マラケシュの、もうひとつの顔

マラケシュのスークを歩いていましたが、
金曜日ということもあって
旧市街の中心にあるフナ広場を離れていくにつれて
閉まっているお店が目に付くようになりました。

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後で知ったのですが、
イスラム教の国は金曜日が休日なのでそうです。

でも、そんな休日でも
働いている人たちが大勢いました。


たとえば、ここの工事現場の人たち。

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あんな細い鉄棒で組んだ足場の上に乗って、
命綱もつけずに、壁の修理をしていました。

これって、ある意味命がけの仕事だよね?
と思いながら見ていましたが、
こうして命を張って仕事をして、
いったいいくら貰えるのでしょうか。

後で調べてみたら、
カサブランカの平均月給が
400~500ドル(約5~6万円)くらいなので
こうした地方の肉体労働ですと
それよりもずっと低い給料ではないかと思います。


この辺りまで来ると観光客向けのお店はなくて、
客引きも、しつこい自称ガイドもいなくて、
ゆっくりと周りを見回しながら歩くことができました。


こちらは、かなり年配の方なのに・・・

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こんなにふうに、
大きくて重そうな荷物を担いで、
工事現場に運んでいました。

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日本だったら定年するような年齢で
ひたすら、毎日ロバに乗せた重たい荷車を操り、
工事現場で、腰がかがむくらい重い荷物を担いで
淡々と働いて、毎日の糧となるお金を稼ぐ人たち。


ここには、前の日に見た人たち、
観光客から奪い取ろうとする姿勢しか見えない人たちとは
まったく違う生き方をしている人たちが沢山いました。

写真は撮れませんでしたが、
暗くて狭い小部屋で、
皮製品をひたすら加工している職人さんや、

冷たい床に座って、
ひたすらカゴを編んでいる職人さんや、

普通の道端にゴザを広げて、
自分の畑で取れたと思しき野菜を売る人たちや・・・

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おそらく、この街に生きている人々は、
人を騙すことなく、
地道に生きている人たちが大半なのだと思います。


たとえば、私が かごバックを値切らずに買ったとして、
その利益分、いわゆる「ぼった」分が
こういった真面目な職人さんに行くなら良いのですが、
その差額は、すべて観光客相手のお店の人のものになるわけで
こうした末端の職人さんたちには届きません。

そう思うと、こうして寒いなかで
コツコツと地道に働くよりも
観光客の一人や二人を騙して、
こういう職人さんが1日でようやく稼げる金額を
あっという間に稼いだほうがいい、
と思うようになったとしても、理解できます。


だから観光客を騙してもいい、とは言いません。

でも、騙すほうも騙すなりの理由というか
そこに至るまでの背景があるんだろうなぁ・・・
と思ったのです。

仮に私がこうした低賃金の過酷な労働をしていて
お隣に住んでいる人が、
観光客相手に通常の何倍もの値段でものを売って
1日で私の1週間分のお金を手にしていたとしたら
私はきっと、真面目に働くのが嫌になってしまうと思います。


こんな風に考えていたら、
何が良いのか、悪いのか、
よく分からなくなってきました。

観光客相手に高額を吹っかけるとはいえ、
それは観光客(先進国の人たち)にとっては
生活を左右するほどの大金というわけではありません。

でも、その金額を複数の人から得たとしたら
きっとこの国では生活を左右するくらいの
大きな金額になるのだと思います。

そう思うと、
その人は自分と家族の生活を良いものとするために
もっとも効率の良い方法を選んでいるだけで
しかもそれで恩恵を蒙る家族がいることを考えると、
それは、その人にとっては「良いこと」になります。


自分が日本からイギリスに来て、
生活の仕方や考え方が変わった と思うだけに、
人は環境によって変わるのだと実感しています。

それと同じように、人だけでなく、
価値観と言いますか、
何が良くて、何が悪いかということも
環境によって違うのかな?と思いました。

その環境で生きてきた人なりの「正義」と言うか、
「良いこと」というものがあって、
それはきっと、私みたいな第三者には
理解し尽せないのかもしれません。

そう考えてみると、
自分が嫌な経験をしたのは事実ですが
彼らにしてみれば「悪いことをした」とは思っていないし、
彼らの環境における判断では
「それが悪いこと」という発想すらなく、

楽に、大金を稼げる、賢い人。

そんな評価となっているのかもしれません。


自分の知らない価値観や基準で生きているので
理解するのは難しいですが、
今回の経験は、よい勉強になりました。
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posted by イチイ at 13:26Comment(10)モロッコとモロッコ人