言葉を聞いた子供たちは
はにかんだような笑顔を浮かべて、
恥ずかしさを誤魔化すように、
短冊を吊るす壁に向かって走っていきました。


もしかすると、子供の育て方といいますか、
子供が健やかに大きくなるためには
こうして、広い心で見て、
どんな反応が返ってこようとも、
相手を肯定的にとらえることが大切なのかもしれませんね。

四角四面と言いますか、
常に正しくなくてはいけないと思いがちな私は、
子供の頃から「こんなこと、言ったらだめだ」などと思って
常に「正解」を返答しなくててはいけない、
と強く感じていました。

でも、一般的に考えて「それはどうかな?」と思うようなことを
言っていたとしても、
その子の個性・考え方だと理解して
それを肯定することは、とても大切だと思いました。

肯定するといっても、
その子の言うことに対して
「そうだね!」と同意する必要もなく、
「私はこう思うけど、それも素晴らしいね」みたいに、
自分と相手をきちんと分けて考えて、
お互いがお互いを尊重するような、
そういう関係でいるJさんと子供たちを見て、
子供と大人の間にも築けるんだな、と思いました。

こちらは、女の子が書いた短冊のひとつです。

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「私の気持ちが動転したときには、
必ず友達がハグをしてくれます」


他人に対して『必ず・・・してくれる』
と思えるなんて、めでたい話だわ。
世の中には、口では大層なことを言っておきながら、
何もしてくれない人が大勢いるんだから・・・

と冷たいことを考えてしまう自分がいることは、
否定できません。

でも、その一方で、この子が この気持ちを抱いたまま
大人になってくれたらいいな、
という気持ちも強く感じます。

そして、その時に思ったのです。

だから、Jさんは「その気持ちを忘れないように書いておこう」
と言ったのかもしれないな、と・・・

世界平和なんて偽善っぽいし、
私みたいな一庶民にはどうにもできないことですが、
こういう子供たちが、
今よりも少しだけ幸せになることは
大人たちが教えること次第では、
実現可能なのかもしれませんね。

正直なことを言うと、
まだ「子供を好きになった」とは言えませんが
でも、それほど嫌いじゃなくなったような気がします。

「嫌い」と思っていたのは、
扱い方を知らなくて、どうしたら良いのか困るから
その「困る」気持ちがイヤだったのだと思います。

子供自身に問題はなく、
結局は、自分の気持ちを持て余して、
子供と一緒の場にいることが落ち着かないだけで、
なんとなく居心地が悪いのがイヤだったのだと思いました。

もし、また同じようなイベントがあったら、
今度は自然に話しかけることができるような気がします。
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posted by イチイ at 05:43Comment(8)誰かのためにできること