Regents Park のバラ園

ロンドン市内には多くの公園がありますが、
そのうちのひとつ、Regents Park(リージェンツ・パーク)には
とても広いバラ園があります。

イングリッシュローズの開花時期はとても短いので、
10日くらい前に「そろそろ見頃かな?」と思って
会社帰りに行ってきました。

会社からバスに乗って公園に向かう途中、
Bさんから電話がかかってきました。

Bさんは、こちらで書いた人です ↓
http://yewtree.seesaa.net/article/450019727.html


前にBさんの愚痴を聞いた後、
ときどき電話やメッセージで
「飲みに行かない?」
「ごはん食べにいかない?」
と何度か誘われていたのですが、
いつも適当な理由を付けて断っていたのです。


Bさんからの電話に出ると、こう聞かれました。

「イチイさん、今、どこ?」

「リージェンツパークに向かうバスの中で、
ちょうどBさんのオフィスの手前くらいだよ」

「あ、そうなの? ふーん・・・
ちょっと話を聞いてもらいたくて、
パブにでも誘おうと思って電話したんだけど・・・
(リージェンツパークへ行く)予定変更は、なし?」

「うん。申し訳ないけど、
バラの季節は短いから、今日を逃したら、
今年のバラは見れないかもしれないから」

「えー、最近いつもフラれてばかりだなぁ」

「ごめんね」

「そっかー。うーん、じゃ、私も一緒に行こうかな?
今、ちょうどバス停の近くにいるから、
イチイさんが乗ってるバスに、私も乗るよ」

「え??」


・・・ということで、
次のバス停でBさんが乗り込んできました。

やっぱり職場関係の愚痴を聞いてほしかったみたいで
バスの中で、いろいろと話し始めました。

前のときに、「それは大変だね」と同調すると
言いたいことが膨らんでくるタイプのように感じたので
「へー」「ほー」「そうかー」といった感じで
のらりくらりと返答していましたが、
愚痴(と悪口)はエンドレスに続いていました。


そうこうするうちに、リージェンツパークに着きました。

バラ園が見えてくると、
Bさんの顔に ぱぁっと明るい笑顔が広がりました。

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そして、私がバラの写真を撮ったり、
香りを嗅いだりしていると、
いつのまにかBさんも隣にきて
「このバラの色、面白いね!」と
私に話しかけてきました。

さっきまで愚痴をダラダラ言っていたのに
あっという間に気分が変わったようです。

そのうち、Bさんはバラに飽きたのか、
ベンチに座って池の鴨を観察し始めました。

バラに満足した私が、
Bさんの座っているベンチのところへ行くと
こう話しかけてきました。


「イチイさんはバラがいいみたいだけど、
私は鴨がいいなぁ。

ほら、見て! あそこに小鴨がいるんだよ」


Bさんが指さすほうを見てみると、
3羽の小鴨が母鴨の後ろを泳いでいました。

「ほんとだ! かわいいね!」


そんな感じの他愛のない会話をしながら、
のんびりと公園の出口に向かいました。


そして、私がこのバラの写真を撮っていたら
後ろから、Bさんが私に声をかけました。

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「あ! ねぇ、イチイさん!
こっち、この角度が絵になるよ。
ほら、どう? 写真撮ってみて!」

「どれどれ? あ、ほんとだー」

と言いながら、
私が撮影した写真がこちらです。

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帰りのバスでは、
Bさんから愚痴の言葉は一切出ませんでした。

その逆に、こんな風なことを言って
とても楽しそうにしていました。

「イチイさんのおかげで、リフレッシュしたよー。
やっぱりオフィスにばかり引きこもってたら、ダメだね。
こういう自然に触れ合う時間って大事だよね」


リージェンツパークのバラは、
少し終わりかけではありましたが、
それでも、まだ数えきれないくらいのバラが
咲き誇っていました。

こちらは、まるで花束が並んでいるかのようです。

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こちらの薄いピンクのバラは
造花のように美しい形をしています。

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Bさんは黄色いバラが気に入ったようで
黄色いバラを見るたびに、
「ほら、見て!きれいだねー」と話しかけてきました。

そしてこちらは、
Bさんが特に気に入っていたバラです。

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このバラは、Golden Smiles(黄金の笑顔)という名前でした。

公園を出るときのBさんの笑顔を見ながら、
Bさんが好きなバラの名前どおりの
Golden Smile だな、と思いました。


さっきまで暗く、ぶーたれた顔をしていたのに、
あっという間に気分を和ませてくれるなんて、
バラ(と鴨も?)ってすごいな、と思いました。

前にBさんの愚痴を聞いたとき、
一生懸命励まそうとしたのに、全然ダメでした。

自分まで疲れ切ったうえに、
Bさんは不満を募らせたままで終わったのです。

でも、何もしていないのに、
美しく咲き誇っているだけなのに、
まるで魔法のように、
瞬く間にBさんのストレスを消してしまい、
さらに明るく前向きな気分にさせるなんて
バラ(と鴨)って すごいですね。